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歌い継ぐ"市民の心" 「丹沢讃歌」の出張授業

タウンニュース

西小学校6年生への出張授業(上)と東中学校1・2年生への出張授業

「春は浅く山里けむり雪とけて大地は明ける――」。丹沢の山開きや丹沢音楽祭で市民・岳人に歌い継がれている「丹沢讃歌」。ふるさと秦野の自然と人々を称えるこの歌を「全ての市民に歌えるようになってほしい」と今年度、クアーズテック秦野カルチャーホールは西小学校6年生と東中学校1・2年生に出張授業を行った。授業での取り組みとともに、秦野市の財産である丹沢讃歌について紹介する。

「ふるさとの歌」誕生

秦野市最大の音楽祭「丹沢音楽祭」の幕開けと共に、1984年に誕生した丹沢讃歌。丹沢を心のふるさととする音楽愛好者らの情熱により誕生・献呈され、秦野市文化会館(現・クアーズテック秦野カルチャーホール)でのオープニングセレモニーで発表された。作詞は市内在住の児童文学者森一歩氏、作曲は秦野市出身・在住で東京室内管弦楽団指揮者等を歴任し、当時秦野市音楽協会会長を務めていた加藤正二氏が担当。市制施行50周年の2005年には歌碑が作成され、県立秦野戸川公園の風の吊り橋付近に建立されている。歌碑には、「市民の誇りである丹沢の山々や自然、その水、土、緑、風など丹沢の四季を讃え、そこで生きる人々を表現した楽曲『丹沢讃歌』を通して、丹沢の自然を愛する心を、つないでいきたいと願っています」と綴られている。

時代や町なみが変わっても、そこにあり続ける丹沢。その雄大な姿は、秦野市民共通の原風景といっても過言ではない。秦野市ゆかりの楽曲は数多くあれど、誕生の経緯や題材を踏まえ丹沢讃歌ほど「ふるさとの歌」にふさわしい楽曲は他にないと言える。

シビックプライド醸成に

秦野市を代表する郷土の歌である丹沢讃歌だが、「歌える」市民は一部に限られているのが現状だ。せっかくある素晴らしい歌を、生かさない手はない――。秦野市の文化拠点であるクアーズテック秦野カルチャホールは、「全ての市民に丹沢讃歌を歌えるようになってほしい」との思いから、市内小中学校への丹沢讃歌の出前授業を企画提案した。「丹沢讃歌は、シビックプライド(=郷土愛)の醸成にもつながる雄大な歌。作詞の森一歩さん、作曲の加藤正二さんは市内の小中学校の校歌も手がけており、小中学校で歌うのにふさわしい」と同館は語る。秦野市教育委員会もまた、地域の特色を生かした独自のカリキュラムを昨年4月から「秦野ふるさと科」と名付けて推進してきた経緯がある。「ふるさと秦野」への両者の思いが合致し、今年度出張授業の実施が実現した。

合唱連盟と協働開催

出張授業は、同館と秦野市合唱連盟(加藤雅彦理事長)との協働開催となった。同連盟の有志のメンバー約60人が協力し、模範合唱など指導にあたる。指揮を務めたのは玉置清明氏。秦野市内の高等学校で音楽教諭を務め、これまでも合唱部の顧問や市内外のコーラス団体の指導に尽力。丹沢の山開き式では丹沢讃歌の指揮者を務める。

ピアノ伴奏を担当したのは、秦野市出身のピアニスト渡邊純子氏。07年から国内唯一のプロ合唱団である東京混声合唱団のピアニストを務め、全国各地での一般公演・文化庁主催の学校公演などで活躍する。

丹沢讃歌を広めるべく、秦野の音楽シーンを担う人材が駆け付けた。

初の実施は西小で

初の出張授業は昨年11月27日、西小学校で行われた。対象は6年生約100人。あらかじめ音楽教諭の指導のもと、授業で丹沢讃歌の夏パートを練習し、児童らは準備を整えてきた。授業冒頭では、丹沢讃歌が誕生した経緯など概要を説明。同館が製作した歌詞付きのビデオで丹沢讃歌を流した後、歌唱練習の流れとなった。

主に歌唱指導を担ったのは玉置氏。「冬のパートは最初、フォルテから勢いよく始まる。くっきりした青空と雪が目の前にばっと広がるイメージ。びっくりするくらい始めは強く歌おう」。「自然を歌っているようだけれど秦野の人の活動も歌っているね」。歌唱の仕方だけでなく、歌詞から広がる情景についても解説。時にユーモアも交えた巧みな説明で、楽曲の魅力・意義を余すことなく伝えていた。

12月11日には、東中学校の1・2年生約180人を対象に授業を実施。生徒らは前もって練習でソプラノ・アルト・テノールの3パートに分かれており、小学生よりも発展した内容に挑戦。当日は、玉置氏の指導に加え合唱連盟会員がそれぞれのパートの指導にあたった。出張授業は両日とも、最後には児童・生徒と合唱連盟会員で合唱して幕を閉じた。玉置氏は「みなさんと楽しい時間を過ごすことができました。高い歌唱力で素晴らしい歌声でした」と絶賛。加藤理事長は「丹沢讃歌は丹沢音楽祭と山開き式で必ず歌います。また一緒に歌える日を楽しみにしています」と出張授業を締めくくった。

体育館に響く児童・生徒の伸びやかな歌声が印象的だった出張授業。この歌声が、秦野市中から聴こえる日は遠くないかもしれない。

秦野戸川公園「風の吊り橋」付近に建てられた歌碑

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