TVアニメ『公女殿下の家庭教師』キャストインタビュー第1弾:アレン役・上村祐翔さん&リディヤ・リンスター役・長谷川育美さん|公女殿下たちが成長していくようすを見守ってほしい
2025年7月より放送開始となるTVアニメ『公女殿下の家庭教師』。
王宮魔法士の試験に落ちてしまい、実家に帰ろうにも先立つものがないアレン。仕事を探す彼に舞い込んだのは、公爵家御息女、すなわち公女殿下の家庭教師の仕事でした。そこで待っていたのは、魔法を一切使うことができない少女で……。
本稿では、アレン役・上村祐翔さん、リディヤ・リンスター役・長谷川育美さんのインタビューをお届け。キャラクターの魅力や物語の注目ポイントについて、お話を伺いました。
▲上村祐翔さん
▲長谷川育美さん
【写真】『公女殿下の家庭教師』キャストインタビュー第1弾:上村祐翔&長谷川育美
公女殿下たちが成長していくようすを見守ってほしい
ーーさっそくですが、作品の印象を教えてください。
アレン役・上村祐翔さん(以下、上村):『公女殿下の家庭教師』というタイトルがついているので、主人公はもちろんアレンかなと思ったのです が、そのアレンとの関わり合いを通して、ティナをはじめとする“公女殿下”たちが成長していく物語だなと感じました。そこに優しく寄り添うアレンの雰囲気もとても印象的ですし、ヒロインたちが成長していく度合も分かりやすく描かれていて、「がんばれ!」という気持ちにさせてもらえる作品だなと。
一方で、アレンはすごく穏やかでありつつも少しミステリアスというか、アフレコを重ねてもなお「まだ隠してるものがありそう」と思わせるキャラクターです。タイトルに家庭教師と入っているからには彼が中心にいるのは間違いないんですが、アレンがどういう人物なのか、もっと知りたくなってきています。そういう意味でも、登場人物が全員魅力的だなというのも印象的でした。
リディヤ・リンスター役・長谷川育美さん(以下、長谷川):私もアフレコをしていても、アレンがすごくいいなと思っています。男の子の主人公がいてまわりにヒロインがいっぱいいるという構図って、ほかにもいろいろな作品がありますよね。それぞれに違った主人公像や作品の魅力があると思うんですが、その中でも私は個人的になんだかアレンがすごく刺さっています。
さっき上村さんもミステリアスとおっしゃっていましたが、穏やかでありつつも軸がぶれないところや、まわりにあまり左右されないところがいいですよね。しっかり自分の役目を把握していて、それをきちんと成し遂げようとする姿勢が主人公としてすごく魅力的だなと思えます。特にリディヤはアレンに好意がある役柄なので、演じる私としてもちゃんとそういうところを魅力的だと思いながら演じられていることが、すごくうれしいなと感じています。
アフレコ現場ではアレンをいじっちゃう時も結構あるんですけど(笑)
ーーオーディションなどで最初に本作を見た際、どのような感想をお持ちになりましたか?
上村:オーディションの資料をいただいた時はすごくワクワクしました。セリフはそんなに多くなかったんですが、ポイントを押さえたシーン選定になっていたこともあり、資料を見て「僕がアレンを演じるのであれば、そんなに役を作りすぎずに演じられそうだ」と思いました。というのも、僕自身、家庭教師をやっていたことがあって、さらに教員免許を持っていたり、子どもに教えた経験もあるんです。
自分の経験がどこまで活きるかは分からないけど、そういった部分にアレンと通ずるところがあったらいいなという思いでオーディションを受けたので、合格をいただいた際はそれがきちんと繋がったと実感できてうれしかったです。
長谷川:私はオーディションを受ける時に、原作の序盤の方を読ませていただいたんですが、最初に出てくるヒロインがティナとエリーで。私はリディヤ役を受ける前提で読んでいたので、「この子たちと(恋愛的に)競うってこと?」「どういう展開になっていくんだろう?」というのがまず最初に気になりました。
リディヤは実際の年齢より少し大人っぽく見えるキャラクターで、一方でティナやエリーはまだちょっと可愛らしさや子どもらしさが残るキャラクターです。この年齢差のあるキャラクターたちが主人公を取り巻くというのが、あまりないヒロインの構図なのではと。なので、特に恋愛面においてすごく気になっていました。
ーーそれぞれご自身が演じられるキャラクターのお話が出ましたが、ご自身の言葉で簡単に紹介してください。
上村:本当に基本穏やかなんですよね。感情的になることがあまりなく、実際に家庭教師として教えている時もすごく物腰柔らかな感じですし、そこまで厳しく指導したりすることもないんです。
ただ、「ここは絶対に譲れない」というところでは、感情を全面に出すこともあったりするので、多分ですが怒らせたら本当に怖い人な気がします。でも、基本的には“穏やか”に尽きるかなと思います。
長谷川:リディヤはギャップがある、いわゆる“ツンデレヒロイン”ですよね。剣術に長けていて、剣姫と呼ばれているほどすごく強い。精神的にも強い方だと思うし、しっかりしている。けれど、ところどころで子どもっぽさが現れたりする。そのギャップがいいなと思います。やっぱり見てくださる方にはこのギャップの部分がきっと刺さるんじゃないかな。
ーーご自身の演じるキャラクターならではだと思う言動や表現はありますか?
