今を生きる子どもたちに、大人ができること。
「私たちの未来は、私たちで作る!」パーソナリティに小泉今日子さん、大石英司さん、上村彩子さんを迎え、あなたの「困りごと」、「モヤモヤ」、「お悩み」、もしくは、「変えていきたい社会の課題」などを通して、みんなで一緒に「これから」を考えていく番組です。
今回は、「街の声」にスタジオの3人がこたえました。夏休み中の学生に、今抱えている「モヤモヤ」を伺いました。
インターネットとか見ていると「時間があるはずなのに、時間がない」って思う瞬間があって。夏休みとかって時間があるじゃないですか。でも、他の人が旅行していたり、勉強していたりするのをみると、自分もやらなきゃいけないのかなって焦ったりして。それがちょっと、心に余裕がなくなっているなって思うのが、生きづらいっていう時ですね。
容姿ですかね。見た目?自分の見た目にあんまり満足していないので、そこはちょっと気になるというか。どう見られているのかが気になるから、生きやすいかって言われたら、そんなにかな、と思います。
「ネッ友」とか。リアルでは言えないこととかも文章だけだと言いやすかったりするので、ネッ友。ネットの人たちと話すこととかもあります。言いやすいのかなって。
今、就活をしていて、正直あんまりうまくいってなくて。僕、アメリカから帰ってきて就活をしていて。アメリカって、すごく、自分らしさを出したら就活とかもうまくいくんですけど、日本ってすごく型にとらわれていて。例えば、礼儀作法であったり。自分を出しづらいかなっていうのはすごく感じていますね。
これ以外にもいろいろストレスあったりするんですけど、僕は週5でジムに行っていて。ジムにいる瞬間が、ほんとに、何も考えなくていいので。自分にフォーカスできて、悩みを忘れられるので、筋トレはいいかなと思っています。
小泉:時間があるはずなのにないと思ってしまう瞬間。自分が何もしてないって焦っちゃうっていうのは、若い時に経験したような気もします。私は、お休みの時に外出とかしないタイプなの、疲れちゃうのね。体力の使い方とか、心の使い方とか、人それぞれだからね。
自分の心や体とお話しして、上手に付き合ったら大丈夫じゃないかな、って気がします。
上村:今の学生はSNSが当たり前になってるから大変ですよね。
小泉:みんなの動向が入ってきちゃうからね。
大石:ネッ友のこととかは、親の立場からすると、(子どもが)楽しそうに話してるんですよ。親からすると「いつまでやってるんだ」って言いがちになっちゃうんですけど、そこはそこで居場所だから。
小泉:両方いればね、いいですよね。リアルに学校の友達とかと話せることがあったり、言えないことがそういう所(ネット)で解消されるなら、どっちもあってもいいのかな、と思いますけどね。
大石:だから、いつも反省してます。「いつまでやってるんだ」って言わずに、居場所として尊重しておかないと追い詰めることにもなるよな、って。
小泉:そうだよね。ずっと見ちゃうと、目にも悪いし、余計な情報も入ってきちゃうのが大人としては心配だったりするかもね。
見た目に満足してないっていうのは、多くの女性が、ある時期に通った道なんじゃないかって。
上村:あります、あります。
小泉:私は背が小さかったりして、そういうのが嫌だなって思ってたけど、すごく素敵だなと思っている身長の高い女性が「学生の時、キョンキョンが小さくて、小さい女性がすごくモテて、私は全然モテなかったんだから」って言われたことがあって。だから、みんな、いろんな悩みがあるんですよね。そこは通っていく道なのかも。
上村:わかりますね。
小泉:あと、就活。
上村:大石さんから見てどうですか?アメリカから帰ってきて、自分らしさを就活で出そうとすると受け入れてもらえない、という悩み。
大石:相性だから。うちだと、逆にこういう人の方がいいなって。
小泉:大企業に行かなくちゃ、ってなったら礼儀作法みたいなことを強いられるのかもしれないけど、大きな会社じゃなくても、これから成長しそうな素敵な会社っていっぱいあるから。「これから」っていうところに入ったら、こういう方はすごく発揮できるんじゃないですか?
