Yahoo! JAPAN

DJ KOOが語る小室哲哉 ②【最新インタビュー】意外な音楽ルーツとTKサウンドの秘密

Re:minder

2025年08月03日 DJイベント「TK SONGS RESPECT NIGHT 03」開催日

小室哲哉が手がけた数々の名曲、“TK SONGS” を愛する人たちのイベント『TK SONGS RESPECT NIGHT 03』が、2025年8月3日に開催される。2023年にスタートしたこのパーティは、小室哲哉プロデュースのアーティストが多数参加し、オーディエンスとともに小室作品への “愛と感謝とリスペクト” を捧げる熱いイベントだ。

本企画のオーガナイザーであるDJ KOOへのインタビュー後編は、小室サウンドとそのメロディーの秘密について。また、DJ KOOと小室哲哉の意外な音楽ルーツの共通点などをお届けします。

ロックのノリをちゃんとわかっている人がいい


―― DJ KOOさんは少年時代、どんな音楽を聴かれていたのでしょうか。

DJ KOO(以下:KOO)僕はブリティッシュロック、ハードロックが大好きでした。小室さんもハードロックが大好きなんですよ。僕が小室さんと一緒にいれた理由の1つとして、ロックが大好きだったことがあるんじゃないかと。僕が直接聞いたわけではないですが、小室さんがDJを選んだ理由の1つとして、“ロックのノリをちゃんとわかっている人がいい” と仰っていたようです。音楽の幅として、ダンスミュージックにもロックのノリとか奏法であるとか、そういったもののテンションの高まりは必要かな、という意識が僕にも小室さんにもありました。

―― 共通項がハードロックというのは意外でした。

KOO:僕は元々沢田研二さんが好きで、沢田さんを掘り下げていくとザ・タイガースにたどり着くわけで、『タイガース・オン・ステージ』というライブアルバムを聴いたら、当時の洋楽カバーが多かった。グループサウンズってローリング・ストーンズのカバーをよくやっていたんです。そこから洋楽に興味を持って、ビートルズ、レッド・ツェッペリン、ブラック・サバスなどを聴きまくっていました。それなので、小室さんが音楽の話をする時に、ロックのコード進行や、ピンク・フロイド、ジューダス・プリーストなどを例えに出してくると、全部答えられたんです。

それに、その後ディスコでDJをやりながら、The JG’sの活動で、リミックスを仕事にしていたことも、小室さんの活動に近いものがあったのかもしれません。コンピュータで音を作っていくことはその時代に僕もやっていた。そこにも共通項があって、結果として息のあった形になれていたのかなあ、と自分では思っています。

みんなで合唱できる小室メロディー


―― 次に、小室哲哉さんの楽曲作りについてお伺いしたいのですが、ユニークな転調であったり、独特なコードの使い方であったり、それまでの日本の音楽にはなかったメロディーを作られていると思いますが、KOOさんは小室さんのメロディーをどのように受けとめていましたか。

KOO:1990年代のテクノやトランスをそのまま持ってくるのではなく、メロディーに哀愁があったりするのが小室さんの特徴ですね。特にサビの作り方、いかにサビでインパクトを残すか。例えば、サビに入る前の2小節のブリッジ(間奏)をうまくつけるとか、そういった工夫が小室メロディーの特徴だと思います。あと、みんなが1つになれるような曲を作る際には、音数をあまり使わず、シンプルなメロディーを構築する。一度聴いただけで、みんなで合唱できるようなダンスミュージックを想定してたんじゃないかな? と後になって思います。

ジャングルの仕掛けは半年以上前から


―― 特に、H Jungle with t の「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント〜」、あれこそみんなで踊って歌えるダンスミュージックですが、そこにジャングルを導入したのには驚きました。

