全国の有名店を食べ歩いたラーメン研究家が作る理想の醤油ラーメン【らぁ麺 朝軒】厳選醤油11種ブレンド<紫>と8種の<白>
富山のご当地ラーメンと言えば、富山ブラックラーメン。
丼の中の麺が見えないほど濃く真っ黒な醤油スープが特徴のラーメンですが、富山市のまちなかには<紫>と<白>と名付けた醤油ラーメンを提供する店があります。
名前は、「らぁ麺 朝軒」。
全国の有名店を食べ歩き、時にはその店の店主から直接アドバイスをもらいながら、調理法や技術に磨きをかけてきた“ラーメン研究家”を自称する朝野剣太さんが、理想の1杯を提供する店です。
全国各地から取り寄せた醤油を最大11種もブレンドして作るスープは、富山ブラックとは異なる味わい深さと上品なうまみを持つラーメンです。
富山のまちなかに2023年オープン「らぁ麺 朝軒」
富山のまちなか。ガラス美術館がある西町の交差点から300mほど東へ、通りを1本南へ入った場所に店を構えるのが「らぁ麺 朝軒(あさけん)」です。
古くからまちに根付いた商店や企業が並ぶ一角に、一般的なラーメン店とは少し変わった風貌の店構え。もともと喫茶店だった店舗をリノベーションしたそうで、クラシカルな木製のドアや出窓にその面影が残ります。
喫茶店をリノベーション アットホームなラーメンの店
店内にはカウンターとテーブル席があり、カウンター奥にある食券機でチケットを購入するスタイルです。
券売機の何にしようか迷っていると、カウンターで食べていた若い男性客が大きな声で「ごちそうさまでした、おいしかったです」と立ち上がって出ていきました。その背中に向かって、店主の朝野さんの「ありがとうございました!」の声。
もとが喫茶店なのでフロアは大きくなく、朝野さんの目が店内に行き届いています。
アットホームであたたかい雰囲気が漂い、初めての来店でも緊張せずにラーメンが味わえそうです。
コロナ禍をきっかけに「らぁ麺研究家」に
自称「ラーメン研究家」の朝野剣太さん。
もともとラーメン好きのサラリーマンでしたが、コロナ禍をきっかけにラーメンを作るほうにも興味を持ち始めました。
「趣味でサッカーをやっていたんですが、コロナ禍で時間を持て余してしまって。自宅で自家製麺のラーメンを作り始めたのがきっかけです」(朝野さん)
行きつけにしていた富山市内のラーメン店「万里」の味を目指してラーメン作りに挑戦しはじめました。
ですが、独学ではうまくいかず…
「結局、『万里』のご主人にいろいろ教えてもらいました。それから東京・八王子の『鴨福』さんに師事を受けたり、ラーメン学校に通ったり、全国のラーメン店を食べ歩いたり…」(朝野さん)
理想とするラーメンを追求しながら、まずは他店の一角を借りて間借り営業をスタート。その1年後の2023年に、念願の現店舗をオープンさせました。
看板メニューの「醤油らぁ麺」は<紫><白>の2種類
醤油ラーメンが人気の「らぁ麺 朝軒」。
昔ながらの中華そばや富山ブラックを意識したものもありますが、看板となるのは<紫>と<白>の2種類の醤油ラーメンです。
スープに使う醤油は、富山県内のものに加えて、長野・兵庫・愛知・大分・長崎・島根など全国各地から厳選して取り寄せています。濃口醤油やたまり醤油、再仕込みした醤油などを独自の配合でブレンドし、その見た目の色から<紫><白>のふたつのスープが生まれました。
<紫>のほうは11種類、<白>のほうには8種類の醤油を使っています。
店主イチオシは<白> 国産の天然食材や調味料にこだわり
自分で店を経営する今でも“うまいラーメン” を研究し続けている朝野さん。現時点でのイチオシは、醤油を8種類ブレンドして作る「特製 醤油らぁ麺 白」です。
「出汁は、煮干しや昆布、シイタケなど国産の天然食材を使って、材料に適した方法で抽出して、豚や鶏のガラではなく肉から抽出したエキスも入れてます」(朝野さん)
スープに合わせるカエシを試行錯誤しながら作り上げた結果、現在は、兵庫や愛知などから取り寄せた醤油8種類に行きついたのだそう。
薄い琥珀色に光るスープ。その味は…
身体に溶け込んでいくようなうま味と舌触り。
とがったような刺激やインパクトはありませんが、代わりにじわ~っと口の中に味わいが広がり、なんとも言えず上品なラーメンです。
特注で仕込んでもらっているという麺は、低加水の細ストレート麺。噛みごたえや食感は繊細で、スープとのバランスを考えて作られているのがよくわかります。
低温で8時間調理の県産ブランドポークなど 3種類のチャーシュー
海苔を3枚重ねないと支えきれないという大ぶりのチャーシューは、砺波のブランド「たかはたポーク」の肩ロースを8時間低温調理して仕上げた1枚。レアではなく、しっかりと火が通っているのにやわらかく、豚肉のうま味でとてもジューシーな味わいです
さらにスープの中には、同じくたかはたポークのもも肉の一部、シンタマを使ったチャーシュー、それに鶏肉のチャーシューも隠れていました。
国産銘柄鶏のむね肉を使ったチャーシューは、低温調理したあとに七輪で炭火焼きにし、ガス臭がしないという特殊なガスバーナーで表面ををあぶって完成。
手間暇をかけて仕込まれたその味は、炭火焼きの焼き鳥を食べているような味わいで、厚みも満足感もある鶏チャーシューです。
食材のこだわりは、スープや麺、チャーシュー以外にも。
ラーメンの出汁で丁寧に味付けしたメンマ、低農薬で作られた県産の小松菜、こだわりの健康卵など、それぞれの食材一つひとつに、時間と情熱が注がれています。
「せっかくの外食ですから、おいしい食体験をしてほしいと思ってまして。家では普段なかなか食べられないような厳選食材を使い、満足感のある1杯を追求していきたいと思います」(朝野さん)
トッピングにもこだわった1杯は1500円とやや値は張りますが、その分、食べごたえと満足感を味わえます。
ちなみに、具をもうちょっとシンプルにしたチャーシュー1枚、メンマ、ねぎ、海苔1/2カット海苔の「醤油らぁ麺 白」は900円で食べられます。
全国の有名店とつながり さらにラーメン研鑽中
店内入り口付近に飾られているTシャツやのぼりは、全国にいるラーメン仲間の貴重なアイテム。
「こだわっているラーメン屋さんとのご縁もたくさんあって、アドバイスをもらったら即試してみたりしています。だからラーメンの味は常に変わってて…」(朝野さん)
「朝軒」の厨房では日々、新しい“おいしさ”への探求が続いています。足を運ぶたびに新しい出会いがありそうで、わくわくします。
【らぁ麺 朝軒】
住所 富山県富山市室町通り1-1-20
営業時間 土曜 朝 8:00~10:00
火~土曜 昼 11:00~14:00
火・木曜 夜 18:00~20:00
定休日 日・月曜