【夏は特に気をつけて!】雷のメカニズムと知っておきたい対応策
いなずまが光ったかと思うと、ものすごい音がする雷。落雷で命を落とす被害も毎年起こっています。雷はどのようなときに発生しやすく、どのように対処すればよいのか、考えてみましょう。
雷の正体は?
夏にできやすい積乱雲
夏の夕方などには、積乱雲が発生して雷を伴う激しい雨が降ることがあります。このような雨は夕立と呼ばれ、その後は気温が下がって、少しはしのぎやすくなります。
夏の日中の強い日差しで地面近くの湿った空気が温められると、軽くて温かい空気の上に上空の重くて冷たい空気が乗ることになり、不安定な状態になります。温かい空気は上空へ、冷たい空気は下へ行こうとして急速に移動するため、強い上昇気流が発生します。このように温かく湿った空気が上昇して冷やされると積乱雲ができます。
夏に発生しやすい積乱雲
雲から地面への放電が落雷
積乱雲の中では、激しく上昇する気流と下降する気流が起こっています。また、雲の中には、小さい氷晶や、大きいひょう・あられがあります。気流の動きによって氷晶やひょう・あられがぶつかると、氷晶はプラスの電気を帯びて上空へ、ひょう・あられはマイナスの電気を帯びて下の方へ移動します。雲の中でマイナスの電気の粒とプラスの電気の粒の間で電気が流れて(放電)雷が発生します。
雲の下の地面に近い方がマイナスになると、その下の地面はプラスになります。雲の下部のマイナスと地面のプラスの間で起こる放電が落雷です。「雷が落ちる」という場合は、このような現象をさします。
なお、日本の夏の雷のほとんどはこのしくみで発生しますが、冬の雷はこれとは異なるしくみで起こるものもあります。
雷から身を守るには?
開けた場所は落雷の危険度が高い
落雷が起こるときには、莫大なエネルギーが発生し、さまざまなものを破壊する被害を与えることがあります。もしも人体に落雷すると、70~80%の割合で亡くなると言われています。このような被害から身を守る方法をぜひとも覚えておきたいものです。
雷は高いものに落ちやすい性質があります。避雷針は高いところに設置してわざと落雷させ、電気を地面に逃がす装置です。
広い運動場や海岸の砂浜、屋外プール、山頂などは、落雷しやすくたいへん危険です。まして、バットや補虫網などを振り上げるのは、危険度を増す行動です。絶対にやめましょう。
「雷は金属に落ちやすい」と、時計や指輪などをはずせば安全だと思っている人がいるようですが、これには効果がありません。また、ゴム長靴をはいていれば地面との間で絶縁されているので安全という認識も誤りで、落雷を防ぐ効果はありません。
避難に適した場所を選ぼう
注意したいのは、雷が遠くに聞こえていても安全ではないということです。音は遠くのようでも、落雷の原因となる積乱雲はすぐ近くにせまっていると考え、直ちに避難しましょう。
では、どのようなところに避難すればよいでしょうか。
最も安全なのは、丈夫な建物の中です。避雷針がついているビルや鉄筋コンクリート建ての建物の中なら被害を受けることはまずありません。ただし、電話線や電灯線、アンテナ線などからは1m以上はなれてください。
自動車(オープンカーを除く)の中も比較的安全です。自動車に落雷しても、電気は金属のボディを通ってタイヤから地面に抜けてしまうため、中の人は無事であることが多いのです。
いっぽう、高い木や電柱などの下は危険です。木の下で雨宿りをしていて落雷にあうケースも少なくありません。どうしてもほかに行き場所がないときでも、電柱、煙突などの高い物体の、最も高いところを45度以上の角度で見上げる範囲で、かつ物体から4m以上はなれるようにしましょう。高い木の場合は、すべての幹や枝、葉から2m以上はなれてください。姿勢は低く、持ち物を体より高くしないこと。雷がおさまったと思ってから20分以上待って安全な場所へ移動しましょう。
落雷地点の近くで地面に腰を下ろしたり寝転んでいたりすると、地面に触れている部分に痛みなどを感じることがあるので注意しましょう。
日頃から雷についての正しい知識を覚えておき、家族と話し合ってじゅうぶんに注意するようにしたいものですね。