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介護食が売っている場所は?3つの購入方法と使い分けのコツを解説

「みんなの介護」ニュース

藤野 雅一

介護食が必要になったとき、どこで購入すればいいのか迷われる方は多いでしょう。

実は介護食は身近な場所で販売されています。最適な購入方法を選ぶことで日々の介護負担の軽減につながります。

介護食が売ってる場所は主に3つ!それぞれの特徴と売り場情報

介護食を購入できる主な3つの場所について、それぞれの特徴と実際の売り場情報をご紹介します。

介護食が売られている場所は大きく分けて「スーパーやドラッグストア」「ネット通販・ECサイト」「宅配サービス」の3つです。

それぞれに特徴があり、必要な介護食の種類や緊急度、予算などによって最適な購入先を選ぶことがポイントです。

スーパーやドラッグストア

最も身近で手軽に介護食を購入できるのが、地域のスーパーマーケットやドラッグストアです。介護食をはじめる際に少量だけ試してみたい場合に便利です。

スーパーでは、「健康食品・介護食品コーナー」また、介護食専用の売り場を設置しているところでは「シニア向け食品コーナー」として展開されている場合があります。品揃えは専門店に比べるとやや限定的ですが、主要メーカーの商品は取り揃えられていることが多いです。

ドラッグストアでも介護食が取り扱われています。一般的に「介護用品コーナー」の一角に陳列されていることが多いです。店舗ごとに品揃えは異なりますが、嚥下困難者向けの商品も含め100種類以上の商品を扱う店舗もあります。

なお、価格帯は1食あたり300円〜800円程度の場合が多く、一般のレトルト食品よりもやや高めです。

また、一部の店舗では定期的に介護食の試食会や相談会を開催しているところもあるので、お近くの店舗に問い合わせてみるのも有効です。

介護食通販・ECサイト

品揃えの豊富さや便利さを求めるなら、インターネット通販であるECサイトの利用がおすすめです。

大手ECサイトから介護食専門の通販サイトまで、多様な選択肢があります。特に定期的に介護食を購入する場合や、特定の症状に対応した商品を探す場合に適しています。

大手ECサイトでは、実店舗では見つけにくい専門的な介護食も含め、幅広い商品が取り扱われています。

「介護食」で検索すると多くの商品を比較することができ、ブランド、価格帯、形状などさまざまな条件で絞り込むことができます。

また、レビュー機能を活用することで、実際に使用した方の感想を参考にできることも、ECサイトを利用するメリットと言えるでしょう。

さまざまな商品を取り扱うECサイトだけでなく、介護食専門の通販サイトもいくつか存在します。

これらのサイトでは介護食に特化した品揃えと専門的な情報提供が魅力です。嚥下状態に合わせた食品選びのアドバイスや、管理栄養士への相談サービスを提供している通販サイトもあります。

通販サイトの大きなメリットは、まとめ買いによる割引や定期購入サービスを利用できることです。一定金額以上の購入で送料無料となるサービスを行っているサイトも多いです。

多くの専門通販サイトでは、保冷剤や断熱材を使用した専用の配送方法を採用しており、安全に商品を届けるための工夫がなされています。遠方から家族に宛てて介護食を送る場合も安心です。

宅配サービス

毎日の食事準備の負担を軽減したい場合や、栄養バランスの取れた食事を望む場合は、介護食の宅配弁当サービスが便利です。定期的に自宅まで配達してもらえるため、買い物に行く手間が省けます。

宅配サービスには、大手食品会社や介護サービス企業が提供するものなどさまざまなものがあります。

これらのサービスでは、ムース食、やわらか食、ミキサー食など、症状に合わせた食事形態が揃っており、医療機関でも導入されているプロ仕様の介護食を自宅に取り寄せることができるサービスもあります。

