野村忠宏のパリオリンピック柔道のメダル予想!
今月のゲストは、柔道家の野村忠宏さん。
今週は7月から始まる柔道、パリオリンピックのメダル予想から!
間違いなく3人が金メダルを獲る!
7月26日から開催されるパリ2024オリンピック。
柔道は男女七階級、また東京オリンピックから採用された男女混合の団体戦という15の金メダルが用意されています。
野村さん曰く「男女共に『この階級は期待できない』という部門は無く、すべての階級で金ではなくともメダルのチャンスがある。」と話しており、そのメダルというのは試合当日の選手のコンディションや運など様々な要素の中で決まるそう。
ただ、どんなマイナス要因があったとしても、間違いなく個人戦では3つの金メダルを獲得できるだろう!ということ。
近藤:教えていただけますか?
要:その3名を!
野村:もうそれは皆さんご存じの阿部兄妹。一二三選手、詩選手。この二人の強さは異次元です。
近藤:前回大会も兄妹で金メダルを獲得しましたからね。
野村:今回は兄弟で同日金メダル2連覇っていう、偉業がかかっていますよね。そして女子48kg級、角田夏実選手。オリンピックは初出場なんですけど、経験豊かで恐ろしく強いです。
要:へえ!
野村:戦い方はワンパターンなんですけどそれが異常に効くんですよね。『巴投げ』っていう絶対的な武器で、みんな分かっているのに技にかかってしまう。巴投げを防げたとしても、寝技への移行がすごく早くて。
要:なんだか、相手には研究されて破られそうな感じがしますけど、、、
野村:そうなんですよ!でもみんな防げない。絶対的な武器なんですよね。
日本代表がパリで団体戦のチャンピオンを奪還する姿が見たい!
日本では柔道がお家芸とされており、金を獲らなければならない、という風潮もあります。
やはり選手側はプレッシャーや重みを感じながら試合に臨んでいるのでしょうか。
野村:プレッシャーにはなります。でも日本柔道の強さって、そのプレッシャーを受け入れながら、求めながら戦っているという部分があると思います。逆に金メダル間違いないとか、金メダルしか期待されない俺達ってアスリートとしてすごいよね、とそれを誇りに思ってましたね。
要:そうなんですね。
野村:あと楽しみなのは、東京オリンピックで採用された男女混合の団体戦ですね。ある種、国の総力戦なんです。今、柔道は世界中に強い国があって。インターネットとかデータの解析が進んだために、今まで聞いたことがないような国でも1人すごいチャンピオンが出たりと、メダルの分布が広がっているんです。でも飛びぬけた選手が居るというだけで、国全体が強くなったわけではないじゃないですか。
要:一人強い選手が居たと。
野村:そうなんです、男女問わずいろんな階級で強い選手を揃えられるのが団体戦なんです。柔道大国といえば、日本とフランス。日本は団体戦が採用された東京オリンピックの決勝で、フランスに負けているんですよ。だから今度はフランスパリで、団体戦のチャンピオンを奪還するっていうのがね!
近藤:見たい!その姿を!
野村:個人戦とはまた違う盛り上がりがありますよね!
金メダルを噛む!というポーズににまつわる逸話
金メダルを獲ると「そのメダルを齧る」という姿を思い浮かべます。
要:我々の記憶では、野村さんが最初にメダルを齧ったという記憶なんですけど、、、
野村:それ、実は間違っています!
要・近藤:あれ!違うんですか!?
野村:1996年アトランタの時に、私がメダルを齧った写真が大きく新聞に載って、皆さんそのイメージがあると思うんですけど。あれは実はある日本人選手の真似をしたんです。
要・近藤:ええ!?
野村:当時名実ともにチャンピオンという人がたくさんいる中で、私はもう無名で。実はもう一人無名の選手が居たんです。それは中村兼三先輩で、ぼくたち二人は取材もほとんど受ける事もなくて。地味だし実績もないしと愚痴っていたんです。自分たちをジミーズなんて言ってみたりして。
要:地味だからジミーズ(笑)
野村:それでアトランタオリンピック始まって、金メダル候補の先輩方が全員負けて。大会5日目にしてようやく金メダル!それが中村兼三先輩で、先輩が優勝した時の写真でメダルを噛んでいて。
近藤:へえー!