KOO:あの曲に関しては、外から見れば、『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』(フジテレビ系音楽バラエティ)で、浜田雅功さんが小室さんに “ヒット曲をプロデュースしてください” とお願いして、“はい、できました” というふうに見えるかもしれません。でも当時、テクノやレイヴと並行して、ジャングルというBPMが180とか200とか、めちゃめちゃ早いグルーヴがメインになってきたんです。

そんな現象は今までになかったので、小室さんはそれを自分のものにするため、隔週でクローズドのクラブイベントをやっていたんです。その時に僕がDJをやったんですが、そのイベントのために東京中のジャングルのレコードを買い漁って、一晩中ジャングルをかけながら、傍らには小室さんのキーボードセットを置き、アドリブでどんどん、シンセやピアノを被せて弾いていく。そんなイベントを、半年近くやっていたんですよ。

―― そこでお客さんの反応を見るわけですね。

KOO:そうですね。次なる仕掛けはジャングルだと、小室さんは半年以上前から実戦で試していたんです。ジャングルには何百というループがあるんですが、その中で小室さんが “このループがいい” とみつけたものが、H Jungle with t で使ったループです。それだけ時間をかけて、自分たちのものにした。そこで「WOW WAR TONIGHT」や内田有紀ちゃんの「Only You」が生まれました。

ワンコード、ワンスケールみたいなものに、いかに歌を乗せて作っていくか、それは相当すごいことだと思います。だって、その頃、僕らがやっていたセッションで、ジャングルに歌が乗っかってくるものなんてなかったですから。僕が何百枚と買ったレコードにも歌はなかった。ただ、レゲエにはあるんです。ダンスホールレゲエの曲を乗せて、リズムだけをジャングルにして、そこに小室さんがシンセを弾いていくとか、そんなセッションをやっていました。

タイトルを “アイコンみたいに見せたい”


―― 小室さんは作詞もご自身でされますが、やはり曲作りが先というのが多かったのでしょうか。

KOO:頭の中に詞の世界観はあると思いますが、曲先の方が多いと思います。僕が一緒にいる時期は、まずデモテープを作るんですが、最初はリズムから入れて、その後にピアノなどを入れ、上物を1つ2つ足したところで小室さんが仮歌を入れる、という形でしたね。仮歌はまだ詞になっていなくて、♪ラララとかで入っているだけです。僕が見ている限りは曲先でした。

―― タイトルも、歌詞も、英語のフレーズというより、構文みたいに長いケースも多いですよね。「Can't Stop Fallin' in Love」とか、「CAN YOU CELEBRATE?」とか。あれはもう英語が乗ることを想定してメロディーが書かれているのかと。

KOO:そこはもう感覚だと思います。僕、「EZ DO DANCE」で小室さんが書いたメモを持っているんですが、最初は普通に “EASY TO DANCE” だったんですよ。でも、タイトルを “アイコンみたいに見せたい” とおっしゃって、それであのタイトルになった。そんなことをうっすら覚えています。「GOING 2 DANCE」もtoを2にしたり、ダンサブルに見えるようにというか、そんなような感覚だと思います。

はもはや鉄板曲!PANDORA「Be The One」


―― ここで、KOOさんがお好きな小室作品を挙げていただけますか。

KOO:やっぱり「EZ DO DANCE」は鉄板曲ですよね。盆踊りのような、子どもから大人までいらっしゃるイベントでよくかかります。『avex class』というavexの出張授業があって、その際にDJをやった時でも、いまだに反応がいいです。もうあの曲は身体の一部みたいな感じがします。それに、小室さんはダンスミュージックはもちろんですが、バラードもいいんです。globeでいうと「Precious Memories」が好きですね。切なさや深さを感じる曲です。あとは小室さんが1992年に出した『Hit Factory』というセルフカバーアルバムに入っている曲は、個人的に全部好きです。

―― 今回の『TK SONGS RESPECT NIGHT 03』には浅倉大介さんもご出演されるそうですが。

KOO:小室さんと浅倉さんのユニット、PANDORA feat.Beverlyの「Be The One」はもう、このイベントでも鉄板曲です。やっぱり浅倉さんも小室さんのDNAを受け継いでいるなあと思いますね。

今年の隠し玉は「Party of Monsters」?


