4000年前のうなぎの骨と、うな骨ラーメン
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きょうは「うなぎ」に注目します。
うなぎに関する新しい動きが出てきているんですが、まずは4000年前の話から。
浜松市博物館 館長 鈴木 一有(かずなお)さんのお話しです。
浜松市博物館 館長 鈴木 一有さん
蜆塚(しじみづか)遺跡というのが浜松市にあるんですね。そこにですね、縄文時代の人が食べた、食べカスが積もっている貝塚というものがあるんですが、67年ぶりにその貝塚の発掘調査を今年8月にしました。貝塚から出てきた土を、水で洗いながらふるいでふるっていったら、鰻の骨がそのふるいの中に引っかかって見えてきたっていうのが概要です。この分析を広げていくと、どれぐらいの割合で縄文の人が鰻を食べていたのかなということが見えてくる、定量的な分析が出てくるそういった端緒が開かれたってことが大きな発見なんです。
博物館では12月の28日まで展示してます。反響大変多いですよ。浜松市は鰻の名産地であるので、普段からもお客さんが来たときにもいろいろ振る舞うような鰻が、4000年前の頃から食べられていたんだって驚きがあるってことですね。
・67年ぶりに行われた今回の発掘調査では、新たに「水洗選別法」という、水で洗って、ふるいをかけて探し出すと言う方法を導入した結果、微細な、今まで見落としているような小さな骨まで回収することができた。
・うなぎの骨は椎骨、人間で言えば背骨が発掘され、直径は1ミリから2ミリぐらい、高さも1ミリから2ミリぐらいのもので、非常に小さな骨ですが、「縄文時代に定期的にうなぎを食べていた」というのが大きな発見だという
・博物館では11月から展示を始めたそうですが、「鰻の骨を探求するツアー」を行った時に、今の鰻の骨と発掘された鰻の形を見比べて(鰻の骨特有のトゲなど)本当に鰻の骨だ!と子どもたちが感動していたそうで、反響は大きいとのこと。
・今まで見えてこなかった縄文時代の人々の食生活など明らかにして博物館で後世に伝えてきたいとのこと。明後日まで展示予定。
次は現代の話。うなぎの骨を使った面白い食べ物が登場していました。
山田のうなぎ うな骨らーめん築地本店を営む 山田水産の 山田 信太朗さんのお話しです
うな骨ラーメン
山田水産の 山田 信太朗さん
私達のお店では、山田水産の蒲焼工場がございまして、そこで蒲焼を生産する際に出る骨をコトコト煮出して、そこから抽出した旨みを使ったとんこつラーメンじゃない、うな骨スープを使ったうな骨ラーメン、そして自社で養殖された鰻の蒲焼の鰻飯を提供をしております。
一番最初聞かれるのが、鰻屋さんなの?ラーメン屋さんなの?と聞かれるんですね。私はその両方ですと答えておりまして、食べてもらった方はやっぱり本当に鰻の香りがするという感じで、豚骨と違ってもたれないんで、結構クセになってリピートされてる方多いです。
鰻って江戸時代から続く食文化なんで本当の清澄な鰻は老舗の名店もたくさんあるんですけどラーメンと合わせることによって若い人たちが、この鰻美味しいね丑の日今度鰻食べようかというふうに思ってもらったらなと、そういうふうに思っております。
・うな骨ラーメンは「あっさりした豚骨スープ」のような新感覚でした。山田さんも最初試食した時に豚骨が入ってると思ったくらい豚骨スープと似ている
・おそらく日本で初だろうと言ううなぎの骨のスープを使ったラーメンですが、自社で鹿児島に加工工場があり、うなぎの蒲焼を作る際に出る骨を使っている。
・土地柄、海外のお客様も多く、日本の伝統的な食文化を知る「入り口」として、うな骨ラーメンを食べて欲しいとのこと。
ただこちら、うな骨ラーメン誕生の理由は美味しさを追求しただけでなく、もう一つ他にも理由がありました。再び山田さんのお話し。
山田水産の 山田 信太朗さん
鰻の加工場を持っておりまして蒲焼を作ってたんですけどもその際に出る骨をですね、今まで廃棄してたんですね。年間で60トンぐらい捨ててましたね。やっぱり資源の有効活用ということで何かできないかなということで、ラーメン一杯で大体鰻20尾分の骨を使ってます。こうやってSDGsの観点から資源の有効活用の鰻ラーメンなんだねっていうコメントをいただいてそういうのは肌で感じております。
自分に対して育ててるウナギなんで本当に骨まで、身は蒲焼きにして最後までちゃんと資源を有効活用して次世代に魚文化引き継ぎたいなというふうに思います。
・年間60トンもの骨を廃棄していた
・どうにか有効活用できないかと言う事で発案したのも大きな理由のひとつ。
今年11月にオープンしたばかり。今後これを積み重ねてロス削減につなげたいとのこと。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:竹内紫麻)