猫は春の味覚『タケノコ』を食べても大丈夫?考えられる効能と与える際の注意点
猫は『タケノコ』を食べても大丈夫?
タケノコは、猫が食べても基本的に無害とされていますので、健康な猫であれば、ゆでたタケノコを少量与えても問題ありません。
ただし、タケノコには多量の食物繊維が含まれているため、大量に与えてしまうと消化しきれず、消化不良を引き起こす可能性があるので注意しましょう。
また、タケノコには結石の原因となる「シュウ酸」や「ミネラル」も多く含まれるため、泌尿器系の持病がある猫には与えてはいけません。
栄養素を正しく理解したうえで、食べさせるかどうかを吟味しましょう。
ここからは、期待できる効能や与え方のポイントを解説していきます。
タケノコの効能
適量を守れば、タケノコに含まれている食物繊維は、猫のお通じを整えることが期待できます。
特にタケノコには「セルロース」と呼ばれる不溶性食物繊維(水に溶けにくい食物繊維)が、豊富に含まれています。
セルロースは、市販のキャットフードにも含まれることがある成分であり、満腹感を高める効果があるため、肥満が気になる猫にも適しています。
また、猫は毛玉が体内に蓄積しやすい傾向がありますが、セルロースを摂取することで、毛玉や体内の有害物質の排出をサポートできます。
さらにタケノコには、アミノ酸の一種として知られる「アスパラギン酸」も含まれています。疲労回復に必要なエネルギーの生成を促す働きをするため、体力の衰えが気になる猫にも向いているでしょう。
ただし不溶性食物繊維は、腸の動きを刺激する働きがある反面、摂取し過ぎると消化不良による嘔吐や、逆に便秘になる可能性もあります。
便が硬めで、すでに便秘気味の猫の場合、不溶性食物繊維の過剰摂取によって悪化する可能性もあるため注意が必要です。
与える際の注意点
新鮮な採れたてのものであったとしても、猫に与える際には、必ずあく抜きをしましょう。あく抜きをしないと、えぐみが強くなるだけでなく、シュウ酸が残ってしまい危険です。
また、あく抜きをしてもシュウ酸が完全に除去されるわけではないため、泌尿器系の持病がある猫には絶対に与えないでください。
アスパラギン酸は加熱によって壊れやすいアミノ酸ではありますが、タケノコを与える際は必ず芯までしっかり茹でるようにしましょう。
もし市販で売られている水煮を活用する場合は、他の原材料もよく確認する必要があります。
猫に与えても良い安全なタケノコの量は知られていませんが、最大でも「小さじ1杯」を限度にし、穂先の柔らかい部分を細かく刻み、猫が食べやすい状態で与えましょう。
人間用に作られたメンマなどの加工食品はもちろん、調味料で味付けすることも避けてください。
まとめ
タケノコは、泌尿器系の病気を持たない健康な猫であれば、小さじ1杯程度の量であれば与えても大丈夫と言われています。
セルロースと呼ばれる不溶性食物繊維が、腸内環境や満腹感をサポートしてくれます。アスパラギン酸の疲労回復効果にも期待できるでしょう。
与える際は必ずあく抜きをし、春の味覚を正しく安全におすそ分けしてあげてください。
とはいえ、猫専用のフードから十分な栄養を摂取できるため、あえてタケノコを与える必要はありません。愛猫の体調や食事スタイルを考慮しながら、総合的に判断してください。
(獣医師監修:唐野智美)