もう「アメリカとの関係を最重視」する時代ではない?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、10月23日の放送に毎日新聞論説委員の小倉孝保が出演。衆議院議員選挙で各党が掲げる、「外交」に関する公約について語った。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「(各党の公約を紹介して)皆が割とそろって言っているのは日米地位協定の改定、見直し。実現性は別にしても、言ってはいる、という感じです」
長野智子「すごく違うのは自民党の『日米同盟基軸』と共産党の『ASEAN中心』ですね。小倉さん、いかがでしょう」
小倉孝保「日米同盟基軸というところは共産党やれいわ新選組など一部を除いてほぼ一致していますね」
鈴木「れいわも『日米間の友好関係は維持』とは言っています」
小倉「外交や安全保障って、相手がある話なので、政権の枠組みが変わる度に変わっていたら、なかなか難しいとは思うんです。これまでどおり日米同盟基軸と言っていれば物事が丸く収まっていく、という時代ではもうなくなっている。たとえばアメリカでトランプ大統領が返り咲いたとき、どう付き合えるのか。恐らくこれから数十年間、日本のいちばん難しい外交って対中国外交ではないかと思うんです」
鈴木「はい」
小倉「いろいろ調べたんですが、各党ともあまり対中国外交について書いていない。難しいし、各党の中でいろんな意見が割れて『こうです』と言いにくいんだろうと」
鈴木「中国との友好関係については言及しづらい?」
小倉「自民党の中だけでも、石破さんと恐らく高市さんって考え方が全然違うじゃないですか。日米同盟基軸は一致すると思うんです。アメリカと関係なくやっていくんだ、という人は自民党にたぶんいないでしょう」
長野「はい」
小倉「でも中国とどう付き合うか、ということについては親中派と呼ばれる林官房長官や石破さんと、高市さんやそのグループとは姿勢、ポリシーが違うと思う。なかなか公約に落とし込めないのでは、という気はするんですが、今回の選挙もそうだし、これからの日本の外交安全保障にとって、もっとも大切なことのひとつが中国との付き合い方だと思うんです」
長野「本当にそこを書いてほしいですね」
小倉「第二次世界大戦以降、日本は外交も安全保障もアメリカとの関係を最重視して、アメリカとの関係さえよければそこそこうまくやっていけた。そういう時代が終わろうとしているのでは、という気がするんです。もちろんアメリカとうまく付き合う、というのは大切だと思います。でも一方で中国との付き合い方を真剣に考えなくていいのか。たとえばBRICSの首脳会議がいま開かれています」
長野「ロシアでね」
小倉「ここに集まる国がものすごく増えている。僕たちが思ってもみないような国もBRICSの首脳会議に出ますと。アメリカの顔色をうかがわない国がすごく増えている。アメリカが主導する世界というのに、『もう、そうじゃない』という世の中が生まれようとしている、と各国とも気づき始めているのではと。そのとき独自の外交はどうか、と突き詰めて考える国が多いんだろうと。なのに日本は政党の公約を見ても『日米同盟基軸』『米国との関係が大切』その一辺倒のような気がしてならないです」