【静岡県立美術館の「カナレットとヴェネツィアの輝き」展】 16世紀のベネチアを伝える巨大版画
静岡新聞論説委員がお届けする“1分で読める”アート&カルチャーに関するコラム。今回は静岡市駿河区の静岡県立美術館で7月27日に開幕した「カナレットとヴェネツィアの輝き」展から。18世紀にイタリアのベネチアで活躍したカナレットの作品を中心に、後の世代の画家が描いた都市や名所を精密に描いた景観画「ヴェドゥータ」も紹介。
入場してすぐ目に入るヤーコポ・デ・バルバリ「ヴェネチア鳥瞰図」(第3版)が圧倒的。12枚の紙をつなぎ合わせた縦133センチ、横277センチの巨大な木版画は、1500年にベネチア在住のドイツ人商人が出版したという。
特筆すべきは描かれている都市の形状や建築が、現在とほとんど変わりないこと。都市を二分する大運河カナル・グランデの「逆S」の流れ、当時は木製だったリアルト橋、サン・マルコ広場。運河に面した家々も、びっしり細かく描いている。
手前に置いた帆船群が遠近法から解き放たれているのも、興味深い。全体の中ではかなり巨大に見える。(は)
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■静岡県立美術館
住所:静岡市駿河区谷田53-2
開館:午前10時~午後5時半(月曜休館)
料金(当日):一般1500円、70歳以上と大学・高校生800円、中学生以下無料
会期:9月29日まで