―― ところで昨年のイベントでは安室奈美恵さんの「CAN YOU CELEBRATE?」の、ビートの効いたアッパーバージョンをかけて大盛り上がりになったと聞いています。

KOO:あれは、実際に小室さんがミックスしたもので、今は作品としてリリースされていますが、あの時はまだ小室さんがご自身のDJプレイ用に作ったものだったんです。それを “僕もかけていいですか?” とお願いしたら “みんなでシェアした方がいいから使って” と言ってくださってかけたんです。

―― 今年もそんな隠し玉がありそうですね。

KOO:今年はアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディングテーマになっている氷川きよし+KIINA with t.komuroの「Party of Monsters」かなあ(笑)

―― では最後に、今回のイベントに参加されるファンの方、また参加を考えている皆さんにメッセージをいただけますか。

KOO:音楽に年齢は関係ありません。いくつになっても音楽はその時代に戻れるタイムマシンであり、青春である。そんなことをこの『TK SONGS RESPECT NIGHT 03』で謳歌していただければと思います。小室さんへのリスペクトを持った人たちが来るわけですから、主役はフロアの皆さんです。絶対に後悔はさせません!

ーー私などもそうですが、踊るのに自信のない人でも参加していいのでしょうか?

KOO:もう、全然大丈夫です! 誰でも楽しめますし、むしろそういう方こそ大歓迎!過去2回に来てくださった方はお分かりかと思いますが、必ずスペシャルが起きるイベントです。この日、行くことができなかった方に、後悔させちゃうことがおきますから、後悔することのないように、ぜひ、会場にお越しください!

▶︎ 開催概要
SUPER PREMIUM PARTY
TK SONGS RESPECT NIGHT 03

・日程:2025年8月3日(日)
・時間:OPEN 14:30 / START 15:30
・場所:品川ステラボール
・出演者:DJ KOO / 浅倉大介 / マーク・パンサー(globe)/ hitomi …and more
・チケット及び詳細:オフィシャルサイトまで


【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 行列のできる福岡糸島の老舗「長浜ラーメン力」監修のカップめんを食べてみた正直な感想

    ロケットニュース24
  2. 【松山市・天丼てんや 松江店】サクッとカラッと天丼 甘辛いタレもベストマッチ

    愛媛こまち
  3. 【宇和島市・カフェ ポラリス】木の風合いが心地よい 住宅街の隠れ家的カフェ

    愛媛こまち
  4. もちづきさんは節約上手? 食費を“半分”にした彼女を待ち受ける運命とは……|今回の『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』【4月29日更新:最新12話】

    アニメイトタイムズ
  5. 『学園アイドルマスター』藤田ことね(CV:飯田ヒカル)の誕生日アンケート結果発表! ことねの可愛さ、スゴさとは? プロデューサー・ファンのみなさまから寄せられた魅力をお届け!

    アニメイトタイムズ
  6. アニメ『姫様“拷問”の時間です』第2期が2026年1月に放送決定!新たな戦いの幕開けを予感させる(!?)ティザービジュアルも公開

    PASH! PLUS
  7. 米が高いなら「粟(あわ)」を食べればいいじゃない? 年貢に苦しむ農民の主食でおなじみ「あわ飯」食べてみた結果 …

    ロケットニュース24
  8. 森永康平「そもそもそんな不安定な段階でやるのかと」大阪万博 空飛ぶ車が破損

    文化放送
  9. アップアップガールズ(2)佐々木ほのか、ソロ曲「rainbow☆road」配信リリース!【コメントあり】

    Pop’n’Roll
  10. 「もうイチョウは持たないです」専門家が神宮外苑の再開発を悲観するワケとは?

    文化放送