県高校総体前特集 バスケットボール女子(2)大分 勝利の記憶と敗戦の傷、重ねて強くなる 【大分県】
県高校総体の前哨戦となる南九州四県対抗バスケットボール選手権(南九対抗)の女子県予選は明豊が優勝した。1月の県新人大会を制した大分との2校が優勝候補の筆頭だが、虎視眈々(たんたん)とタイトルを狙うライバル校も力を付けている。県総体を前に実力校の現在地を探った。第2回は王者奪還に燃える大分。
【チームパラメーター】( )は昨年の数値
オフェンス 8(7)
ディフェンス 7(8)
リバウンド 6(7)
シュート 7(7)
スタミナ 8(7)
高さ 9(8)
南九対抗県予選で準優勝という結果に終わった大分。1月の県高校新人大会を制し、勢いに乗って臨んだ大会だったが、決勝で明豊に敗れた。敗戦の背景には、実力以上に「チームの空気」が大きく影響していた。
「初戦からチームとしての一体感がなくて、どこかふわっとした空気が流れていた」と語るのはキャプテンの緒方愛実(3年)。県新人大会で優勝したという自信が、気の緩みやプレッシャーに転じたのかもしれない。「おかしいと感じていたけれど、自分から言葉にできなかった」と悔しさをにじませたその言葉は、チームの精神的な課題を象徴していた。
試合内容も大分らしいアグレッシブなプレーは影を潜めた。井場田卓監督は「前半はプラン通りに進んでいたが、後半は相手の運動量に付いていけなかった」と語る。守備の要・阿南希美(3年)がけがの影響で運動量が少なかった影響も大きく、ゾーンディフェンスやマンツーマンの切り替えがうまく機能しなかった。
パスを出せる点取り屋の緒方愛実
とはいえ、このチームには確かな地力がある。緒方と並ぶ2本柱の一人、小村梓は2年生ながら平均20点以上を稼ぎ出すスコアラー。決勝では疲労も重なり本来のパフォーマンスを発揮できなかった。それでも、下級生が存在感を放っていることは、チームにとって大きな希望だ。さらに、春に加入した1年生たちの存在も見逃せない。「4、5人は即戦力として使える選手が入ってきた」と井場田監督は語る。緒方も「人数が増えたことでチーム内にライバル意識が芽生え、成長への意欲が高まっている」と感じている。人数が増えた分、まとめ役としての苦労はあるが、それ以上に競争と刺激が生まれているのは確かだ。
スタイルとしては、昨年のチームに比べてスタミナと高さが大きな武器になっている。170cmを超える選手が複数名おり、高さと平面で勝負できることが強み。県総体では、今大会で出せなかったオールコートプレスやアグレッシブなディフェンスも再び武器として復活する予定だ。
緒方は「もっと周りを見て、ドライブの後にパスを出せるようになりたい」と自己課題を挙げる。「全タイトル制覇」という目標を掲げる緒方にとって、今回の敗戦は大きな学びとなったはずだ。井場田監督の「今回の負けを糧に、もう一度ゼロからやり直す」の言葉通り、新たなスタートを切ろうとしている。修正点は明確で、ポテンシャルは十分。今度こそ、本当の大分の姿を見せるはずだ。
第2の得点源として期待のかかる小村梓
(柚野真也)