【日本初の夜行バス】フルフラット型シート「ソメイユプロフォン」で寝たまま四国へ → 快適かと思いきや震えた
2025年3月に日本初の寝台夜行バス「ソメイユプロフォン」が誕生した。高知県内のバス会社「高知駅前観光」が、東京と高知を結ぶ夜行バスに試験的にフルフラットシートを導入したという。新幹線や飛行機よりも安いうえに眠れるなんて最高である。
これまで苦行と言われ続けた「長時間のバス移動」もフルフラットなら余裕……いや、何事も試してみないと分からない。というわけで今回は、モニター運行に申し込んで7000円でバスタ新宿から徳島駅へ。実際に寝転んでみた感想をお伝えしよう。
・ソメイユプロフォン
フランス語で「熟睡」を意味するソメイユプロフォン。今回利用するのは「バスタ新宿ー徳島駅前」で、公式サイト曰く21時45分にバスタ新宿を出発して翌朝6時に徳島駅に到着するスケジュールらしい。つまり約8時間熟睡できるってこと。とても健康的だ。
もし眠れなくてもフルフラットなら快適。寝転がってダラダラしているだけでいいのだから。調べたところ、まさに「安いけどキツい夜行バス」のイメージを払拭するために開発したという。ありがとうございます。
・モニタープラン
先にも述べたが、今回はモニタープランで片道7000円。当面は週1往復の運行を続け、秋頃に本格運行への移行を検討しているそうだ。ちなみに東京ー高知のモニタープランは7300円とのこと。
そして今後は、東京から高知まで片道1万4000円を予定しているらしい。同路線は普通の3列シートの相場が約1万円。つまり数千円をプラスしたらフルフラットになるイメージ。
それなら……と考える方もきっと多いだろう。飛行機や新幹線よりも安いうえに熟睡できてしまうわけだし。
・乗ってみた
さて、20時にTDLバスターミナルを出発したソメイユプロフォンは、東京駅を経由して時間通りにバスタ新宿に到着した。土足禁止らしく、乗車前に靴を入れるビニール袋を受け取ってから車内へ。果たして……
…………
狭ぇぇぇ……
・眠れるのか
衝撃的な光景だった。車内には2段ベッドが3列並んでいて、通路幅は大人が横になればなんとか通れるほど……ちなみに私の座席は「最前列の下段」。後ろから人が来るので「早く入らねば」と思い、忍者のようにベッドに転がり込んだ。
公式サイトによると、シート幅は48cm・長さ180cm・空間(高さ)51cm。思ったよりも圧迫感・閉塞感がある。
ベッドの上にブランケットがあったが、うまく身動きが取れないうえに自分の荷物も邪魔。さらに天井が低いから起き上がれない。
とりあえずブランケットは後回しにして、ゆっくりと体を回転させてカバンから耳栓を取り出した……ヤバい、もう汗が止まらない。もはやミッションインポッシブルである。
そしてどうやらコンセントはないらしい。スマホの充電はできず。スマホはズボンのポケットに入れておくことにした。
カバンは乗車前にトランクルームに預けておくのが正解だと思う……財布やスマホといった貴重品だけを小さなカバンに入れておくと良いだろう。
・熟睡していた
実は寝ているうちにスマホを落としてしまって探すのに一苦労したし、上段ベッドで寝ている方の荷物も私の足元に落ちていた。
まあでも、なんだかんだ言って眠れたようだ。
海老名SAで休憩を取った後、ブランケットをかけて腰の位置でシートベルトをするまでが大変だったが……やはり横になって足を伸ばせるのは良い。リクライニングよりもフルフラットの方が断然眠れる。気づいた時には松茂PA(徳島県)にいた。
サイトの案内にも「構造を理解した上で予約してください」と記載されているように、サイズ感を分かっていないと必ず後悔することになる。事実、私は勝手にカプセルホテル的なイメージを抱いていたため慣れるまでに時間がかかってしまった。
下段はとくに狭いので覚悟が必要。しかし睡眠の深さはこれまでの夜行バスと段違い。移動中に熟睡したい方は試してみると良いだろう。定員は24人、予約は「発車オ〜ライネット」のネット予約からのみ。興味があればぜひ!
参考リンク:ソメイユプロフォン
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.