宅配サービスの利用方法は、基本的にはインターネットや電話で注文し、指定した日時に配達してもらうシステムとなっています。

多くのサービスでは、1週間分や1か月分などまとめて注文することができ、定期配達の仕組みも整っています。配送方法は、冷凍または冷蔵での配達が一般的で、保存がきくように工夫されています。

宅配サービスの大きなメリットは、介護食を継続的に確保できることに加え、栄養バランスが考慮されていることです。

管理栄養士が監修したメニューもあり、カロリー、塩分、タンパク質などの栄養素がコントロールされているものが多いです。

また、見た目や味にもこだわった商品が多いため、食事の楽しみを維持しながら必要な栄養を摂ることができます。

介護食にはどんな種類がある?

介護食を購入する前に、どのような種類があり、どれが必要な状態に適しているのかを知っておくことが大切です。介護食は単に「やわらかい食事」というだけではなく、嚥下機能や咀嚼機能の状態に応じて、さまざまな形態や硬さのものが開発されています。ここでは、介護食の主な分類システムや、状態に合わせた食事形態について解説します。

介護食の区分

介護食の代表的な分類システムとして、「ユニバーサルデザインフード」と「スマイルケア食」があります。これらは、食品のパッケージに表示されているマークを見れば、どの程度の硬さや形状なのかが一目でわかるようになっています。

「ユニバーサルデザインフード」は、日本介護食品協議会が制定した規格で、かたさを4段階に区分しています。

区分1(容易にかめる)
区分2(歯ぐきでつぶせる)
区分3(舌でつぶせる)
区分4(かまなくてよい)

一方、「スマイルケア食」は農林水産省が推進する分類で、日常の食事や介護食など幅広く対応しています。

青マーク(問題なしのみの1段階)

噛むこと・飲み込むことに問題はないものの、健康維持上栄養補給を必要とする方向けの食品


黄マーク(2~5の4段階)

噛むことに問題がある方向けの食品


赤マーク(0~2の3段階)

飲み込むことに問題がある方向けの食品


これらの分類を理解しておくと、スーパーやドラッグストアの売り場で介護食を選ぶ際に役立ちます。例えば、軽度の咀嚼障害がある場合は「ユニバーサルデザインフード:区分1」または「スマイルケア食:青マーク」の商品を選ぶと良いでしょう。

介護食を購入する際には、これらの区分表示を参考にしながら、摂食・嚥下機能に合った商品を選ぶことが重要です。特に通販サイトを利用する場合は、商品説明に記載されている区分情報を確認するようにしましょう。不明な点がある場合は、かかりつけ医や栄養士など専門家に相談することをおすすめします。

さまざまな食事形態に対応した介護食

それぞれの形態には特徴があり、対象となる方の状態に合わせて選択することが大切です。ここでは、主な食事形態とその特徴、適応となる状態について解説します。

ソフト食は、噛む力が少し弱くなってきた方に適している食事で、普通の食事よりもやわらかく調理されています。見た目も通常の食事に近いものが多いのが特徴です。

やわらかいものであれば咀嚼できるという方にはムース食が適しています。舌でつぶせる程度のやわらかさの食事です。

すりつぶした食事を固めて形をつくるため、見た目の工夫がしやすく、食材の形を模したデザインのものも多く見られます。

よりやわらかい食事を必要とする方にはペースト状にした食材をとろみ剤やゼラチンで固めたゼリー食がおすすめです。

重度の嚥下障害がある方に適しており、口の中でまとまりやすく、飲み込みやすいという特徴があります。


栄養補給やリハビリ用などに対応した介護食

介護食には、食事形態だけでなく、特定の目的や症状に対応した製品も数多く販売されています。栄養補給に特化したもの、リハビリテーションを支援するもの、特定の疾患に配慮したものなど、さまざまな種類があります。

