東京新聞紙面連動企画・高齢化の悩みはね返せ!千葉市・花見川団地
毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。
先日、ビルの空き部屋のニュースがありましたが、団地の高齢化による空き部屋の増加は、もはや言わずもがな。そんな中、今日、取り上げるのは「団地に元気印の交流拠点 高齢化の悩みはね返せ!」という記事。これは、1968年から入居が始まった千葉市にある花見川団地の活性化のための取組みを取材したものです。
シャッター街に賑わいを!団地再生へ7者連携の交流拠点
団地の交流拠点とはどんなものなのか、千葉市役所都市政策課の水本彩月さんのお話。
千葉市役所都市政策課 水本彩月さん
交流拠点は、花見川団地商店街の北側の空き区画の3区画を活用したものになっておりまして、3つともコミュニティ形成を目的とした場所になっております。URさんと良品計画さんと、MUJI HOUSEさんと千葉市と、さらに花見川団地の自治会さん二つと、商店街の振興組合さんの、計7者で協議会を立ち上げまして、交流拠点をオープンさせました。
花見川団地では、団地施設の高経年化や住民のみなさまの高齢化、若い世代がなかなか入ってこないという部分がありますので、ちょっと賑わいが不足していて、商店街自体もシャッターが多くなってしまってるのが現状になります。そういった部分をより活発にしていきたい、というところで、その最初の拠点となる場所として、今回の3区画を作らせていただきました。
4月にできた、この交流拠点。3つの区画が何に使われているかというと、一つは、週に3日オープンする無印良品の出張販売店舗。住民のニーズを汲み取り、必要なものをぎゅっとコンパクトに詰めた感じの店舗。他の無印の店舗に比べて、おせんべいときなこ玉が非常によく売れるのだとか。
また、店員として団地に住む70代の男性が働いていて、顔見知りがいるお店という親しみやすさも、買い物に来やすい雰囲気に繋がっている、と話す住民もいました。
二軒目はコーヒーと古本をテーマにしたカフェ。買い物のついでにちょっと休憩、とコーヒーを飲んでいる人が多かったです。そして、このカフェの中に、起業支援を目的とした「一坪開業スペース」を併設。何か出店してみたいという方が、お試しで出店できる場所。第一歩を踏み出してもらい、ゆくゆくは、この商店街のシャッターをどんどん開けて行ってもらいたい、ということでした。
三軒目は、多目的スペース。サークル活動やワークショップが開ける場所。
「人が歩けないほど」の賑わいをもう一度
こうした新しい交流拠点について、この団地ができた頃の様子も知る、花見川団地自治会長の長島勝平さんに、昔の様子も含めて、お話を聞いてみました。
花見川団地自治会長 長島勝平さん
当初は、もう何回抽選しても当たらなかった、と。僕の場合は二回くらいで当たってね、(昭和)44年に私、引っ越して来ましてね、その嬉しさってものは堪えらんなかったね。バスはもう朝ギュウギュウ、いっぱいで乗れなかったとか、この商店街はもう朝晩、買い物客、周りの人も来ましたからね、人が歩けなかった、歩けなかったんですよ、ここ。ホントにお祭り騒ぎでしたよ。それがだんだん、だんだん、年数によって減っちゃって。で、我々の自治会も役員同士でもって、どのように活性化していくかっていうのは常日頃考えましたね。
いや、これはね、嬉しいことですよ、七者協議会ができたってことに対しては、ホントに自治会挙げての喜びですね。乳母車引いていく方が多くなりましたから、変わったね、また、変わってもらいたい、ホントに。そりゃあね、期待してますよ、若い人が入ってくるっていうこと。楽しみじゃね~。
長島さんたち自治会の方々も、団地の、そして商店街の活性化のために知恵を絞ってきましたが、そんなに簡単な話じゃありません。だから、非常に喜んでいます。この新しい交流拠点を運営する人が若い方が多いく、カフェ店主も若い方、サークル活動スペースも、取材の日は、若い方がイベントをしていました。
始まって2か月ほどですが、乳母車を押している人が多くなっている、など、長島さんは早速変化を感じていました。実際、カフェでコーヒーを買って、お子さんと外のベンチでランチをしている近所の方(団地住民ではない人)もいて、「新しく何かが出来たと聞いたので来てみました、団地の商店街のイメージがちょっと変わりますよね」と話していました。
花見川団地を次の世代へ
また、長島さんの「花見川団地を知って、そして、ここに住むのもいいな、と思ってくれれば」という期待は、当然、千葉市も思いは同じです。再び、水本さんのお話。
千葉市役所都市政策課 水本彩月さん
この拠点をきっかけに「あ、ここ、いいな~」と思って、この花見川団地に若い方が居住してくれるというのも、一つの目標だと思っておりますので、コミュニティの活性というのを一つのスタートとして、どんどん団地の中に、さらに人を呼び込めるようにしていきたいなと思っておりますし、周辺にも花島公園とか花見川とか、自然も豊かですし、やっぱり商店街っていう便利な場所もありますので、そういういいところを見つけていただいて、どんどん新しい方が、花見川団地を選んで来てくださるといいなと考えております。
やっぱり持続可能な社会というところでも、全部リニューアルして建て直すというよりも、地域資源の利活用を図ったり、元々あったものとか、そういうものを最大限に活かしながら、この地域をどんどん活性化していきたい、という気持ちがあります。
高齢世帯が階段が大変で、空いた一階に引っ越していて、4階5階に空きが多いまま。若い世代向けに、交流拠点のカフェの二階に「団地の暮らし体感ルーム」を作り、無印良品の家具や収納で統一された、リノベーションされた部屋を見ることもできる。すごくオシャレで、コンパクトで使いやすそうな部屋。押し入れの収納力も実感!
千葉市は、地域資源を磨き直す、をモットーに、市内の様々な地域の魅力を改めて発信しながら、今後も高齢化をはね返す街づくりをしていくということでした。
大きな団地は、その地域の人口や活性化を左右する大きな要因。自治体や企業と上手く連携して磨き直すのは、他の自治体や団地でも参考になるかもしれません。
(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)