上村:なんだろう……女子たちと関わることで困った顔をしてることが多くて、その苦笑いがアレンらしいですね。本当に困っているんだとは思うんですけど、それが処世術になっている気もして、上手いことやってるなと。
みんなを大事にしようとしていたり、みんなを止めるストッパー的な役割もしていたりするので、アレンの困った顔が人間関係をまろやかにしてますよね。
長谷川:リディヤはちょこちょこ「ふん」って言うんですが、そこにリディヤのキャラクター性がめちゃめちゃ表れてるなと感じます。
場面によって「ふん」の意味合いは変わってくると思うんですが、気の強さもあるだろうし、子どもっぽさなところもある。照れ隠しとかもありますね。本心があまり上手く出せないみたいなところもあったりして。それら全部がリディヤっぽいなって思うので好きですね。
ーーご自身の演じるキャラクターに共感できるところや、似ているなと思うポイントはありますか?
上村:僕自身も日々感情的になることはそんなにないかなと思うので、そういうところはアレンと似ていると自分では思っているんですけど……どうだろう(笑)
でもアレンの方が大人な気がしますね。キャラクターだからというのはあるかもしれませんが、人として全員に物腰柔らかくて。
長谷川:でも(上村さんも)穏やかだよね
上村:そ、そうかな?(笑)
長谷川:空気感も似てて
上村:空気感?そういえばさっき(アフレコで)どの子が好き?って……
長谷川:ヒロインキャストたちでめちゃめちゃ上村さんをつめまくってました(笑)「誰が好きなんですか?上村さんは!」って(笑)
上村:だいぶ冷や汗かいたし、アレンみたいな苦笑いどころじゃなかった。
長谷川:答えたら答えたでめっちゃツッコまれるっていうね(笑)
上村:何を言えばよかったんだ…ってなってました(笑)
長谷川:やっぱ苦笑いしておけば流れていくんじゃない?
上村:そっか!今度やってみよう(笑)
ーーリディヤはいかがですか?
長谷川:私もはっきり言うタイプですけど、それこそ本心が上手いこと言えないというのはあるかもしれないですね。
例えば、誰かにほめてもらえた時とか、後輩の子に好きですと言われた時とか、なんか本当の内心は「やったー!!」とか「うれしいー!!」とか思うけど、口に出すのは「いやぁ、ありがとう」とか「ああ…うん」みたいな(笑)
素直にこの気持ちのままに全部出せないところはあるかもしれない。
上村:照れ隠しみたいな?
長谷川:照れ隠しはすごいしちゃうタイプですね。
ーーそんなご自身が演じられるキャラクターですが、お芝居で大切にしている点やこだわっている点などがあれば教えてください。
上村:演じる時で言うと、やっぱり普段の会話と、ティナたちに対して何かを教えたりする先生としての部分は自分の中で切り替えられるようにしたいなと思っています。
特に先生としての部分は、ティナが魔法を使えないところから物語がスタートすることもあり、アレン自身の経験も含めて「魔法を使うって楽しいことなんだよ」と伝わるといいなと。PVとかでもそれがキラキラしたものとして描かれていましたよね。
特に作中には難しい言葉も出てくるので、教える時はよりいっそう1つ1つの言葉も意識しています。そういった説明セリフも含めて(ティナに)「伝わったらいいな」という優しさを持って教えようと思っています。
長谷川:リディヤは、基本的には強い女の子だなと思っていて。それこそ戦闘においてもですし、どんどんアレンを取り巻く女の子キャラが増えていく中で、あまり動じていない。いつもどっしり構えていて、あたふたしてることも全然ない。なので、精神的にもすごく強い子なんだろうなぁと思いながら演じています。
一方で、やはりヒロインポジションのキャラクターなので、かわいらしさとの塩梅は難しさがあります。結構堂々とさせてしまいがちというか、あまりか弱くしたくないという思いもあって、どっしりとお芝居をしてしまうんですが、「もう少しかわいくお願いします」とディレクションをいただくことも……。そのあたりの塩梅を探りながら、結構気にしてお芝居してますね。
ーーアレンの場合はそういったディレクションはありましたか?
