西宮の『甲山ガラス工房』で世界に一つとない泡がきらめく吹きガラス体験 西宮市
以前カフェで出会った”泡がきらめくガラス”。まるで泡が閉じ込められたようなグラスやランプの透明感とやわらかな光に心を奪われ、それ以来ずっと記憶に残っていました。そんなガラスと思いがけないかたちで再会したのが、今回訪れた「甲山ガラス工房」です。
西宮・甲山の自然に囲まれたこの工房では、吹きガラス体験を通して、自分だけの一品を生み出すことができます。
ガラス工房の扉を開けると、炉の熱気がふわっと立ちのぼり、陳列棚には色ガラスの粉や粒が色別に整然と並び、まるで宝石箱のようにきれいで、その美しさに思わずカメラを向けました。
体験では、まずコップまたは花瓶のどちらを作るのかを選択。そして次に色の選択。色は一人2色まで選べます。シンプルにガラスの透明感を楽しむ人もいれば、泡のきらめきを加える人も、それぞれの好みに合わせて選べるのも、この工房の魅力のひとつです。私は毎日使いたいコップを選び、色は偶然の色の重なりが楽しめるマルチカラーと泡入りを選びました。
炉で真っ赤に溶けたガラスを巻き取り、ガラスを木の型で整えていきます。その間、ガラス玉をつけた棒を回しながら吹き付け、溶けたガラスが形を崩さないよう回して整える工程を体験しました。工房の皆さんの手際のよいサポートのおかげで、スムーズに形を整えることができました。
一番の見どころはやはり、ガラスに泡をいれる過程です。シュッという音とともに、注射器のような道具で炭酸水を線のようにふりかけることで、小さな気泡が閉じ込められていく。その一瞬、まるで時間が止まったかのように、泡が静かにガラスの中へと舞い降りました。これが、”ガラスに命が吹き込まれる瞬間です”。
泡の入り方は、力加減とタイミング次第で全く異なるものとなり「同じものは絶対できないんですよ」と教えてくれた作家さんの言葉が印象的でした。
すべての工程を終えて、数日後に受け取った自分の作品。光にかざすと、泡が星のように浮かび上がる。色の混ざり方も水彩画のようなやわらかさがあり、“世界に一つ”という言葉がしっくりきます。
体験の後、工房横のギャラリーも訪れました。
作家さんの作品たちが並び、外から差し込む光と泡の模様が織りなす、幻想的な空間が広がっていました。
特に印象に残ったのは、木の枝をかたどったような、高さも幅もある大型のガラス造形。このアート作品を見せるために設計された建物の構造も印象的でした。まるで自然と一体になったような光景が広がり、光を透かすことで、ガラスの中に風景が溶け込むように感じられ、まさに芸術作品でした。
実際に体験してみて、完成までに色や温度、形など、いくつもの工程を瞬時に判断し、対応する必要があることを知りました。その難しさを目の当たりにし、「ガラスって、こんなにも繊細で、技術と感性が注ぎ込まれているんだ」と、作品に込められた想いの深さに改めて気づかされました。
泡がきらめくガラスに出会う体験。それは、ガラス越しに“自分だけの光”を見つける時間でもあると感じました。
場所
甲山ガラス工房
(西宮市湯元町1-15)
営業時間
10:30~17:00
1日体験開講日
月曜日、金曜日、土曜日、日曜日
14:30~
定休日
不定休(要確認)
TEL
0798-70-4431