【横須賀市】神奈川県介護賞 横須賀から3人受賞 福祉に捧げた真摯な歩み
神奈川県内の社会福祉事業を行う施設などで介護事業に携わり、特筆すべき功労のあった人を称える「第32回神奈川県介護賞」の受賞者が11月6日に発表された。4人が受賞し、このうち3人が横須賀市内の施設から選出された。
県内の介護従事者の励みとすることを目的に創設された表彰制度。40歳以上で20年以上の業務従事期間、顕著な活動内容などの要件を満たした人が対象となる。1993年に創設されて32回目となった今回、横須賀市から川名英幸さん(50・社会福祉法人公友会)、三浦麻矢さん(52・社会福祉法人心の会)、加藤あゆ美さん(45・社会福祉法人心の会)が受賞した。
利用者を第一に
川名さんがヘルパーの資格を取得し、異業種から介護職に転身したのは23年前。特別養護老人ホーム「横須賀グリーンヒル」における利用者の排泄や入浴介助などの仕事は、それまで携わってきた車の設計とは大きく異なるが、「人と関わって働きたかったから」とやりがいを感じた。
介助の作業をしやすいように利用者が気を使って腰を浮かしてくれた時など、必ず「ありがとう」と感謝を伝える川名さん。「それは私の方よ」と驚かれながらも、そんな振る舞いにより利用者と良好な関係を築いてきた。管理職として現場を離れた今も、「利用者も職員にとっても、相談しやすい環境づくりの基本は挨拶と笑顔」と、その姿勢は崩さない。
大学院で知的障がい者の自立について研究した経験を活かし、21年前から就労継続支援事業所「あすなろ学苑」に勤務する三浦さん。仕事や職場を提供することを通じ、「苑生」と呼ぶ知的障がい者のサポートを続けている。
プロのパティシエから受けた技術指導をもとに苑生が製造を手掛けるパンや焼き菓子は、食品に関するさまざまなコンクールで12回の受賞歴がある本格派。「今回の受賞は苑生と職員すべての頑張りによるもの」という三浦さんは、「障がい者もプロと遜色ないほどおいしいものが作れることを発信していきたい」と話した。
自宅で祖母を介護する母の姿を日常的に見てきたことで、高校卒業後に「何となく」進学した福祉系の専門学校。それから25年、加藤さんは介護の道一筋に歩んできた。
現在勤務する特別養護老人ホーム「さくらの里山科」では、ショートステイ部門で施設の利用を検討する人にサービス内容などを説明する相談係長を担う。
ともすれば、「施設に預けられてしまう」と疎外感や孤独感を抱く利用者たち。専門学校時代、在宅ヘルパーの実習で訪問した高齢者宅で聞いた「やっぱり自分の家がいい」という言葉をずっと胸に秘め、自宅のようにリラックスできる環境づくりに努めている。