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ストラディバリウスと並ぶ弓の名器を持つバイオリニスト~大谷康子さん

TBSラジオ

ファッションデザイナー:コシノジュンコが、それぞれのジャンルのトップランナーをゲストに迎え、人と人の繋がりや、出会いと共感を発見する番組。

大谷康子さん
宮城県出身の日本を代表するバイオリニスト。東京芸術大学音楽学部在学中からリサイタル、NHK交響楽団、モスクワフィル、スロバキアフィルなど国内外の著名なオーケストラと多数共演し、2010年には文化庁芸術祭大賞を受賞。現在は東京音楽大学と東京芸大ジュニアアカデミーで教鞭をとっています。

JK:日本一のバイオリニストですよ! 日本一、いや世界一かもしれない。

大谷:嬉しい! 3.11のチャリティーのコンサートにはずっと出させていただいて。この間もジュンコさんに楽屋でお声かけていただいて、すごい嬉しかったです。飛んできてくださって褒めてくださったので、こちらももうルンルンでした(^^)

出水:何の演奏されたんですか。

大谷:その時はチゴネルワイゼンを弾きました。チゴネルワイゼンも4千何百回弾いて、多分世界最多じゃないかと思うんですけど(^^)途中まで数えてたんですけど、途中から分からなくなっちゃった(笑)でもちょっと即興的な曲なので、その時のお客様の雰囲気とか熱気とか、そういうもので毎回生き物のように変わるんですよ。

JK:やっぱりバイオリンは生きてますね。

大谷:生きてるはずです。っていうか、生きてるように弾くのが演奏家じゃないかなって思ってます。お洋服だってそうですよね、生きてますもんね。

JK:全く着ることによって、服って生き返ります。気持ちが前にボンと来るんですよ。音楽も変えられますよね。世界変えられますよ。

大谷:そういう文化の力って大きいなって思うんですよね。今日もジュンコさんが赤と黒の素敵なの着てらっしゃるんだけど・・・

JK:気が合いますね。もう1つ合うところが、お誕生日が一緒! めったにないですよ!

大谷:そうなんですよ~! びっくりしました! 前後の人とかっていう人は友達にいるんだけど、どんぴしゃの人ってバーンスタインぐらい(笑)でもなんかご縁がやっぱりあったんだなと思って。

JK:ほんと繋がってるね。長~い糸で繋がってる。

出水:大谷さんは震災後に被災地での演奏とは別に、国際救援に対する感謝のコンサートを企画されたと伺いました。

大谷:よく調べてくださって嬉しいです。被災地ももちろん行きましたけど、やっぱり身をもって日本を助けてくださった方たちにお礼が言いたいなと思って、赤十字のところにまずご相談に。そしたら「思い立ったら早い方がいいよ」っておっしゃったので、9月に国際文化会館で、いろんな方の支援を得て30カ国ぐらいですかね? 人的な救援をしてくださった方や、スイスから来た救助犬とか、アメリカ軍の「トモダチ作戦」もテレビで見て本当に泣けましたけど、音楽の力でお礼を言いたいと思って。

JK:今度はウクライナね。キーウ国立交響楽団。

大谷:2015年に東京で日本ツアーの最初のソリストにしていただいて、それがご縁で「現地で一緒に私たちと弾いて」って言っていただいて行くようになって、毎年行ったの。その頃は今のような戦争をしていませんでしたから、メンバーの中にロシアの人ももちろんいたし、チャイコフスキーが指揮したところで演奏できて。

JK:歴史的ですね。

大谷:今は大変な世の中になってるんだけど、「また落ち着いたら絶対来てね、一緒にやろうね」って今でも毎年言ってくださってて。

JK:戦争なんてありえないですよ。なんで戦争なの? アーティストがもったいないですよ。世界的な方がいっぱいいらっしゃるのに。

大谷:本当に悲しいことですよね、こんなこと続けていたら。だってロシアにとってもウクライナにとっても何の良いこともない・・・犠牲者が増えるばっかりだと思います。だからこそ、もう少しでも音楽の力でみんなが仲良くできるようにと思って、50年間も同じことを言い続けて活動してきたんですよ。

出水:一緒に活動しているキーウ国立フィルハーモニー交響楽団はは、大谷さんの目から見てどんな楽団ですか?

大谷:ちょっとエレガントなところがありますね。日本では時々「お仕事」という感じの人が見受けられて、音楽が好きでちっちゃいとこからやってきたのにどうしてかな、って思う時が多いんですけど、キーウの人たちはみんな本当に嬉しくてたまらないという感じで演奏しているの! それが結構私の気質だと思います。

JK:根から出たものですね。お仕事というよりも、本当に好きでここまで来た。それが国の象徴でもあるんじゃないですか。

出水:ウクライナやキーウの風景で感じるところは?

