地域史の研究をまとめた本を出版!郷土史家 蕨由美さん【佐倉市】
佐倉市在住の蕨由美さん(77)が地域史の研究をまとめた著書『印旛沼のほとりより 歴史・民俗・信仰についてのフィールドノート』を出版しました。地域史に関心を持ったきっかけは道端の石塔でした。
※蕨由美さんは5月25日に永眠されました。謹んでお悔み申し上げます。
庚申塔を見た時の新鮮な驚き
蕨さんが郷土史や民俗に興味を持ち始めたのは40代の頃。
道端にあった道標と「青面金剛(しょうめんこんごう)」と刻まれた庚申塔を見たのがきっかけでした。
中国から伝来した道教に由来して各地に建てられた石塔で高さは1メートル以上あり、「何でこのように立派なものが残っているのか」と驚いたそうです。
その頃に道標や史跡、伝承などの展示会を開いていた八千代市郷土歴史研究会を知り、すぐに入会。
同会員と一緒に調査したり、一人で地域を回ったりしたそうです。
「出羽三山」参拝記念の石塔にも興味を持ち、八千代市内などを歩いて探した時も。
活動について「町や村里を訪ねて歴史・民俗や石造物を調べる日々は、新しい発見や謎との出合いの時でもありました」と蕨さんは語ります。
千葉県内だけでなく、長崎県など県外にも足を延ばすことも。
ホームページ「歴史に好奇心!さわらび通信」を運営し、地域史の活動を紹介しています。
人との出会いも大事に
蕨さんは「地域を回ると、地域の人との出会いがあります。遺跡を見て、長年調べている人に会い、話も聞きます。そんな人との出会いを残したい、資料が散逸しないように、と1冊にまとめました」と著書への思いを話してくれました。
同書の第1部「地域を知る・地域に学ぶ」では調査報告や講演録などを収録。
第2部「歴史の謎とこころの旅」は中世律宗の僧・忍性(にんしょう)の研究と、キリスト教の聖母像の研究が掲載されています。
5月には鎌倉時代から室町時代の「板碑」(石仏)を調べた『八千代市内の有刻板碑集成一覧表及び拓影と翻刻集増補改訂版』も共著で出版しました。