家計の経済に注目。経済評論家・佐藤治彦が選ぶ今年の3つの経済ニュース
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、12月25日の放送に経済評論家の佐藤治彦が出演。「佐藤治彦が選ぶ今年の経済ニュース」を3つ発表した。この記事で一部を抜粋する。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「今年は経済も激動の1年でした。きょうは1年の締めくくりにふさわしく、3つの『佐藤治彦が選ぶ今年の経済ニュース』。伺います」
長野智子「振り返って2024年の経済、どう見ましたか?」
佐藤治彦「経済評論家としてはトランプ大統領の再選、中国経済が構造不況になった、ヨーロッパの景気が悪くなってきた、ということを言わなければいけないと思うんです。でも私は家計の経済に注目して3つ選びました」
長野「はい。ではいきますか」
佐藤「1つ目は2月に日経平均株価が34年ぶりにバブル後の最高値を更新したということです。1月に新NISA、新しい小額投資非課税制度というものがあったことで、株ブームが起こった。NISAって前からあったんです。上手に国も証券業界もPRをして新NISAですよ、新しい制度が始まるよ、という言い方でしたが前からあった制度が更新されただけ」
鈴木「はい」
佐藤「それによって2月にはバブル後の最高値、38915円を超えて上がっていき、7月11日には42000円まであったんです」
長野「でもバブルを知っている時代の世代からすると違和感ありますね」
鈴木「あのころの4万円といまの4万円、空気感が違いますからね」
佐藤「リーマンショックのあと2008年10月には7000円台まであった日経平均がここまで戻してきたということはひとつ大きいなと思います。株をやっている人に、働かないで入ってくる収入があって、普通に働いている人は恩恵にあっていないことも事実だなと思います」
長野「今年注目の経済ニュース、2個目です」
佐藤「5月に実質賃金が26ヶ月連続低下した、ということがニュースになりました。そのあとも一進一退。3ヶ月連続で落ちて1ヶ月だけ少し上がってまた落ちていく、ということがあって。実質賃金が下がっていることにも関係するんですけどインフレ。食料品の値上げが相次いでいる、ということが2つ目のニュースです」
長野「1個目のニュースと対照的な」
佐藤「国の経済がつくりだした利益の配分がうまくいっていない、ということ。時々は実質賃金、低下せずに上がることがある。どういうときが多いかというと、ボーナスで底上げということがあるんです。でもボーナスで底上げって何を意味するかというと。いまや働く人の4割を占めている非正規のところにはボーナスってほとんどいかないでしょう」
長野「そうですよ」
佐藤「賃金が下がっている、という言い方をしましたけど、そこそこもらっている人と全然恩恵がない人の格差が、いまのままだと広がってしまう、と私は思います」
「佐藤治彦が選ぶ今年の経済ニュース」、3つ目は「7月に日本銀行が金利の追加利上げをしたこと」だった。