大階段から転落! その時宝塚トップスターは・・・真風涼帆さん
ファッションデザイナー:コシノジュンコが、それぞれのジャンルのトップランナーをゲストに迎え、人と人の繋がりや、出会いと共感を発見する番組。
真風涼帆さん
1986年熊本県生まれ。2006年に第92期生として入団し、2009年に新人公演初主演。2017年に宙組8代目トップスターとして活躍した後、昨年退団して現在は女優として舞台等で活躍中です。
出水:今年10月、新宿パークタワー30周年記念プロジェクトに合わせて開催されたジュンコさんのファッションショウに、トップバッターで出演したんですよね。
真風:はい、もうマサカで(笑)突然このような素晴らしい機会をいただいてしまって。
JK:私のムチャぶりですよ。だってショウの3~4日前に、カンというか、ピーンと来たの。点数も決まって、モデルも16人決まってたんだけど、よくわからないけど面白そうだなって思って、それに賭けたの!
出水:ショウの3~4日前にオファーですか?! 堂々たるウォーキングでしたね!
JK:モデルじゃなくて宝塚スターなんだから、そのまんま男役でやって、って。
真風:先生に「あなたの歩き方でいいから」と心強いお言葉をいただいて。
JK:それがすっごく評判良かったの! モデルはみんな見慣れてるんですよ。「どうなってるんだろう??」ってみんな目が点ですよ(^^)
出水:黒のロングドレスで、顔をマスクで隠すようなウォーキングでしたね。
JK:あれだったら宝塚でも着れるでしょ。だってセクシーなドレスは違うなと思ったの。
真風:メイクとかヘアもすごかったので、なかなか経験したことのない扮装というか・・・一気に世界観に没入させてもらえたというか。音楽も環境も全然違いましたね。
JK:劇場と違ってランウェイは30mですからね!
真風:初めて歩かせていただいて、想像以上に長いんだなって。
JK:でも宝塚劇場の大階段を歩くとき、まっすぐ顔を見てるでしょ? 下向いてないじゃない? 今まで失敗したことないの?
真風:あります(^^;) トップになってからはないですけど、星組にいた時に一度、大階段を滑り落ちまして・・・
出水:えっ、何段も?!
真風:一番上から、ほぼ半分以上下まで(T.T)ちょうどショウの1場面で、当時トップの柚希礼音さんが出てきたり、夢咲ねねさんが出てきたり、紅ゆずるさんが娘役を引き連れて素敵なレビューをしている中、私は男役を引き連れて、階段の真ん中でタッタッタッと階段を下りてくるんですけど、その時の靴がエナメルだったんです。靴と靴がひっかかっちゃって・・・真ん中で歌うんですけど、そのちょっと下までザ~~~ッと(^^;)
JK:滑り落ちちゃったの!
真風:心が折れそうになったんですけど、ふと顔を見上げると先輩方が「立つんだ!」みたいな顔で見てくださっていて、すくっと立って。そこで歌う歌詞が「お聞かせしましょう/愛の伝説」だったんです。後で仲間から、「聞きたいのはあなたの膝が大丈夫かどうかだよ」って言われました(笑)
JK:ケガはなかったんですか??
真風:少々打撲擦り傷はありましたけど、問題なく。大変失礼しましたという感じですが(^^;) 階段の幅が23㎝ぐらいしかないので・・・靴の幅よりも狭いんですよ。
JK:ええっ!! 靴が出てしまうのね! でも他の方もみんな経験あるでしょ。真矢みきさんも落ちたことあるって言ってたもの。
出水:真矢さんはファッションショウにも来られてましたね。
真風:途中で切り替えるときにみきさんがいらっしゃって、一気に緊張感が(^^;) でもファッションショウは憧れだったので出させていただいて嬉しかったんですけど、お洋服は日常のアイテムに留まらず、アートなんだなってすごく感じました。
出水:退団してから様々なお仕事にチャレンジしていますが、ミュージカルで出会った俳優の勝矢さんとも結婚されました。おめでとうございます!
JK:出会いってなかなかないでしょう? 長年ずーっと舞台やってると。
真風:熊本を出て20年ですね。本当に素敵なご縁をいただけて。
JK:ファンの人は複雑でしょ?
