県高校総体 バスケットボール女子 「仲間と乗り越えてつかんだ勝利」明豊が意地の2連覇【大分県】
大分県高校総体 バスケットボール
6月2日 ダイハツ九州アリーナ
女子決勝リーグ
明豊73(20-25、22-28、16-19、15-9)71大分
県高校総体のバスケットボール女子決勝リーグ最終戦は、明豊が73-71で大分を破り、県新人大会の雪辱を果たし2年連続6回目の優勝を飾った。
力が拮抗(きっこう)した宿敵同士の対戦は、序盤から互いに持ち味を発揮し、緊迫した試合となった。明豊が最終第4クオーター残り2分11秒から4点差を逆転し、最後は自慢の守備力を発揮して競り勝った。
勝利への執念を感じさせる2連覇だった。明豊の強みは堅守からの速い展開。個人能力が高く、攻撃力の高い相手に全員で耐え抜き、接戦に持ち込んだ先に劇的なフィナーレが待っていた。
勝利を手繰り寄せたのはキャプテンの中島綾香(3年)と「守備職人」松下みのり(同)だった。残り1分36秒、同点で相手ボールとなった。松下は杉山真裕実監督から「最後だから思いきりいけ。ファウルになってもいい、ディフェンスが仕事」と背中を押され、迷いを断った。見事なスティールで逆転のきっかけをつくった。
残り27.1秒、再び相手ボールの場面でタイムアウト。勝負は中島に託された。「相手は誰で勝負を決めにくる?」と杉山監督が問えば、「エースで来る」と即答し、「自分が抑える」と闘志を燃やした。中島は巧みな読みでボールを奪い、試合を締めくくった。「3点(シュートを打たれること)は絶対にダメ、ファウルもダメ。死ぬ気で守った」と語った中島の表情は、涙と笑顔が入り混じっていた。
気迫の守備で勝利を呼び込んだ中島綾香
杉山監督は振り返る。「この代はここ数年の明豊で『一番弱い』と言われていた」。昨年の最強世代と比べられ、県新人大会でも優勝を逃した。その中でチームを引っ張った中島は、強すぎる責任感と葛藤しながらも、自分にしかできない役割を全うした。緊張でご飯が喉を通らない日々が続き、試合前夜は遅くまで対戦相手の映像を見続けたという。
松下は「勝因は守備で我慢できたこと」と胸を張る。昨年は力で押し切った優勝だったが、今年は違う。「苦しい場面を仲間と乗り越えてつかんだ勝利だ」と語る姿に成長の跡がにじんだ。
「勝負の中でしか得られないものがある」と杉山監督は語る。中島や松下のような「勝負師」が引っ張り、未熟だったチームは、間違いなく強くなっていた。王者の意地を見せた明豊が、再び全国の舞台に立つ。
苦しみながらも連覇を達成した明豊
(柚野真也)