上村:特には ディレクションはあまりなかったかなと思っていて、ただ感情をどこまで出していいのかという部分では微調整をしています。アレンは基本的には穏やかにみんなに接するというベースがあるので、公女殿下たちがどういう球を投げてくるかに応じて、どうまろやかに返そうかというのを掛け合いの中で探らせていただいています。
長谷川:相手の出方によって臨機応変にね
上村:うん。受け芝居ってほどではないんですが、出たとこ勝負なところもありますね。みんな個性あるヒロインたちなので、「あ、こういう風に来たか〜。であればこういう風に戻しますね〜」と(笑)
やんわりと軌道修正する感じでやってます。
ーーアフレコのお話も出ましたが、共演者との印象的なエピソードや思い出はありますか?
上村:直近だともう……(笑)
長谷川:めちゃめちゃ詰められてましたね(笑)
上村:そうそう(笑)でも、にぎやかになったなと思っていて。序盤は本当に人数も少なかったですが、中盤からはたくさんの方がアフレコにいらっしゃっていて、本当に楽しいですね。
個人的には、こういう女性キャラクターが多い現場ってあまり経験がないんですよ。なのですごく新鮮です。詰められるのも、なんかむしろうれしいくらい(笑)「なるほど!そっか、そっか。こういう会話するよね」って感じで。
長谷川:よかった〜!先輩に失礼なことしてないかなーって思っていたので(笑)
そういえば序盤は先輩方と「メインキャストで男性1人だけど大丈夫か?」みたいな会話をしていましたよね(笑)でも本当にみんな気兼ねなく話せていて。
上村:すごくうれしい
長谷川:めちゃめちゃにぎやかだよね。花澤香菜さんとはパンの話で盛り上がって(笑)
上村:そうそう!
長谷川:パンの話がもう玄人の会話でした(笑)聞いたら何でも分かるっていう(笑)
上村:長谷川さんとは何回かご一緒してますが、ここまでがっつりレギュラーで毎週一緒になったことはなかったですし、ほかの方もほぼ初めましての方が結構いらっしゃる現場だったんですが、だんだん仲良くなってきた感じがしてますね。
ーー先ほど詰められたお話もありましたが、ご自身の演じるキャラクター以外でのお気に入りのキャラクターや気になるキャラクターはいますか?
上村:それは……
長谷川:あ、でも今回は全キャラ対象だし、ヒロイン以外でも……アンコさんとかもいるし(笑)
上村:あ〜優しいなぁ。すごい逃げ道つくってくれてる(笑)
でも本当にリアルなところでいうと、教授とかなんですよ。なんかアレンがどう立ち向かったところでいなせない人なんです。
長谷川:たしかに。
上村:命令には従うし、教授の手のひらの上で転がされてることが多くて、やっぱりアレンの手にも負えないキャラですよね。「教授はめましたね」って言ってることが多いので。
教授は飄々としていて、でもかつてはすごい魔法士だったというバックグラウンドもあるらしいです。
本作はわりと若いキャラクターが多いんですが、こういう大人たちの活躍も楽しみにしていただきたいですね。
長谷川:私はやっぱり、ティナ、エリー、リィネのちっちゃい3人組が好きです。リディヤも「ちっちゃいのたち」と呼んでいたりして、あの絡みもすごくかわいいなぁと思って。そこがすごく癒されました。
この3人はまだ実力的にも並んでいるというか、一緒に学んでる状態で、それこそ3人で切磋琢磨したりちょっと喧嘩したりしながら成長していく姿が、なんかもうすごく愛しいです。
ーーそれでは、物語冒頭の見どころや、注目ポイントはありますか?
上村:冒頭のところでいうと、アレンが汽車に乗っていて、「試験に落ちた ようです。にこっ」みたいなシーンがあって。大変なことが起こっているのに、なんかもうすでに微笑みはじめてる(笑)
長谷川:さすが穏やか(笑)穏やかレベルがカンストしてる(笑)
上村:そうそう(笑)この時点で「あ、アレンはあまり動じないやつなんだ」って分かっていただけるんじゃないかと。
アレンが今後どういう風にいろんな表情を見せてくれるのかな?どう紐解かれていくのかな?という期待感がちゃんと出てくるような感じになっているので、冒頭から楽しんでいただければと思います。
長谷川:原作を読んでいただいた方からすると、リディヤはまだまだ出てこないキャラだし「何話から出てくるのかな?」となっているかと思うんですが……1話目から出番をいただいております!