栄養補助食品 通常の食事だけでは必要な栄養素をとることが難しい方のための製品です。タンパク質、ビタミン、ミネラルなどが強化されており、少量でも効率的に栄養を補給することができます。主に薬局やドラッグストア、通販サイトで購入することができます。 咀嚼訓練用食品 噛む力のリハビリテーションを目的とした食品です。ほどよい硬さや弾力があり、噛む機能の回復を支援します。介護用品専門店や通販サイトで入手できます。 えん下困難者用食品 消費者庁が許可した特別用途食品の一つで、嚥下機能が低下している方向けに開発された食品です。厳格な基準に基づいて許可されており、安全性が高いのが特徴です。

介護食を選ぶ際には、医師や管理栄養士などの専門家のアドバイスを受けることも大切です。特に嚥下障害がある場合は、誤嚥(食べ物が気管に入ること)の危険性があるため、適切な食事形態を選ぶことが重要です。

また、特に疾患がある場合は、食事内容が治療に影響する可能性があるため、必ず主治医に相談してから購入するようにしましょう。

お家にあるもので作れる介護食レシピをご紹介!

介護食の販売店を探しても、近くに販売店がない場合もあります。そんなときに役立つのが、家庭にある一般的な食材で作れる簡易的な介護食です。ここでは、特別な材料や調理器具がなくても作れる介護食のレシピや、基本的な調理テクニック、あると便利な調理器具などをご紹介します。

介護食を自宅でつくる際のポイントは、「安全性」「栄養価」「見た目・味」の3つのバランスを考えることです。特に安全性は最も重要な要素であり、対象となる方の嚥下・咀嚼機能に合わせた硬さや形状にすることが必要です。また、アレルギーや体調も考慮し、適した食材を選択することも大切です。

介護食を自作することのメリットは、コスト面だけでなく、手作りならではの温かみや味の調整がしやすいこと、そして何より身近な食材でその日のうちに対応できることにあります。市販の介護食と組み合わせながら、状況に応じて活用していきましょう。

家庭にある食材でつくる簡易介護食

簡易的な介護食のレシピをいくつかご紹介します。これらは一般的な家庭にある食材でつくることができ、特別な調理器具がなくても対応可能です。

豆腐を使った介護食 手軽に作れる介護食の一つです。絹ごし豆腐は元々やわらかいため、そのまま小さく切ったりつぶしたりするだけでも食べやすい一品になります。さらに加熱すればよりやわらかくなります。 バナナを使った簡易介護食 特別な調理なしで作れるレシピです。完熟したバナナはやわらかく、フォークでつぶすだけで簡単にペースト状になります。

そのまま食べても良いですし、牛乳やヨーグルトと混ぜてなめらかにすれば、デザート感覚の介護食になります。

バナナには食物繊維やカリウムが豊富に含まれており、栄養面でもおすすめです。

パンを使った介護食 食パンの耳を取り除き、牛乳やスープに浸してやわらかくすると食べやすくなります。甘味付けをしてデザート風にしたり、野菜スープで浸してお食事風にしたりと、アレンジも豊富です。特に朝食として手軽に準備できるのが魅力です。 卵を使った介護食

茶碗蒸しや卵豆腐など、元々馴染みのある料理を介護食に適した形でアレンジすることができます。

卵は良質なタンパク質源であり、調理方法によってさまざまな硬さに調整できます。茶碗蒸しにする場合は、具材を細かくすることで、より食べやすくなります。

これらのレシピを基本に、対象となる方の嚥下・咀嚼機能に合わせて、さらに細かくする、とろみをつける、ミキサーにかけるなどの調整を行うと良いでしょう。

また、見た目も大切な要素です。食材本来の色を活かしたり、盛り付けを工夫したりすることで、食欲を増進させる効果が期待できます。

介護食の基本テクニック

介護食を自宅でつくる際に知っておくと役立つ基本的な調理テクニックをご紹介します。これらのテクニックを活用すれば、一般的な家庭料理をアレンジして介護食にすることができます。

