連載/湘南カラー 医療課題解決の芽 育てる テルモ株式会社湘南センター
「テルモという響きから外資系企業と思う方も多いかもしれませんが、日本生まれの会社なんです」と話すのは、医療機器メーカーのテルモ株式会社の研究開発施設「湘南センター」(中井町井ノ口)センター長の大谷内哲也さん。
第一次世界大戦時、輸入に頼っていた体温計を国内で製造しようと、北里柴三郎らが発起人となり、1921年に創業したのが同社だ。社名はドイツ語の体温計「thermometer」に由来する。
同センターは1989年、静岡・甲府地区にある工場と東京本社を結ぶ動線上にあり、東名高速道路のICにも近い中井町に開設された。研究開発拠点は海外も含めて22カ所ある中、同社が3つの柱とする事業「心臓血管カンパニー」「メディカルケアソリューションズカンパニー」「血液・細胞テクノロジーカンパニー」の全ての研究機関がある唯一の施設。「医療を通じて社会に貢献する」という理念のもと、医療ニーズに応える新たな製品を生むため約1千人の従業員が勤務する。
食堂にある売店では中井町にちなんだ物品も販売。トマトなどの農産物は「おいしい」と評判だった。花火などのイベント時には駐車場を貸し出すなど地域連携も進めている。
豊かな緑に癒され
糖尿病治療などに用いられる痛みの少ない注射針の開発など、自身も研究者だったという大谷内さん。緑豊かで、晴れた日には富士山やスカイツリー、海を臨むことができるロケーションに、「開発には生みの苦しみが伴う。ふとした時に見えた景色にほっと癒される時もあった」と窓の外に目を細める。コーポレートカラーでもある緑にちなみ「ここは種を撒いて芽を出して育てる場所。アソシエイト(社員)には自由な発想で医療に貢献してもらいたい」と話す。
■テルモ株式会社湘南センター/足柄上郡中井町井ノ口1500