記念日にオススメ!!四季の移ろいを華やかに表現した和洋のフュージョン料理【福岡市・警固】
「日本の四季が感じられる料理を」。20カ国を旅した店主の森山勝盛さんが、改めて日本の良さを見つめて2017年にオープンしたのが、季節の移り変わりを料理で表現する「路地裏のShiki」です。その名前の通り、お店があるのは上人橋通りから一本入った入り組んだ路地裏。店先には小さな庭があり、夜にはライトアップされムードが漂います。
一部の建具に障子や格子があしらわれる和の雰囲気ある空間でいただくのは、イタリアンに和のテイストをプラスした和洋のフュージョン料理です。森山さん曰く、イメージしたのは「海外の都市にある日本のレストラン」。「以前訪れたニューヨークは、人種だけでなく、料理もいろんな国のジャンルが入り混じっていました。その様子が忘れられず、日本ならではの“四季”を軸にしながらも、ニューヨークで見たジャンルレスな雰囲気を店で表現したいと思ったんです」と話してくれました。
席について、ドリンクメニューを開けば「茶酒」と聞きなれない言葉が。「茶酒」とはその名の通り、お茶を使ったお酒です。「以前、八女で栽培される伝統本玉露を飲んで衝撃を受けたんです。でも、日本人でもこんなにおいしいお茶があることを知る人は少ないでしょう。それでお酒を通じてお茶のおいしさを知ってほしいと思いました」と森山さん。実は大名にあるバー「Japanese Salon 雫」もここの姉妹店なのです。
八女市にある酒蔵「喜多屋」とコラボして、香ばしいほうじ茶の旨味が楽しめるオリジナルのお酒「JAPANESE TEA SAKE 八女茶焙じ茶」(写真左/100ml1200円)のほか「抹茶 二層カクテル」(写真右/880円)、煎茶や抹茶などを使った数種類の茶酒が並びます。悩んだ末、乾杯におすすめという「煎茶 自家製スパークリング」(写真中央/950円)を最初の1杯に決めました。
ディナーコースは5500円、7700円、9900円の3種類。いずれも「お皿で季節を表現する」というコンセプトのもと構成されています。メニューは3カ月に一度変わり、さらに使う食材は日々、旬に合わせて変化していくそうです。この日は、7品の料理が楽しめる7700円の「Shikiコース」をオーダーしました。
鮎やズッキーニなど、前菜で初夏の食材を楽しんだ後に登場したのが、「ホタルイカとアスパラのパスタ」です。魚介出汁をベースに旨味を引き出したパスタは、燻製したホタルイカの濃厚な味と香りが印象的。アスパラの瑞々しさやシャキッとした食感もたまりません。
続いて魚料理です。この日は、炭火で焼いたイサキにトウモロコシのソースを添えたもの。イエローのソースが映える美しいビジュアルに早くも心が躍ります。トウモロコシのソースは、卵黄とスパイスが使われていて甘さの中にも個性を感じる繊細な味。さらにオレンジオイルが爽やかさと華やかさを加えています。五感で楽しみながらいただける一皿です。
肉料理は糸島豚。ハーブでマリネし下味を付けた後、炭火で焼いた豚肉はそのまま食べてもおいしい食べ応えがある味に仕上げています。添えられたソースには、「夏に向けてスタミナをつけてほしい」と黒ニンニクを使用。甘酸っぱいソースが、豚肉の脂と馴染んで色が進みます。
コースを一通り終えて印象的だったのは味だけでなくその美しさ。「絵画に例える人もいるんです」と話す森山さんの言葉通り、一皿ごとにわっと心ときめく華やかさがあります。「食材は、生産者の方がどれだけ愛を持って作られているかを大切にして仕入れているんです。生産者の思いを知るために、生産現場を訪れることもよくあります。その道中で見た景色や畑の雰囲気などからインスピレーションを受けて、盛り付けに反映しているんです」と森山さんは話します。
グラデーションを描くように移ろう季節の繊細さ、そしてフュージョン料理ならではの大胆さを楽しめる「路地裏のShiki」。シーズンごとに通うファンがいるのも納得のお店です。
路地裏のShiki
福岡市中央区警固1-4-7クイーンズサンティ天神ウエスト1-A
092-775-6221(ランチは前日21時、ディナーは当日15時までの予約制)