5人に1人は問題を抱えている!?腰痛が日本人の国民病である理由とは?【専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話】
腰の不調は発症すると治りにくい
全国の世帯および世帯員を対象に、厚生労働省が2019年に行った「国民生活基礎調査」によれば、自覚症状がある体の不調の中で、腰痛と答えた人は男性が1位、女性では肩こりに次いで2位といった結果が報告されています。こうした傾向はここ10年ほど変わらずに続いているもので、しかも昨今のテレワークやコロナ禍での外出自粛による運動不足の影響もあり、腰痛を訴える人が今後さらに増えていくことが予想されます。
また、腰痛は治りにくいという点も、腰痛人口の加を助長している一面があります。日本整形外科学会・日本腰痛学会の「腰痛診療ガイドライン2019」によると、3ヵ月で症状が改善した人が約30%いる一方で、1年経過しても痛みのある人が60%以上にのぼるとあります(原因不明の腰痛の場合)。
ほかにも、腰痛に悩む人が全人口のおよそ20%にあたる2000万人以上いるという推計や、日本人の約80%が「生涯のうち一度は腰痛を経験する」という調査結果もあり、今や腰痛は国民病の1つになったといっても過言ではないでしょう。
実は、私も「腰椎すべり症」と「腰椎分離症」があるため、ストレッチや筋トレによるケアを続けています。ですから、患者さんの痛みや悩みは他人事ではありません。少しでも多くの人が腰痛から解放れるよう、同じトラブルを抱える1人として、アドバイスや手当てを心がけています。
出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