愛猫が『便秘』になっている4つのサインと対処法 なりやすいと言われるのはなぜ?
猫が便秘になっているときの4つのサイン
猫の便秘を見逃さないためには、いくつかのサインに注意を払いましょう。以下の4つは、猫が便秘にかかっている際に見られる代表的なサインです。
1.排便の頻度が減少する
通常であれば猫は毎日排便しますが、便秘になると数日間便が出なくなります。
特に丸3日以上排便がない場合は便秘の可能性が高く、丸5日以上便がでないと重度の便秘ですので、毎日のトイレのチェックを怠らないようにしましょう。
2.排便時に苦しそうな様子を見せる
猫が便秘の場合、トイレで長時間過ごし、苦しそうに鳴いたりする様子がみられることもあります。
何度もトイレに行っては出てこず、排便が困難な状態にある場合は、便秘を疑い早めに対処してあげましょう。
3.お腹が張っている、触れると痛がる
便秘が進行すると、猫のお腹が膨れて硬くなることがあります。
とくにお腹を触ると痛がる場合や、体を丸めてじっとしている場合は、もちろん他の原因の可能性もありますが便秘が原因でお腹に不快感を抱えている可能性も疑われるので、動物病院を受診しましょう。
4.食欲が落ちる
猫が便秘になると、食欲が低下することがあります。便秘によって腸内に便が溜まると、腹部に不快感や痛みが生じ、猫が食べ物を受け付けにくくなるからです。
健康な猫は毎日「ごはんくれ~」と食欲を示してきますが、便秘が進行すると食事に対する興味を失い、食べる量が減少します。
これは飼い主にとってもわかりやすいサインの一つといえるでしょう。
このような状態が続くと、栄養不足や体力低下にもつながるため、早めの対処が重要です。
なぜ猫は便秘になりやすいのか?
猫は特に便秘になりやすい動物だと言われていますが、その理由にはいくつかの要因があります。
水分摂取不足
猫はもともと砂漠地帯に生息していた動物であり、水分をあまり摂取しない傾向にあります。
野生時代であれば獲物から水分を吸収できましたが、現代の生活環境では積極的に水分を摂らなければ、たちまち水分不足に陥ってしまいます。
水分不足は便を硬くし、排便を困難にするため、便秘になりやすくなるのです。
加齢による消化機能の低下
人間もですが、猫も年を重ねるにつれて消化機能は低下します。とくに高齢猫は腸の蠕動(ぜんどう)運動が弱まるので、健康な成猫と比較すると便秘になりやすいのです。
運動不足
室内飼いの猫は外で自由に動く機会が少ないため、運動不足になりがちです。
運動不足は腸の動きを鈍らせ、便秘を引き起こす原因となります。そのためおもちゃで遊ぶ時間を設けるなど、日常的な運動をうながす工夫が必要です。
毛を飲み込む
実は猫が「毛を飲み込む」のも、便秘の一因となります。
猫は日常的にグルーミングを行いその過程で自分の毛を舐め取り、飲み込んだ毛は胃や腸に溜まりますが、やがて便と一緒に排出されます(吐いて排出する子もいます)。
しかし毛が大量に体内に溜まると、消化器官に詰まってしまい動きが悪くなり、便秘を引き起こす原因となるのです。いわゆる「毛球症」といわれる状態ですね。
特に長毛種の猫や換毛期には、通常よりも多くの毛を飲み込むため、便秘になりやすい傾向があります。
そのため定期的なブラッシングで余分な毛を取り除いたり、猫が過剰に毛を飲み込まないように工夫しましょう。
また毛玉を排出しやすくするための専用フードや、サプリメントを与えることも効果的です。
便秘の猫に対する対処法
便秘になってしまった猫に対しては、いくつかの対処法があります。早期に適切な対応を取ることで、猫の健康を守ることができます。
水分摂取を増やす
まずは水分摂取を増やすことが重要です。新鮮な水を常に用意し、水分量の多いウェットフードを与えるのもOK。
また猫に水分摂取を促すために、流れる水(たとえば循環型給水機など)を設置するのもおすすめです。
水分補給は便秘だけでなく、猫が罹患しやすい尿路疾患にも効果的なので、ぜひ積極的に取り組んでください。
お腹のマッサージをする
猫の便秘を解消する方法の一つとして「お腹のマッサージ」があります。人でも便秘になると「の」の字を描くようにマッサージしますが、猫にもマッサージは効果的です。
適度な刺激を与えることで腸の蠕動運動を促進し、便をスムーズに排出できるようにサポートします。
ただし猫はお腹を触られるのに敏感な動物なので、やり方や猫の様子を加味しながら行いましょう。
マッサージを行う際は、猫がリラックスしているタイミングを選び、優しくお腹を触りましょう。
片手で、時計回りに軽く円を描くようにマッサージする方法が一般的です。力を入れすぎず、猫が嫌がる様子があれば無理をしないこと。
毎日短時間のマッサージを続けることで、腸の動きが活性化され、便秘が改善されやすくなるでしょう。
運動量を増やす
運動不足が便秘の原因である場合、猫が日常的に運動できる環境を整えてあげることが重要です。
たとえばキャットタワーやおもちゃを使って、猫がひとりでも楽しんで動けるように工夫したり。
またできれば1回10分程度、猫と一緒に遊んであげるのもgood。それを猫の様子を見ながら、1日2回ほど行えるのが好ましいです。
まとめ
猫の便秘は、珍しいことではないものの適切な対処が重要。猫の便秘のサインを見逃さず、お腹の健康を守ってあげましょう。
とくに水分摂取や食事、運動に気を配り、便秘を予防する生活環境を整えることがポイント。
またもし猫が便秘になった場合は、必要に応じて獣医師による適切な治療を受けるようにしましょう。
(獣医師監修:加藤桂子)