「そんなの当たり前」って言い出したら終わり。哲学者が子どもに伝えたい大切なこと
目まぐるしく変わる世界の状況。価値観も国や人それぞれで、教科書やマニュアル、「今まで通り」が通用しないことも多い今の時代。子どもたちが悩みを抱えたときには、状況に応じて、自分自身で深く考えて答えを導くことが大切になってきます。
そんな「考える力」を身につけるのに最適なのが「哲学」。子どものための初めての哲学本『子どもテツガク』の著者、哲学者の小川仁志さんに聞きました。
どんなことにも、まず「疑問」を持つことが大切
「深く考える」というのは、「こうじゃないかな?」「やっぱりあっちかな?」など、さまざまな視点で見てまとめていくこと 。子どもの頃からこれが習慣化されていると、人は人生を主体的に生きられるようになります。
これができず、浅くしか考えられない人は、インターネットやSNSで発信される情報を鵜呑みにしてしまったり、人の言ったことをそのまま受け止め、そこから問いを深めていくことができません。
「深く考える力」は大人になってからではなかなか身につかないので、子どもの頃から習慣化するすることが大切。そのカギとなるのが「哲学的な思考」です。
考える前から「当たり前」を決めてしまうのはよくない
「深く考える」の敵は「そんなの当たり前」という言葉です。大人は常識や世間のしがらみが多いので仕方ないこともありますが、子どもの世界では「当たり前」という言葉を消したいですね。
いろいろな世界、経験から、どうしたらいいのかを自分から考えていけばいいのであって、考える前から「当たり前」を決めてしまうのはよくありません。
大人も子どもも、今ある概念が「当たり前」じゃないと気付いたとき、人は世界の見方が変わります。人生の考え方も変わりますよ!
お話をうかがったのは/小川仁志さん●哲学者・山口大学国際総合科学部教授学。専門は公共哲学。「哲学カフェ」を主宰するなど市民のための哲学を実践している。NHK・Eテレの哲学番組「世界の哲学者に人生相談」や「ロッチと子羊」などの指南役としても知られる。