「ニヤケ顔で死体解体」「ヤバい駆け引きに脂汗」サイコな〈15禁〉血まみれ映画『デビルズ・ゲーム』
暴力×暴力=『デビルズ・ゲーム』
3月7日(金)より公開の韓国映画『デビルズ・ゲーム』は、サイコな連続殺人鬼と猪突猛進な熱血刑事の<身体が入れ替わる>という、いわゆる“ボディチェンジ”映画。クライムサスペンスかと思いきやモンスター映画に豹変する怪作『オオカミ狩り』(2022年)の制作陣による、息つく暇も与えない殺意と復讐の雪崩のようなスリラーだ。
チャン・ドンユン×オ・デファン「俺がお前でお前が俺で」
主人公の刑事ジェファンを演じるオ・デファンはサスペンス・アクションからコメディまで日本公開されたヒット作などで幅広く活躍しているので、その顔に見覚えがあるだろう。そんなデファンが本作で演じる脂の乗り切った刑事はハマり役だ。
もう一人の主人公で殺人鬼のジニョクを演じるのは、『オオカミ狩り』で一見ヒョロいが鋭いナイフ使いを好演していたチャン・ドンユン。ジニョクは遺体をニヤケ顔で解体するマッドな殺人鬼だが、ドンユンのベビーフェイスのおかげで怪しさも危うさもビンビンだ。
そんな2人の身体が入れ替わる=2倍の演技が必要になるので撮影は相当ハードだったことだろう。しかしながら両者とも「入れ替わってますよ」な表情演技が見事で、これから起こるであろう惨事を嫌でも想像させられる。
なお主人公ジェファンの上司であるチーム長を演じるのはチェ・グィファで、『オオカミ狩り』でフランケン風の怪力ミュータントを演じていたのが彼。とはいえ本作で演じるチーム長は『犯罪都市』(2017年)のイルマン班長からオヤジジョーク要素を完全に抜き取ったような人物で、当然ながらサイコ要素もギャグ要素も皆無である。
「入れ替わり映画」の新機軸
女子高生と殺人鬼の中身が入れ替わる『ザ・スイッチ』(2020年)はスラッシャーなコメディだったが、入れ替わる同士のギャップが激しいほど面白くなってしまうのがボディチェンジもののお約束。その点『デビルズ・ゲーム』は殺人犯と刑事という点で、むしろニコラス・ケイジ×ジョン・トラボルタの顔面とっ替え映画『フェイス/オフ』(1997年)に近いヒリヒリ感がある。
そもそもがサイコパスなジニョクなので「(刑事ジェファンとして)入れ替わったんだ!」と訴えても信用されるはずがなく、後輩刑事ミンソン(チャン・ジェホ)だけが「彼を信じるべきか……」と逡巡する。殺人鬼が自分の体で愛する家族と暮らしているなどと想像するだけで寒気がするが、なんとも言えない「ぐぬぬ……」な心境を表現してみせたドンユンに注目だ。
どんでん返し“超え”の衝撃展開に備えよ!
刑務所から逃亡したジェファンは連続殺人の共犯者を探るが、まるで殺人鬼の体に意識まで飲み込まれたかのように暴力行為がエスカレート。ミンソンも信じられないとは思いつつも刑事ジェファンとしての生活を堪能している殺人鬼ジニョクに探りを入れ、彼から“入れ替わり”を大真面目に相談されたチーム長もジェファンを見る目が変わり……。
『オオカミ狩り』のようなエクストリームなバイオレンスこそないが、ハンマーやナイフのザクザク・ガツンとリアルに痛そうな暴力が満載の本作。原題はズバリ「悪魔(악마들)」なのだが、入れ替わり=憑依、あるいは“本性の表出”なのでは? と思わせる終盤のハラハラ展開……からの、あまりにも予想外すぎる事実は思わず「えっ……!?」と声が漏れそうになる衝撃度だ。
『デビルズ・ゲーム』は3月7日(金)より全国公開