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遺伝子マッチングで成功 米国で絶滅危惧のフクロウ、個体数が増加

ELEMINIST

パートナー探しに苦労しているのは人間だけではないようだ。アメリカでは、絶滅が危惧されるフクロウの個体数を増やすため、研究者らがDNAを解析し最適なカップルをつくりだす手助けをしている。

冬の野生下での生存率は30%

アメリカ、カリフォルニア州で絶滅の危機に瀕するアナホリフクロウ(Burrowing Owl)の個体数を増やすために、科学の力でフクロウのカップルをマッチングさせる取り組みが行われている。

2月はアナホリフクロウにとって繁殖シーズンが始まる時期。しかし野生下でアナホリフクロウの若鳥が無事に冬を越せる確率は30%と極めて低い現状にある。フクロウが無事にパートナーを見つけ、越冬できるようにと始まったのがこのマッチングプロジェクトだ。

アナホリフクロウはその名の通り地面に穴を掘って巣をつくるのが特徴。都市開発による生息地の喪失や気候変動による環境の変化が原因で、個体数は激減。絶滅の危機に瀕していた。

DNA解析で健康なフクロウを増やす

フクロウのマッチングは「遺伝的に最適なカップル」をつくることに着目している。フクロウの羽や血液から採取したDNAを解析し、近親交配を防ぐことで、より健康な子孫を残せるペアを組み合わせられるのだという。

成果はすでに報告されており、DNA解析に基づいてマッチングしたカップルから生まれたフクロウは、「テロメア」の長さが通常の2倍であることが判明している。テロメアとはDNAの末端部分にある構造のこと。テロメアが長いほど健康で長生きすると言われており、フクロウにおいても同様の効果が期待されている。

15羽から100羽に 絶滅危惧種候補だが個体数は増加

このプロジェクトを主導するのはサンノゼ州立大学のリン・トゥルリオ博士。20年以上にわたりアナホリフクロウを研究してきたエキスパートだ。

トゥルリオ博士のチームがマッチングのために保護するのは、一定の年齢に達した若鳥で、親が2羽以上の子をもつフクロウに限定されている。保護された若鳥は、健康診断と隔離期間を経た後、サンノゼ南部のモーガンヒルに位置する「野生動物教育・リハビリセンター」の広大な飼育施設で冬を過ごすことになる。

この施設にいる間にDNAの解析が進められ、研究者たちによってペアが決定される。マッチングが成功すれば指定された巣穴に放たれ、カップルとしての生活がスタートする。この巣穴には人工的に造られたものも含まれる。

カップルに与えられる巣穴には、アカオノスリやイヌワシなど、天敵である猛禽類からフクロウを守るために上部に囲いが付けられており、この巣穴にいる間は、研究者たちから補助的な餌も与えられるようになっている。新婚生活のサポート体制もバッチリだ。

2024年には、カリフォルニア州で絶滅危惧法に基づく保護種にも指定されたアナホリフクロウ。一時はわずか15羽しかいなかった成鳥の個体数も100羽近くにまで増え、若鳥の個体数に関しては現在200羽を超えているという。研究者によるマッチングの成功率はかなり高いようだ。

※参考
These matchmakers will find you the perfect mate—if you’re an owl|National Geographic

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