<家族よりサッカー夫>マイペースすぎ。休日は家族を置きざりにして、ひとりで外出!【まんが】
最近のお話です。私はチグサ32歳。夫タケヒコと2人の子どもたち(ヨシト・6歳、ユウト・4歳)と暮らしています。夫は会社員で、私はパートで働いています。このところ私は夫に対して思うところがあります。それは休日の過ごし方です。家族をおいてサッカーや飲み会と遊び歩き、自分だけ好きなように過ごすようになったのです。今日も夫はウキウキで出かける準備をしています。
私はため息をつきます。夫は今日もサッカー仲間と集まるそうです。そのあとは飲み会、そして二次会。帰ってくるのはきっと深夜でしょう。私たちにまったく関心がなさそうな態度に呆れてしまいますが、もう何かを言う気力もありません。
しかも夫は、出かける予定を事前に知らせてくれることはありません。こんなふうに聞いたときだけ答えるので、私が聞かなければ何も言わずに出かけてしまいます。私は体力が有り余っているやんちゃ盛りの子どもたちを連れ、大きな公園へ出かけました。
ボール遊びのできる広いエリアでひたすらサッカーボールを蹴って走りまわっている子どもたち。私は片隅のベンチに座って見守ります。すると子どもと仲良さそうに過ごしているよそのパパさんの姿がイヤでも目に入ってきます。
子どもたちがもっと小さかった頃は、家族そろってショッピングモールに行ったりもしていました。でも夫はできれば自由に過ごしたいタイプ。子どもたちがきょうだいで遊べるようになり、少しずつ手がかからなくなると休日ひとりで出かけてしまうようになりました。
電話してきたのは、友人のシオリです。「今度さ、いつものメンバーに声をかけて集まらない?」「もうしばらく会ってないよね? うん、みんなに会いたい!」高校から仲良しの友人4人グループは最近お互いのスケジュールが合わず、なかなか会えずにいました。久しぶりの誘いに心が弾みます。
夫は自分の好きなことに時間を使いたがり、休日はたいてい不在。一方、私は子どもたちの面倒をみて過ごすというのが最近のわが家のパターンでした。そんなとき高校時代の友人からの誘いがあって私の気分は上がっています。おしゃれをして賑やかな街へ出て、子どもがいるとなかなか入れないようなお店でランチをして、みんなで楽しくおしゃべりして……。楽しみで仕方ありません。夫もそのときぐらいは子どもをみてくれるでしょう。いつも自分は遊んでいるんだから、まさか断ったりしないですよね?
「ママ不在だと子どもが可哀想」……は?開いた口が塞がらない
「そのときは子どもたちのことよろしくね」そう私が言ったとたん、夫の顔色が変わりました。
驚いた表情を浮かべたあと、なぜか口ごもった夫。いったい何を悩んでいるのでしょう。何もためらうところじゃないはずですが……。
「連れて行けばいいんじゃない?」夫の言葉に思わず顔が引きつります。自分は毎週末、家を空けているのに……。何を言っているのでしょう。ありえません。
「まあ、いいや。日にち決まったら言って。俺、風呂入ってくる」そう言って夫は話を打ち切り、そそくさとお風呂へと逃げていきました。これは……私が日にちを言ったら言ったで「その日はムリ」と断ってきそうな気配です。子どもたちのお世話から逃げきろうとしているのがミエミエです。
そのとき「ママ、眠れない……」と、ユウトが子ども部屋から出てきました。私は寝かしつけをするため添い寝をします。そして子どもたちの顔を見ながら、ユウトが生まれたときのことを思い出していました。
同じ親なのに……。いつも子どもの面倒をみている私は、ランチさえさせてもらえないの? 「子どもの面倒をみるのは母親であるべき」との夫の考えが透けてみえ、気分がムカムカしはじめます。週末、好きに過ごせるのは誰のおかげだと思っているのでしょう。
子どもたちのことをお願いするとなぜか浮かない顔をした夫。さらに「週末に母親がいないのはかわいそう」などと逃げ腰です。がっかりというより、怒りがわいてきました。普段自分は遊びに出てばかりいるのだから、たまには私を快く送り出してほしかった。「母親が子どもの面倒をみるものだ」なんて、親の役割を私だけに押しつけるような考えはどうかと思います。久しぶりの友人とのランチ、絶対に夫に子どもを任せて行ってやる! 私はそう決意したのでした。
予定が狂って慌てる夫「オレも用事があるのに」今日は私の番!