真風:そうなんですよ・・・宝塚の男役は特別なものなので、そこから卒業して、男役ではなくなる自分をみなさんが応援してくださる気持ちとか、ここから俳優としてどう活躍していけばいいのかなという時に、ファンの方にとっては結婚についてどういう気持ちなのかなとか・・・。
JK:そうよね~。みんな憧れだけじゃなく、恋してるから。
真風:だから発表する時期もすごく悩んだんですけど、やっぱり卒業しても支えてくだだったファンの皆さんにはいち早くお伝えしたいなと思って、勇気をもってお伝えしたら、自分が思った以上にファンの皆さんが喜んでくださって。
JK:愛があるわね~。本当の味方ですね! これからも永遠についていきますよ。
真風:本当にありがたいなぁと思ってます。
出水:真風さんの公式webサイトには「2017年11月20日付で宙組8代目トップスターに就任」と日付まで記載してありますが(笑)どのように打診があるんですか?
真風:バトンを受け継ぐといいますか、先代のトップがご卒業されて、その後に「次はあなたが・・・」と、会社の辞令と同じように、劇団のお偉い方から言っていただいて。
出水:でもご自身の中では「そろそろ・・・」という予感はあるんですか?
真風:でもやはり主演を務めるようになったり、番手が上がっていくたびに、先輩方に「自覚をもって」というのは教えていただいて。トップになるのがゴールじゃないから、なったときにどういう自分でありたいかを常々考えるようにと教えていただいていたので。
出水:真風さんのトップ在任期間は5年7カ月。長いほうですよね?
真風:長いほうですが、私の場合は途中でコロナになってしまったので・・・その分のびちゃったみたいなところもありまして(^^;)
JK:セリフも長いですよね! よく覚えられるなと思って。セリフだけじゃなく、踊りながら、動きながらでしょう? 本当に頭良いなぁと思って!
出水:こんなことを聞くのは恐縮ですが・・・どうしてもセリフが出てこなかった時もあるんですか?
真風:あります(笑) 私は歌詞のほうがありましたね。パーンと抜けちゃって、ただ音楽を噛みしめて、歌える時に歌うとか、自分で作詞しちゃうとか(^^;) 「うまいことつなげたね~」なんて言われたこともあります。ユーモアのある先輩は「歌詞を忘れちゃったよ~♪」と歌われる時もあったり、「ららら~」「るるる~♪」とか(笑)
JK:でもお客さんはわかってないでしょ?
真風:回数を見てくださってる方は、「あっ、今日はあの方だ」って間違い探し(笑)でも1回しかご覧になっていない方にはストレスのないようにしなきゃいけないんですけど。
JK:ファンの方って強烈ですよね、表で並んで待っていらして。独特ですよ。
出水:礼儀正しくて、きれいに整列して。本当に素敵な文化だと思います。その他、トップスター時代の忘れられないエピソードはありますか?
真風:やっぱり初めて羽を背負った時。ランドセルみたいにしょって、さらにひもで縛りあげるんですけど、普通に立ってる時ももちろん重たいんですけど、さらにお辞儀だったり、銀橋を歩いたりすると風圧がかかるので・・・また大階段を降りるイコール袖では昇ってるので、3時間ショウをした後に階段を昇るのはなかなかの筋トレです。究極のジム(笑) でも羽の重みを感じて、初めて大劇場で見た景色は今も鮮明に覚えてますね。
JK:男役はラインダンスもするんですか?
真風:下級生の時にします。入団して、まず1回、同期生での初舞台はラインダンスと決まっていて、組に配属された後も下級生はしばらくラインダンスをします。私もしました。
出水:12月25日にはホテル阪急インターナショナルでクリスマスショウも予定されていますが、どんなショウになりそうですか?
真風:クリスマス当日なので、クリスマス関連の楽曲をメドレーでお届けしたり、宝塚時代に歌わせていただいた楽曲もいれつつ、初挑戦の楽曲も入れながら、皆さんと素敵なクリスマスを過ごせたらいいなと思っています。
JK:新しいスタイルをぱっと見せてあげたらいいわよ!
(TBSラジオ『コシノジュンコ MASACA』より番組)