今日から発行される新紙幣。その影響として予想されることは?
7月3日(水)の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏と番組パーソナリティの寺島尚正アナウンサーが、今日から発行される新紙幣の経済効果や影響などについて話し合った。
新紙幣が今日から発行される。新旧切り替えの経済効果は1.6兆円に達するとの試算があり、一部の企業への恩恵は大きい。紙幣や硬貨の計数機を製造する会社「グローリー」は、24年3月期の売上高が過去最高となった。主な要因は新紙幣への切り替えで、売上高がおよそ500億円増えた。過去にも新紙幣での経済効果はあったが、今回はキャッシュレス端末への切り替えがみられることも特徴で、レジを店舗向けに販売する企業「スマレジ」は、24年4月期の導入店舗でキャッシュレス決済の取引比率が50%を超え、5年前から倍増している。
寺島尚正アナ「新紙幣導入の経済効果ですが、森永さん、これはどうご覧になります?」
森永康平「これは多分、立場によって違うっていう感じがしていまして、例えば先ほど取り上げられた計数機の製造会社とか、あとはキャッシュレス系の会社、こういうところにはプラスの恩恵が出て来るとは思うんですけど、ただ一方で資金力があまり無い中小零細企業にとっては、新札対応へのコスト、そのコストも経済全体でみればひとつの経済効果になるんでしょうけど、立場によっては逆風というか手間になるな、と」
寺島「飲食店の券売機の買い替えとかね、お店が新札対応のためのお金を出さなきゃいけませんからねえ」
森永「逆に言うと、ちょっと変な話というか皮肉っぽくなりますけど、日本ってキャッシュレス比率が低いといわれているんですが、今回、狙ったかどうかはさておき、新札対応するお金が無いから、レジもキャッシュレス対応にしちゃえってことで、結果的にキャッシュレスが進むみたいな話はあるかも知れないですね」
寺島「全部じゃないですけど、一部のバスでは現金払いを無くして、なんていうところもあるみたいですからねえ?」
森永「そうですね、だからこれが契機となって、キャッシュレスが少し浸透するみたいなことは十分考えられるかとは思いますけどね」
寺島「また、銀行の預金にも入らず、使われもしないタンス預金が国内に60兆円あると言われています。前回の紙幣切り替えの時に、デフレ下で増えてきたタンス預金が、一時7.5%減ったとの見方もあります。現在は物価高で現金の価値が目減りしています。このため現金から別の資産に置き換える動きが強まる可能性があると見られていますが、タンス預金の変化の可能性、森永さん、どうご覧になりますか?」
森永「まあ多分、そこまで大きな影響は無いかな?と見てますけど、ただやっぱり今、足もとで物価が上がっている状況って言うのが、ひとつのタンス預金を減らす要因になるかな?と。新札が出るから減るって言ういうのは本当にごくわずかだと思っていて、ここにたまたま今の物価高が合体して、タンス預金が減って行くみたいなことは十分あると思うんですよね。やっぱりこれだけ物の値段が上がって来ると、今までのデフレ経済、物価が下がるっていう状態だったら現預金で持っておこうって言う話ですけど、物価が今後も上がっていくって言う前提に基づけば、現預金の価値がそのまま持ってると目減りするんで、他のものに変えようというインセンティブが働きますからね」
寺島「これまでそのタンス預金が何に動いたのかって言うのは、新NISAとかがきっかけに、なんてことはよく聞きますけどもね?」
森永「私のまわりだけですけども、実際金を買ったって人はいましたね。やっぱり目先ずーっと上がっていますから。実物としての、資産としての価値があるからっていうことで、結構まわりに、たまたまですがいましたね。かつては『有事の金』とか言われてましたが、今は有事じゃなくても上がってますからね」