友人たちと会う日、私は朝早くから出かける準備をしていました。夫と子どもたちはまだ寝ています。普段は子どもの世話をしてパートに出て、バタバタと1日が過ぎていきます。こんなふうにおしゃれして街へ出るのは久しぶりです。するとヨシトがひとりで起きてきました。
「ママ……どうしたの? 別の人みたい」ワンピースを着た私をマジマジと見たあと、ヨシトがつぶやきました。
ヨシトに夫への手紙を託し、いざ「ひとりでお出かけ」です!
私が夫への手紙を託すと、ヨシトは「はーい。いってらっしゃい」と送り出してくれました。子どもたちはもう小1と年中だし、小さい頃と違ってつきっきりでお世話が必要なこともありません。夫だけでも特に困ることはないはずです。
電車から外の景色を眺め、私は考えを巡らせます。(まだ朝早いからカフェでコーヒーでも飲んで、開店したらデパートをぶらぶらしようかな。子どもを連れていたらゆっくり見てまわるなんてできないから。子どもたちは可愛いけど……自分ひとりの時間も大切だよね)
友だちと会うことを楽しみに考えたり、夫への怒りを募らせたりしていると、私のスマホが鳴りました。夫からの着信です。
夫は仲間と遊ぶ予定を入れていたかもしれません。でも知ったこっちゃありません。予定を知らせないのも勝手に出かけることも、いつも夫が私にしていることです。全部キャンセルすればいいんです。手紙には「出かけてきます。子どもたちのことはよろしく。夜まで帰りません」と書きました。
高校時代の友人たちと会う当日、私は朝から念入りに髪のセットやお化粧をしていました。普段は慌ただしく時間に追われているので、こんな時間も私にとっては楽しく貴重でした。私の不在を知った夫からは案の定、鬼のように着信やメッセージが届きます。さすがに子どもたちに留守番させてまでサッカーに出かけるような人ではないですし、予定が狂って慌てているのでしょう。自分の身勝手な考え方に気付いて、これを機に反省してほしいです。
「甘えすぎ!」「任せて正解だよ」友人が共感してくれ……ホッ
待ち合わせ場所へ向かうと、ほかの3人はもう揃っていました。それぞれ仕事が忙しかったり子育てで手一杯だったりで、高校時代の仲良しグループ4人で会うのは久しぶりでした。
まずは再会を祝して4人で乾杯しました。そしてお互いに近況報告をしあいます。サトコのところにはうちのヨシトと同い年の子どもがいます。「今日はダンナが博物館に連れていってるんだ」と聞かされ、うらやましい気持ちでいっぱいになります。
友人たちはそれぞれが仕事を頑張っていたり、家族との生活が充実していたり……。すごくキラキラしているように感じます。それに比べたら悲しくなってしまうような私と夫のやりとり。「チグサは最近どうなの? ダンナさんとか、子どもたちは」そう聞かれて口ごもります。
「私、実は今日、夫には何も言わないで家を出てきたの……」私は正直にうちの現状を話すことにしました。 夫が週末好きに出かけて、私と子どもたちにはまるで関心がなさそうなこと。休日ランチのために子どもをみてほしいと話しても逃げていってしまったこと。夫が「子どもは母親がみるべきだ」という態度なので腹が立っていること……。
「自分は好き勝手遊んでいるくせにね」「甘えているんだよ」「今日思い切って任せたのは正解だね!」みんなはそろって夫への抗議の言葉を口にしたり、共感してうなずいたりしてくれました。私の気持ちをわかってくれて救われます。
気心知れた友人たちとレストランでお酒を飲み、美味しい料理を食べてリラックス。正直なところ充実したみんなの暮らしぶりを聞くと、うちの状況はとても恥ずかしかったです。でも思い切って打ち明けてよかった……。私の気持ちを理解してくれて、寄り添ってくれるみんなには感謝です。夫の予定はキャンセルになりましたが、もともとゆるく集まっている趣味のサッカー仲間なので誰にも迷惑はかからないはず。今日は夫のことは気にせず思いっきり楽しみたいと思います!
【夫の気持ち】子どもの面倒は!?起きたら……妻が消えていた!