「裏ごし」

介護食作りの基本です。茹でた野菜や果物、魚や肉などをざるやこし器に入れ、スプーンやへらで押しつぶしながら漉していきます。これにより、繊維質や硬い部分を取り除き、なめらかな食感にすることができます。

裏ごしをする際のポイントは、材料をしっかりとやわらかく茹でることと、少量ずつ行うことです。一度に大量に裏ごしすると労力がかかり、均一にならないことがあるため注意が必要です。

「とろみづけ」

液体状の食品に適度な粘度をつけるテクニックです。少量の水で溶いたとろみ剤を、温かい液体に少しずつ加えて混ぜるのが基本です。

とろみの強さは、嚥下機能によって調整します。とろみの調整は個人で判断することが難しい場合もあるため、場合によって専門家と相談することが必要となる場合もあります。

「ムース化」

食材をなめらかにし、ゼラチンなどで固めることで、形を保ちながらもやわらかい食感にするテクニックです。基本的な作り方は、裏ごしした食材に湯で溶かしたゼラチンを混ぜ、型に入れて冷やし固めるというものです。

これらの基本テクニックを組み合わせることで、さまざまな料理を介護食にアレンジすることができます。

料理ごとのアレンジ方法を知ることで、毎日の食事バリエーションを増やし、食事の楽しみを維持することができるでしょう。また、市販の介護食と組み合わせながら、無理なく続けられる介護食作りを心がけることも大切です。

介護食を自宅でつくる際に役立つ調理器具

介護食を自宅でつくる際にあると便利な調理器具をご紹介します。これらの器具があればより効率的に介護食をつくることができます。

ハンドブレンダー(ミニミキサー)は、介護食作りに最も役立つ調理器具の一つです。鍋やボウルに直接入れて使用できるため、調理済みの食材をその場でペースト状にすることができます。洗い物も少なく済むのも魅力の一つです。

また、フードプロセッサーは、より本格的に介護食をつくる際に便利です。刻む、混ぜる、すりつぶすなど多機能なものが多く、一度に大量の食材を処理できます。特に、一週間分の介護食をまとめてつくる場合などに適しています。

こし器は繊維質や硬い部分を簡単に取り除くことができる道具です。金属製のものやプラスチック製のものがあり、目の細かさによって用途が変わりますので、用途に合わせて選ぶと良いでしょう。茶こしや細かい網目のざるでも代用可能な場合があります。

これらの調理器具を適切に活用することで、家庭でも安全で見た目も良い介護食をつくることができます。ただし、最初から全てを揃える必要はなく、介護食作りに慣れてきた段階で、必要に応じて追加していくことをおすすめします。

介護食が売っている場所が近くになくても、緊急時には自宅にある食材で対応できるよう、いくつかのレシピや技術を身につけておくと安心です。

市販の介護食と自家製の介護食を上手に組み合わせながら、その方に合った食事を提供していくことで、介護家族の負担を軽減しながら、楽しい食事を実現することができます。

まとめ

介護食の販売場所は、スーパーやドラッグストアなどの実店舗、大手通販サイトや介護食専門通販サイト、そして宅配弁当サービスの3つに大きく分類されます。それぞれに特徴があり、状況に応じて適切な購入先を選ぶことが大切です。

また、介護食にはさまざまな種類があり、嚥下・咀嚼機能の状態に合わせて選ぶ必要があります。「ユニバーサルデザインフード」や「スマイルケア食」の区分表示を参考にしながら、適切な食事形態を選びましょう。

さらに、急に介護食が必要になった場合や、近くに販売店がない場合には、家庭にある食材で簡易的な介護食をつくることも可能です。基本的な調理テクニックを覚え、適切な調理器具を活用することで、栄養豊富な介護食を提供することができます。

介護食選びで迷ったときは、医師や管理栄養士などの専門家に相談することをおすすめします。適切な介護食を選ぶことで、栄養状態の維持・改善だけでなく、食事の楽しみを保ちながら、より良い食生活を送ることができるでしょう。

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