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フランス・ボルドーが打ち出す「未来のワイン造り」 生物多様性保全から地域の雇用促進まで

ELEMINIST

フランス南西部に位置するボルドーは、世界屈指のワイン生産地として知られている。そんなボルドーでは、CO2排出量の削減や地元雇用の促進など、地域をあげて未来のワイン造りに向けたさまざまな取り組みを行っている。

サステナブル認証を受けたブドウ畑は地域の75%に

世界的なワイン生産地であるフランス・ボルドー地域では、約20年前より「持続可能なブドウ栽培」がすすめられている。その内容は多岐にわたり、農薬の廃止や生物多様性の保全を目指すものから、地元雇用の促進・観光客に向けた見学ツアーまで、さまざまな方面で行われている。

こうした取り組みは、一部の生産者だけでなく、ボルドーの地域全体で行われているのが特徴だ。2022年時点で、ボルドーのブドウ畑の75%以上が各種のサステナブル認証に即したブドウづくりを実施しているという。

さらに、有機栽培を採用しているブドウ畑は現在23%。環境に配慮した農業経営を行っている農場について認証を行う「HVE(High Environmental Value、高環境価値)」を受けたブドウ畑は、ボルドーにあるブドウ畑の50%近くに相当する約50000ヘクタールにもおよぶ。

また2030年までに、この地域のすべてのワイン生産者が「ボルドーAOC(原産地統制呼称制度)」に適応した環境アプローチを採用しなければならない。これは、より環境に配慮したワイン造りを保証するもので、農業や林業を一緒に行う「アグロフォレストリー」を取り入れるなど、土壌の生物多様性を守るものや、化学物質使用量の削減等が含まれる。

ボルドー地域では、2030年までにCO2の排出量を2007年比で54%削減する目標を立てている。これらは、その目標達成に向けた取り組みなのだ。

ワインボトルやケースにも環境負荷の小さなものを

ブドウ栽培やワイン造り以外でも、サステナブルな動きが広まっている。たとえば、ボルドー地域の新しいワイナリー「Bordeaux Altitude」は2022年に、紙のラベルもボトルネックのアルミ包装も不要なワインボトルを開発した。

従来なら紙のラベルに印刷されている情報をボトルに直接スクリーン印刷している。そのため飲み終わった後はリサイクルに容易に出せて、最大25回まで洗って再利用できる。

デポジット制を導入し、地域のレストランやワインセラーで販売・回収までを行う。
搬入のための段ボール・木箱を廃止。プラスチック製のキャリーボックスを採用し、軽量化して配送車の燃料を減らしている。

「Bordeaux Altitude」では、この取り組みにより、温室効果ガスの79%、エネルギー使用量の76%、水使用量の33%を節約できると述べている。

ボルドーの使命は「知ってもらうこと」

ワインの聖地、ボルドーが取り組むさまざまな活動は、自然環境の保護だけにとどまらない。ボルドーやワイン業界では近年、観光客に向けた「ブドウ畑の見学プログラム」を積極的に行っている。

各ブドウ畑では、ガイド付き見学ツアーを実施。観光客はブドウ畑やワイナリーを訪れながら、サステナブルなワイン造りを直接目にすることができるという。一方で、ボルドー地域はこうした観光面での取り組みで、人材の誘致や地元雇用の創出につなげることができる。

ボルドーが地域全体で考えるアプローチは、自然保護から雇用まで、多岐にわたる。環境問題に長いあいだ向き合ってきたボルドーだが、若い世代がその姿勢を継承していこうとする姿にも注目したい。

※参考
Bordeaux a sustainable vineyard|Bordeaux Tourism
Développement durable: Avec Bordeaux Altitude la consigne monte en gamme|le Resistant
Bordeaux a committed vineyard|Bordeaux Tourism

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