上村:そして、多くの小学校や中学校は来週の月曜日に2学期の始業式を迎えます。自らの命を絶ってしまう子どもたちが、1年で最も多い日でもあります。
小泉:メッセージが届いています。
私は7年前に、21歳の息子を自死で亡くしました。
9月1日に亡くなったわけではありませんが、毎年9月を迎える頃は「どうか死なないでほしい」と願う一人です。
末井昭さんの『自殺』という本に「死にたい気持ちになったら、とりあえず明日まで待ってください。その1日があなたを少し変えてくれます。時間にはそういう力があります。ほんの少し、視点を変えるだけで気持ちも変わります」と書かれています。
これを聴いていて、追い詰められた気持ちのリスナーの方がいたら、どうか待ってほしい、そして明日の朝日を見てほしいという願いを込めてメールさせていただいた次第です。
小泉:ありがとうございます。本当に大変な日々を過ごしたんだろうなと思います。みなさんに届け、ということでメッセージをいただいて、ありがとうございます。
大石:8月31日にそういう気持ちになっている子どもたちがいっぱいいる、っていうことですよね。
小泉:そうですね。樹木希林さんから内田也哉子さんが引き継いで『9月1日 母からのバトン』という本を出されています。夏休みが終わって、もう一度学校に行くための緊張状態に自分を持っていくのに、疲れちゃったりするんだろうね。でも、どうか、当事者の方じゃなくても、このラジオを聴いた方で、大人の人たちがそういうことを認識していれば、街で見かけた学生さんとか、自分の子どもたちとかの変化に気がついてあげられるかもしれないので。毎年、私はこのテーマをどこかで話すことにしていて。知っていれば止められること、ってあるような気がするから。
大石:だって、子どもたちってこの場合、「学校に行くか、命を断つか」っていう選択を迫られているわけですよね。それって結構キツい話だから。学校に行かなくてもいいんじゃないか、って思うんですよね。その2択だったら、もう学校に行かなくても。
上村:その選択肢があってもいいと思います。
小泉:希林さんはご自分の体験として、也哉子さんが「学校に行きたくない」って言った時のお話も本に書いていて。希林さんは「行かなくていい」って言ったエピソードがあって、すごく素敵な話でしたよ。親も勇気を持って。焦らないで。まだ10代。50代になってからだって新しいことは始められるから。長い目で見て、そういう気持ちを受け止めてあげたらいいのにね。
上村:以前もご紹介しましたが…10代、20代の女性のためのLINE相談支援をしている「BONDプロジェクト」や、24時間365日、誰でも無料・匿名で利用できる「あなたのいばしょチャット相談」。
電話で話を聞いてほしいという方には「学校でのトラブルに詳しい、弁護士による無料の電話相談」というものがあります。こちらは夏休みが終わる前の限定のものです。
小泉:私、中学生の時によく学校をサボってたんですよ。1回行くんだけど、お昼くらいに帰って。そうすると、お父さんがご飯作って待ってました。笑
大石:もう帰ってくるだろう、って?
小泉:そう、「今日も帰ってきた」って。「また行きなさいよ」、「はーい」って言ってまた学校に行ったりとか。
上村:そういうお父さんの反応や対応って、嬉しかったの覚えてますか?
小泉:そうですね。居場所があるって思えましたね。ここに帰ってくれば安全ってわかってるから、もう1回行こうかな、とか。
こどもたちの体験格差を解消を目指す「こども冒険バンク」
お悩みから視点を広げて、こんな話題も紹介しました。
上村:子どもたちの体験格差の解消を目指して生まれたプラットフォーム。企業が提供する様々な体験コンテンツを自由に選んで、無料で体験できる仕組みです。
小泉:体験格差があるという話は前にも聞いたことがあるし、番組でもお話ししましたけど、こんなふうに動いてくださる方がいるなら、いろいろなところでできますよね。この番組だって、見学に来てもらいたいなって思うし。英ちゃんの会社だって、面白いもの見せてあげられるんじゃないですか?
大石:発電所の見学に行ったりね。
小泉:テレビ局とかも、どうなんだろう。
上村:会社のCSRの一環として学生を招いたりしています。それは学校を通して、なので、学校外の体験にはまだできていないかもしれませんね。この前私たちもロープのワークショップをやりましたけど、TBSがイベントとかを開催して、無料で体験できるっていうのはいろいろやっている気がしますね。アナウンサーも、絵本の読み聞かせをやったりとか。
小泉:音楽とかだと、「リハーサルを見ていいよ」とかね。
大石:そういう手もあるか。
小泉:ファンの人、チケットを買った人の中から抽選でバックヤードツアーとか、リハーサルの見学とかが当たったりするみたいなんですね、BTSとかだと…
大石:BTSね。
小泉:それを無料で。テレビ局のセットの裏とかも、思ったのと全然違うじゃないですか。
上村:「こんな板でできてるんだ!」みたいな。
小泉:初めて見た時、すごく面白いと思ったんですよね。そういうのだけでも、見学させてあげるとか、できますよね。
大石:テレビ局はそれはもう憧れの場所というか、ラジオもそうだけど、体験がいろいろできるんじゃないかな。
小泉:なにか、考えたいですね。発表できる日を楽しみにしていてください。
(TBSラジオ『サステバ』より抜粋)