大谷:2015年に東京で出会って、その後呼ばれて初めて行ったとき、ちょうど5月の春のすごくいい時期を選んでくださって。本当に綺麗! 街並みもお花があふれかえって、緑はもちろん綺麗だし、人々の心もちょっと日本と似ていると思うんですけど、優しくて、ちょっとシャイな感じがあって、すごく居心地のいい街。そして美味しいものがいっぱい! ボルシチだって・・・

JK:そうなんですか? あれはロシアでしょ?

大谷:もともとはウクライナですよ。まあそれこそ繋がっているから、どっちがどっちってお互いに言うのかもしれないけども。

JK:それから美人が多いですよね! ファッションモデルでオーディションするでしょ、ちょっと綺麗だなって思うと、みんなウクライナ。本当に綺麗! すぐ分かります。「あなたウクライナね」ってすぐ当てちゃう。ちょっと面長で、優しい。あまりきつくないの。

大谷:なんか独特の雰囲気ありますね。穏やかな感じですね。

出水:演奏される音楽にも出るものですか?

大谷:本当にそう思います! 演奏を聴くと、初めてでもだいたいどういう人間性か分かるんですよね。自分なんかも全部出ちゃうなと思うんですけども(^^;)そういうものだと思いますね。やっぱり人間がやっていることだから。

出水:早く平時に戻って、皆さんが自由に音楽活動できるような環境になってほしいですね。

大谷:最初始まった頃、シェルターの中にバイオリン持ち込んで弾いているのをニュースで見て、本当に悲しかった。

出水:ジュンコさん、今日お持ちいただいている楽器は300年以上の歴史があるものなんですよ!

JK:ストラディバリウスですか?

大谷:そうです、1702年の「ロード・ニューランズ」という名前がついているものですね。今年デビューして50周年ということで、日本音楽財団がこれを貸与してくださっているんです。ストラディバリウスも自分ではガルネリウスを持っているんですけど、「今回のストラドはどんな子かな?」みたいな感じです。

JK:やっぱり違います?

大谷:ええ、違います、それぞれ。やっぱり1つずつ作ったものですからね。今回のも大きなホールですごく力強くもなりますし、私はわりと繊細なところから強いところまで幅広く演奏したい方なので、それに応えてくれるんです。

JK:弦の細さと太さ、これで違うわけですか?

大谷:これは付属品みたいなもので、本体の作りですね。中から共鳴してくるもの、材質とか全部違うんです。本当に良いものは軽い。結局昔のは木が枯れているから、乾燥しているので軽いんです。弓もナポレオンの三世の持ち物だったので。

JK:ええ~っ!! すごいことよ、これ!!

出水:フロッグ、持ち手のところに王冠のマークとナポレオンのNが書いてあります。

大谷:Emperor de la Musiqueって書いてあって。別にお宝探偵団みたいなの探そうと思ったわけじゃないんですけど、たまたま私の方にこれが寄ってきてくれて(^^)

出水:どれだけ貴重なものなんですか?

大谷:このタイプはペカットという作者が作った弓で、ちょっとややこしい話ですけど、ペカットとトゥルテっていうのが二大名器なんです。例えば、ストラディバルとガルネリみたいな双璧。これはトゥルテをモデルにしてペカットが作ったというもので、3本しか作らなかったんですって。

出水:3本?!

JK:作れなかった? 作らなかった?

大谷:作らなかったんですよ。そのうちの1本が運命的に来てくれちゃって(^^)

JK:すごい! 寄ってくるんですね。大谷さんに弾かれるのを喜んでますね。

大谷:たぶん喜んでくれてると思います(笑)

出水:先ほどお話にありましたけれども、今年デビュー50周年ということでおめでとうございます!ソリストと並行してコンサートマスターも34年間勤められているということですが、女性でコンマスというのは珍しいんでしょうか?

大谷:あの頃は少なかったですね。でも本当に勉強になりました。とにかく現代音楽から、本当に古い時代、バッハよりさらに古い時代の作曲者の素晴らしい音楽が演奏できるわけですよね。その間に自然とスタイルというか、それぞれの作曲家の様式感を勉強させてもらったなって思います。今大学とかで教えたりしていても、古い時代のものをロックのように弾くのは別ジャンルとしてはありでしょうけど、クラシックの演奏としてはありえないことなので、ベートーベンはベートーベン。ストラビンスキーとかバルトフのように弾いたら違う形になりますから、そういうことを教えていく上でもいろいろと勉強できてよかったなって思っています。

(TBSラジオ『コシノジュンコ MASACA』より抜粋)

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