なので、リディヤが好きな方は待っていただかずとも声が聴けるシーンがありますよ!っていうところを楽しみにしてもらいたいなと思います。
ーーアレンとリディヤ、お互いのキャラクターへの印象はいかがですか?
上村:ディレクションの影響もあるとは思うんですが、掛け合いをしてみて思うのは、デレ要素が結構多くて。なんか会う度にくっついてるな、みたいな印象があります。
長谷川:本当にそうですね!
上村:ね。アレンといる時は普段のリディヤとは違うという。堂々というよりは甘えてる感じがして、話し方もなんかボソボソって。
長谷川:確かに。ちょっと縋っている感があるみたいな。
上村:うん。なんかこの唯一無二感はやっぱりアレンとリディヤならではのものがあるなって思います。
この空気感は結構好きですね。
長谷川:アレンは、いろいろな女の子たちの中に居つつも、ちゃんと理性があって(笑)
落ち着きもあるし、ちゃんと能力も優れてる人で、なんか隙がないんですよね。この物語を見ている第三者としては安心感があってすごくいい。けれどそれがリディヤからしたら、きっと打っても打っても響かないようで、多分もどかしいのかなって。恋愛的な当事者になったら、この穏やかすぎる感じが厄介かも……と。もっと崩れろよ〜みたいな。
上村:えっと、じゃあまとめると穏やかで厄介ってこと?(笑)
長谷川:当事者じゃなかったらいい!ふわっと関わる分には最高の人だけど、もっと近づきたいって思った時には「どこから攻めれば!?」みたいな。リディヤもティナも結構グイグイいくけど、あまり大崩れしてくれないから……。そうすると、恋する女の子としては難しいかなって思いますね。ヒロインもどんどん増えていくし、リディヤも難易度高めの人を好きになってますよね。
ーーちなみに、もし魔法が使えるとしたらどんな魔法を使ってみたいですか?
上村:ベタですけど、空とか飛びたいです。
大学時代に友達と沖縄に行ってパラセーリングをやったんですよ。パラシュートを船で引っ張って、バンって飛ばして。200mくらいの高さまで上がるんです。それがやっぱり絶景で。
長谷川:ええ!面白そう!
上村:本当に海と空しかない空間で、すごいなってめちゃくちゃ感動したのを今でも覚えています。そういう景色を自由に見れるんだったらそれはいいよなって。なんか悩んでることが吹っ飛びそう。
長谷川:確かに。なんでもいいやって思えそう。
日常的に使えたら最高ですね。
上村:そうそう。ちっぽけだなみたいなね。
メンタルがだいぶ安定する(笑)
長谷川:私は……あの……何でも清潔にできる魔法(笑)
ーーどういうことですか!?(笑)
長谷川:片付けるのが嫌いというか、掃除そのものが全部嫌いで。洗面所とか水回りとかどこを掃除するにしても、洗濯をするにしてもめんどくさくて。「えい!」ってやったら全部パッときれいになってほしい(笑)排水口の中まで全部(笑)
上村:ああ、最高だね。
長谷川:そういう人間が日常で当たり前にやらないといけないことをなくしたい。
その時間でできることが多くありますから(笑)
ーー最後に、放送を楽しみにしていただいているファンの皆さまにメッセージをお願いします
上村:原作が連載中の作品なので、きっとたくさんの方に楽しみにしていただいているんじゃないかなと思っていて、そんな作品に携わることができてとてもうれしいです。
公女殿下たちが成長していくようすを僕自身も楽しみながらアフレコ収録に参加しているので、皆さんにも同じように見守っていただきたいなって思います。
あとはアレンがいつその素の顔を見せるのかも含めて、「どういう主人公なんだ!?」という目線でも見ていただきたいですね。各キャラクターの変化を楽しんでいただけたらうれしいです。よろしくお願いします。
長谷川:アフレコをしていく中で、本当に癒される瞬間がたくさん物語にあって、すごくニコニコしながら現場で見ています。
ティナたちがすごく健気に一生懸命がんばる姿は、きっと心打たれるものがあるんじゃないかなって思います。
今日上村さんとキャラクターの話や見どころの話をさせていたので、そういったところも踏まえながらぜひいろんな角度で楽しんでいただけたらうれしいです。