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近代建築の巨匠の活動に迫る「ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合1930-1965」が1月11日~3月23日、『パナソニック汐留美術館』で開催

さんたつ

01_ル・コルビュジエ《マッチ箱と二人の女》

1930年代以降にル・コルビュジエが手がけた絵画、彫刻、素描、タペストリー、さらに後期の建築作品を併せて紹介する「ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合1930-1965」が、2025年1月11日(土)~3月23日(日)、東京都港区の『パナソニック汐留美術館』でル・コルビュジエ財団の協力のもと開催される。

建築だけにとどまらない、ル・コルビュジエの綜合芸術に肉薄

ル・コルビュジエ《マッチ箱と二人の女》 1933年 森稔コレクション蔵。

自身の芸術活動の後期において、建築の指揮のもとで絵画や彫刻をつなぐ試みを「諸芸術の綜合」と言い表した建築家、ル・コルビュジエ(1887~1965)。

本展では1930年代以降にル・コルビュジエが手がけた絵画、彫刻、素描、タペストリーとともに、後期の建築作品も併せて紹介。彼の芸術観全体を示す「諸芸術の綜合」というスローガンとともに、その活動を明らかにしてみせる。

「住宅は住む機械」という言葉が表すように、機能主義者というイメージがあるル・コルビュジエ。本展に登場する楽観的で歓喜に満ちた作品群は、そんな彼の新たな一面を見せてくれる。また、レジェ、アルプ、カンディンスキーといった同時代の芸術家たちの作品を対峙させることによって、当時の芸術潮流における彼の立ち位置を浮かび上がらせる構成も興味深い。

ル・コルビュジエ《レア》1931年 大成建設株式会社蔵。
ル・コルビュジエ《牡牛》1963年 ル・コルビュジエ財団(パリ)蔵。

ゲスト・キュレイター、ロバート・ヴォイチュツケ氏による新たな視点

2020年から2022年まで『国立西洋美術館』の客員研究員として滞日していた、ドイツの若手美術史家ロバート・ヴォイチュツケ氏がゲスト・キュレイターとして参画。ル・コルビュジエが手掛けた世界文化遺産、『国立西洋美術館』の建築の新たな解釈を示した近著『未完の美術館』に基づいて、これまでにない視点のキュレーションを展開するのも大きな見どころだ。

また後期の絵画芸術に注目し、人間の生命力と精神の進化を象徴的に表した「牡牛」シリーズの集大成、3連画《牡牛XVI》《牡牛XVIII》《牡牛》(未完・遺作)が展示されるのも必見。

会場構成は、気鋭の建築コレクティブ「ウルトラスタジオ」が担当。ル・コルビュジエの内装に着目し、「インテリア」「コーディネイト」「トランジション」をキーワードに居住空間のなかに置かれた諸芸術の綜合をイメージして構成してみせる。

洗練された空間の中で、心ゆくまで作品を堪能できそうだ。

ロンシャンの礼拝堂(フランス、ロンシャン)1950~55年 南西からの眺め 建築=ル・コルビュジエ 撮影=下田泰也 2016年。
ルシアン・エルヴェ《ショーダン邸 南西側ファサードのディテール》1955年 大成建設株式会社蔵。

関連イベントにも注目

1月12日(日)14:00~15:30 展覧会記念講演会

講師にゲスト・キュレイターのロバート・ヴォイチュツケ氏を迎える展覧会記念講演会 「アートがテクノロジーと出会うとき。ル・コルビュジエと協働したウルミラー・エリー・チョードリー」が『パナソニック東京汐留ビル 5階ホール』で開催。チャンディガールの都市計画のなかで「知のミュージアム」の図面制作をル・コルビュジエに任された、インド初の女性建築家ウルミラー・エリー・チョードリー(1923-1995)の存在に迫る。定員150名(要予約)、聴講費無料(ただし本展観覧券が必要)。言語は英語、逐次通訳つき。

1月25日(土)15:00~17:45 展覧会記念シンポジウム

パネラーとしてロバート・ヴォイチュツケ氏、建築家・法政大学名誉教授・富永譲氏、画家・批評家・多摩美術大学客員教授・松浦寿夫氏、またモデレーターとして建築家・早稲田大学理工学術院総合研究所 研究院客員教授の藤井由理氏を迎える展覧会記念シンポジウム 「ル・コルビュジエの探求 絵画と建築」が『パナソニック東京汐留ビル 5階ホール』で開催。

ル・コルビュジエを建築家としてのみ捉えるのではなく、多様な芸術活動の総体の中で議論。そうすることで活動全体に通じる理念を探り、彼が目指した建築について考える。定員150名(要予約)、聴講費無料(ただし本展観覧券が必要)。言語は英語、逐次通訳つき。

開催概要

「ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合1930-1965」

開催日:2025年1月11日(土)~3月23日(日)
開催時間:10:00~18:00(入館は~17:30)
※2月7(金)・3月7日(金)・14日(金)・21日(金)・22日(土)は~20:00(入館は~19:30)
休館日:水(ただし3月19日は開館)
会場:パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1-5-1パナソニック東京汐留ビル4F)
アクセス:JR新橋駅から徒歩8分、地下鉄・ゆりかもめ新橋駅から徒歩6分、地下鉄大江戸線汐留駅から徒歩5分
入館料:一般1200円、65歳以上1100円、大学生・高校生700円、中学生以下無料

【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式URL https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/25/250111/

取材・文=前田真紀 ※画像は主催者提供

前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。

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