相模原市景況 小売・卸売が改善 コスト高、人手不足が課題
相模原商工会議所はこのほど、4-6月期の景気観測調査の結果を発表した。総合業況DIはマイナス19で前期(1-3月)のマイナス23から若干の改善だった。前期に低調だった小売業・卸売業が大きく改善したが、長引く円安によるコスト高と価格転嫁が課題。建設業と飲食業・サービス業は比較的安定しているが、人手不足が深刻な状況が続いている。
景気観測調査は前年度同時期との景況を比較して「良い」「悪い」などの指標を数値化し、景気動向を調査するもの。業況が「良い」の回答数の割合から「悪い」の回答数の割合を引いて算出した業況判断指数(DI値)を用いる。
業種間の差小さく
建設業はマイナス12(前期比1ポイント増)で安定し、飲食業・サービス業と製造業はほぼ前期並み。前期低調だった小売業・卸売業は前期から14ポイント増のマイナス23ポイントと改善し、業種間の差が小さくなってきている。全国と比較すると建設業、小売業・卸売業は全国と同様の水準になったが、その他の業種では全国より低い水準に留まっている。
前期から引き続き、製造業、建設業、小売業・卸売業では円安によるコスト高と価格転嫁の困難さが課題。飲食業・サービス業では人手不足と賃上げを課題に挙げる声が多い。
中小建設業「晴れ」
小規模事業者を除く中小企業の業況をみると、全体では若干の改善に留まったが、建設業が前期比28ポイント増と大幅に改善。業況を天気で表す業況天気図ではコロナ禍後初めて「晴れ」(DI値30〜11)となった。
産業別でみると、飲食業・サービス業で半年ぶりに売上DIが8とプラスになった。ただ、事業者からは「売上上がるも、支払い出ていくものも多い」「売上増が経費増に追いつかない状況」という声もあり、物価上昇と価格転嫁の難しさが影響を及ぼしているとみられる。
従業員DIは前期から変化はなく、引き続き人手不足が深刻な状況。「工事を受注できても人員不足を考えると受注できない」(建築リフォーム)、「どんなに求人広告を出しても社員の応募がない」(ラーメン専門店)と、比較的景況が安定している建設業、飲食業・サービス業において人件費上昇や採用難の声が多く上がっている。人手不足感は全国値と比べてもほとんどの業種において高くなっている。
次期見通しについては、総合業況DIはマイナス16で今期から3ポイント改善の見込み。製造業で改善が進むと予想されている。飲食業・サービス業、小売業・卸売業は若干の回復、今期は安定していた建設業は若干の悪化の予想。
調査は同会議所会員事業所3682事業所に対して4月1日から6月30日にかけて実施され、877件の回答を得た。回答率は23・8%だった。