『アベンジャーズ/エンドゲーム』アッセンブルシーンの裏でルッソ監督が戦っていた ─ 「当初はカメラがスティーブ・ロジャースを周回していた」
多勢に無勢、圧倒的な兵力で迫るサノス軍を前に、盾も砕けて満身創痍のキャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースは為す術なし。それでも一人立ち向かうスティーブの元に、消えたヒーローたちが続々と出現する。ドクター・ストレンジのポータルを通じて、主役級の仲間たちが全員集結を果たしたのだ。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』で配信中 © 2025 Marvel
もう、負けない。ヒーローたちが横一線に並ぶと、全ての戦士が鬨の声を揃える。キャプテン・アメリカが「アベンジャーズ!」と声を張ると、誰もが耳を研ぎ澄ます。リーダーの手にムジョルニアが戻る。続いた言葉は「アッセンブル」……。雷神が叫び、国王が叫び、勇兵たちは雄叫び、ペガサスの騎士が空を駆け、アーマーの戦士が飛び、巨人が闊歩する……。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』ディズニープラスで配信中 © 2025 Marvel
映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)クライマックスで、の壮大な歴史と挑戦が一つの画面に集結する瞬間だ。キャプテン・アメリカの「アベンジャーズ!アッセンブル」のセリフを感情的な頂点に放った最高の名シーンだが、実は当初は完成版とはかなり異なる演出になるはずだったという。
ジョー・ルッソ監督が英Empireにて明らかにしたところによれば、この「全てのマーベル映画の中でも最も有名なシーン」に関しては喧喧諤諤の「ディベート」があったという。「当初のコンセプトでは、カメラがスティーブ・ロジャースを中心に周回し、全員が彼の後ろに集まるというものだった」というのだ。
完成版では、あちこちに出現したポータルを通じて、各地から集結した仲間たちが出揃い、サノス軍に対峙する形で横に並ぶ構図だった。「あのヒーローも」「まさかあの人まで」という驚きにつぐ驚きをたっぷり見せ、集まった軍勢を空撮ショットでダイナミックに展開した後、その中で目に力を取り戻したスティーブ・ロジャースを写すという形だ。スティーブ中心の演出というよりは、瞬く間に巨大勢力になった古今東西ドリームチームの壮大さを表現するようなカットだった。
ジョー・ルッソはこのために、「編集室で数ヶ月戦った」そうだ。「誰がどっちについていたかは言いませんが、頑張りましたよ。アンソニー(・ルッソ共同監督)と一緒に、“もういいや、再撮影で撮ろう”と言いましたね」。
脚本家の一人であるスティーヴン・マクフィーリーは当初、ルッソのアイデアに反対だったという。スティーブ周回のカットが「かなりうまくいっていて、カッコいいと思っていた」ためだ。
結果的に折れて、ルッソの案を受け入れているわけだが、きちんと納得している様子。「彼らやマーベルと仕事をしていてわかったのは、感情的なロジックは、ロジックすぎるロジックに勝るということです」と、マクフィーリーは振り返っている。「責任逃れではなく、映画が何を望んでいるか。観客が何を望んでいるかです」。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』はディズニープラスで配信中だ。何度見ても熱いものが込み上げるアッセンブルシーンには、ルッソ監督による名演出があった。
Source:Empire (via )