保土ケ谷高校陸上競技部 男子4継、12年ぶり大会新 県総体で圧巻の走り
県立保土ケ谷高校陸上競技部が関東高等学校陸上競技大会への予選を兼ねた神奈川県高等学校総合体育大会に出場し、男子4×100mリレーで優勝した。決勝で大会記録を12年ぶりに更新する40秒54を樹立した瞬間、観客から歓声が上がった。
5月10日と11日に行われた同種目の優勝メンバーは佐々木寛大さん、塚本蘭天生(らんでぃ)さん、古屋颯さん、鈴木遥馬さんで、いずれも2年生。49チームがエントリーした予選を全体2位のタイムで決勝に進んだ。
会場が緊張感に包まれる中、行われた決勝。1走を務めた佐々木さんは「隣りのレーンが予選1位のチームだったので、借りを返したいという思いで駆けぬけた」と闘争心を見せると、スタートからレースの主導権を握り、2走の塚本さんにバトンを手渡した。
塚本さんは「体のコンディションを決勝に合わせることができた」といい、ダイナミックな走りで2位以下のチームとのリードを引き離して3走の古屋さんへ。古屋さんは「自分の走りをして、トップでバトンをつなぐことが役割だと思った」といい、4走の鈴木さんにバトンを託した。
バトンパスで飛躍
3人の思いが込められたバトンを受け取った鈴木さんは懸命に腕を振って快走し、予選1位だった東海大学付属相模の猛追をかわして1位でゴール。40秒54のタイムは、2013年に相洋高校が樹立した40秒58を上回る大会新記録となり、県立校の優勝は20年ぶり。鈴木さんは「まさか新記録を出せるとは思わなかった」とレースを振り返り、仲間と共に優勝の喜びを分かち合った。
4人は優勝の決め手の一つに「バトンパス」と口をそろえる。昨年まではオーバーハンドパスだったが、バトンを受け取る際に減速してしまうという課題があった。
そこで、外部コーチからの提案を受けて今年から、スタートダッシュのスピードを生かすことができるアンダーハンドパスに変更。練習の緊張感を高めようと、ミスをした際に腕立て伏せを行うなど自主性を重んじて取り組んだ。ムードメーカーの佐々木さんは「日頃から厳しい練習も楽しいものだと前向きに考えている」と話し、成長の秘訣を語る。
部員2人から大所帯に
80人以上の部員がいる保土ケ谷高校陸上競技部だが、顧問を務めている竹内俊樹教諭が赴任した2018年の部員は2人だったという。技術力だけでなく人間力も大切にする竹内教諭の指導で徐々に部員が増え、中学時代から大きく飛躍する選手も多く見られる。リレーメンバーの塚本さんは中学時代の100mの最高記録が12秒34で、無名の選手だったという。
竹内教諭は「素直で継続的に努力できる生徒が伸びる。これからも子どもたちのやる気を引き出していければ」と向上心を持ち、指導にあたる。