俺はタケヒコ、33歳の会社員。妻チグサと2人の子どもたち(ヨシト・6歳、ユウト・4歳)と暮らしている。子どもたちは昔と比べてだんだん手がかからなくなってきた。俺だって平日は仕事を頑張ってるし、週末くらい家をあけてリフレッシュさせてもらっても問題ないだろう。しかしある日チグサから「友人と休日ランチをしたいから子どもを見てほしい」と頼まれた。別にいいけどさ……。適当に返事をしたあと、俺はその話をすっかり忘れてしまっていた。
ある休日の朝。気持ちよく寝ていると、枕元に人の気配を感じた。小さな指で身体をつつかれて、俺は驚いて目を覚ます。
「ママ、出かけたよ。これパパに渡して、って」ヨシトから渡された手紙は、チグサの字で書かれたものだった。
チグサに電話をしたり、メッセージを送ったりしても反応なし。「えー無視かよ。あ……あれか? こないだ言ってたランチ会か?」けれど事前になにも聞いていない。さすがに子どもたちを置いて出かけるわけにも、連れていくわけにもいかない。俺はあわててサッカー仲間に「ごめん、今日は行けない」と連絡する。もともとゆるく集まっている会なので、返事も「了解」とアッサリしたものだった。
俺はリビングへ行き、子どもたちに「今日はおとなしく過ごすように」と指示を出した。子どもたちはゲームをしはじめ、俺も寝転がってスマホを眺めることに。しかし1時間後……。
あれを食べたい、これをして遊べと、子どもたちからの要求は尽きない。しまいには「遊園地に連れていけ」とぜいたくなことを言いだした。黙らせるために適当に食べものを与え、公園へ連れていくことにした。得意なサッカーでも教えてやろうかと思ったが……。
子どもたちの体力は尽きない。一緒に走り回っているうちに俺の息があがってきた。しばらく膝に手を置いて息を整えていると、ヨシトがサッカーボールを蹴りながら戻ってくる。「パパ! 何してんのー? もう休憩?」まさか子どもたちに追いつけないとは……。
「えー! もう疲れたの?」「パパ、毎週サッカーやってるんでしょ?」子どもたちは容赦ない。全く休ませてくれない。普段の仲間とのサッカーは疲れたら休憩できるし、適当に交代しながらゆるくやっている。こんなにハードじゃない……!
その後、子どもたちを昼飯に連れていき、お菓子を買いたいと言うからスーパーに連れていき、また公園で遊んで……。帰宅後は夕食を与えて風呂に入れて、子どもたちが寝た頃には俺は疲れきっていたのだった。昔よりは手がかからないだろうし、1日ぐらい面倒をみるなんて余裕だと思っていたが……。子どもたちの要求に応えているうちに俺はクタクタになってしまった。いつも子どもたちの面倒をみているチグサには、あらためて頭が下がる思いだった。
【私の気持ち】ワンオペ体験した夫の気づき「余裕だと思っていた……けど!」
高校時代の友人たちと会って、帰宅したのは夜。子どもたちはもう寝ていました。
友人たちとランチやショッピング、カラオケへ行って最後まで楽しんだあと、私は帰宅しました。思ったとおり、キッチンには食べたお皿やコップがそのまま。洗面所には外遊びで汚れた洗濯物が積まれ……。リビングには出しっぱなしのゲームやオモチャ、お菓子の空き袋などが散乱しています。
夫がリビングにやってきました。「チグサ……」夫が今日いちにち大変だったのは家のなかの惨状を見れば分かります。黙って出かけたことを怒られるのかと、一瞬身構えました。すると……。
「ごめんな。今日、めちゃくちゃ大変だった」謝罪の言葉が夫の口からすんなりと出てきたので驚きました。「最初は余裕だと思ってたんだ。だけど1時間ぐらいしたら、あれがほしい、これをしたいってだんだん騒ぎはじめて……」
「公園で一緒に遊んだけど、子どもの体力についていけなくてさ。やっと昼ごはん食べさせたけど、まだ半日残ってると思うとガクッときて……。夜にはもう限界で倒れそうだった。チグサがこうやって子どもの面倒をみてる間、俺は自分だけ好きに過ごしてたんだなって」
「そうだよな。本当に悪かった」頭を下げる夫を見て、これまで抱えていた夫へのモヤモヤが晴れました。マイペースすぎるときもあるけれど、こうして素直に気持ちをあらわしてくれるのは夫のいいところなんです。
「これからは家族との時間も取ってもらいます。遊びの予定はちゃんと事前に伝えてね。あと、私が休日出かけたいって言ったときは笑顔で見送ってほしい」私が伝えると夫は力強くうなずきました。「お、おう。笑顔な」
次の週末、私たちは家族で遠出をして大きな公園に行きました。夫と一緒にボールを蹴って走り回って、子どもたちも嬉しそう。だんだん手がかからなくなってくるとはいえ、まだまだ家族で過ごす時間は大切にしてもらわなければと思います。もちろん夫にだって、仲間とのサッカーや飲み会などでリフレッシュする時間は必要でしょう。ただあまりに家族をかえりみないときは、反省してもらう機会も必要かもしれません。私もときどきは友人とランチをして愚痴を聞いてもらったりして、家ではお互い笑顔でいられるようにしたいと思います。