野村:私その写真を見て「先輩!優勝おめでとうございます!そういえば先輩金メダルを噛んでましたね!」って言って。「あれいいですね!僕も最終日、金メダル取って先輩の真似して、メダル噛みます!」って先輩に宣言して。実際優勝した時に、自分も噛んだらその写真が大きく取り上げられて。
要:それなんで先輩はメダルを噛んだんですか?
野村:後日先輩に聞いたら、いやどっかの外国人がやってたから!って(笑)
要・近藤:あはははは(笑)
要:みんな誰かの真似をしていたわけですね!(笑)
野村:でもあれを良しとしないっていう人も出てきたりして。
要:出てきましたね。
野村:あんなメダルを噛むような下品なことをしたの誰だ!って声が上がってきて、野村らしいですよ!って言われて(笑)
要:実は違うのに!(笑)
柔道に楽しく励んだ幼少期
野村さんはたくさんの人から柔道を学んできたそうですが、特に祖父と父、そして大学で出会った細川先生の3人からの影響がとても大きかったと話してくれました。
野村さんはおじいさまもお父様も柔道の指導をされている柔道一家です。
野村:町道場でも厳しい道場ってたくさんあるんですけど、うちのおじいちゃんは子供のうちに厳しい稽古なんか必要ない。柔道の基本と礼儀をしっかり学びながら柔道を楽しんでほしいという人で。めちゃくちゃ楽しかったんです。
要:素晴らしいですね。スポーツって楽しんでやることが一番成長しますしね!
野村:あと自分は小学生時代、同時にサッカーと野球と水泳もやってて。色々なスポーツをやらせてもらったという事が、すごく大きいですね。選択肢が増えたんです。
要:なるほど!
野村:その中でも、自分は柔道が一番好きって思えて。中学に進学する時に、これからは柔道一本に絞って、楽しいだけじゃない、強くなる柔道をやっていこうと自分で決められたんですよね。
野村さんの人生を変えた恩師のアドバイス
ご家族に支えられ、幼い頃から楽しく柔道を続けてきたという野村さん。
柔道人生が急激に変わったのは大学生の時、細川先生という人にアドバイスをもらったことからでした。
野村さんの通っていた天理大学の柔道部は部員が100名ほど、全国からスカウトされた選りすぐりの柔道部員たちが所属しており、彼らを負かさなければ、関西大会に出場することは叶いません。
将来的にはオリンピック三連覇を成し遂げる野村さんですが、実は大学1年生の時は、校内予選で負けて、関西大会に出られなかったといいます。学校内での試合に負け続ける野村さんに細川先生がアドバイスをしてくれたのは、大学二年生の時でした。
野村:1年生の時、全然アドバイスをくれなかったんですけど。2年生になった時に「野村は練習を頑張っているけど、お前のその練習じゃ強くなれないよ。」と一言言われて。練習メニューって、基本的に与えられるメニューじゃないですか。今日はこういう練習って。
要:そうですね!それを信じてやってますよね。
野村:目標もあって頑張っているけど、毎日同じことをしていると、あと何本だな~と計算し始めちゃうんですよね。
要:練習をこなすという風になっちゃうんですね。
野村:今日も頑張ったなーと満足しちゃってるみたいな。自分では頑張っている、追い込んでいるつもりだったのが、そうじゃなかったんだと。練習との向き合い方について細川先生から『限界までやったら途中で休んで良い』とアドバイスをもらって。だからこそ、自分で意識して試合の緊張感を作り出して自分を追い込んで。バテたら休んで良いって言われて、頑張れたんです。
要:逆に!
野村:それで、もうこれ以上できない!ってところまで追い込んで。休ませてもらえると思って先生に「もう限界です!」と言ったら、「お前そんなもんか!」って言われて。
要:いる~~!そういう先生!!
野村:みなさんだったらどうします?
要:いや、もう練習を続けますよね。
近藤:悔しさが勝ちますよね。
野村:そうなんです。悔しさで勝つ人と、僕そんなもんですと頑張れない人が居て。自分は舐めるな!と思って練習を続けると意外と動けるんですよ。やっぱり自分の本当の限界値を知らないから。細川先生はそこまで見据えていて考えてくれて。これが本当に強くなるために必要な、試合に勝つという厳しさを養うための練習だと気づかされた瞬間でしたね。
要:やっぱり指導者でスポーツって大きく変わりますよね。めちゃくちゃ納得しています。
まだまだお伺いしたいことがたくさんありますが、今週はここまで!
来週もたっぷり野村さんを深堀りしていきます!お楽しみに!