【第2回】初心者必読!基本的なバイク各部の名称を解説
バイクに乗るようになると、バイクの部位を言い表した用語を耳にすることが多くなります。乗り始めてまもない頃は、その用語がどの部分を指しているかなかなか分かりにくいものです。また故障や破損、異音、違和感がある箇所をお店の人に正確に伝えるためにも役に立ちます。今回は知っておいて欲しいバイクの部位用語をわかりやすく解説します。
バイクの部位用語の解説
外装
カウル(cowl)
風防を目的とするバイクの外装パーツ。僧侶の頭巾を指す英語が由来。「航空機などでの流線形の覆い」と同じくフェアリング(fairing)ともいいます。
フェンダー(fender)
車輪の上部に備えられている泥よけのためのパーツ。港の岸壁に船が接触する際の衝撃緩和材が由来で、自動車同様も同じ呼び方です。泥はねだけでなく、高速回転するタイヤに乗員や他車が触れると非常に危険なため、保護する目的があります。前輪に備わるのはフロントフェンダー、後輪に備わるのはリアフェンダーと呼ばれます。
リフレクター(reflector)
主に夜間走行時を想定した、他の車からの視認性を高めるための反射板。バイクではナンバープレートの下やサイドリフレクターはフロントフォークやカウルパーツに備わります。
コクピット周り
アクセルワイヤー / スロットルワイヤー(throttle wire)
バイクのアクセルのことをスロットルと呼び、エンジンに送られる空気の量を調節することで加減速します。語源は英語の喉(throat)といわれています。
グリップ(grip)
ハンドルを握る部分に備わるパーツです。主にゴムを用いた製品が多く、ハンドル操作時に手が滑らないようにする役目を担っています。
ハンドル(handle)
バイクを操作するために手で掴むパーツ。バイクの進行方向を調整するほか、ライダーの体を支える役割を持ちます。一本のパイプから構成されたものを「バーハンドル」、2つに分割されたタイプを「セパレートハンドル」と呼びます。自動車のハンドルは英語でステアリングホイール(steering wheel)といいますが、バイクのハンドルは英語でも「ハンドル」です。
ブラケット(bracket)
ブラケットは「棚受け」などを意味する英語ですが、バイクにおいては、フロントフォークとフレームを繋ぐパーツを指します。2本のフロントフォークとフレームのネックという3ヵ所を繋ぐことから「三又」(みつまた / 英語ではトリプルツリー)とも呼ばれます。
メーター(meter)
主にバイクのコクピットに備わる速度などを表示する機器。走行するバイクの速度を表示するのが「スピードメーター(speedometer)」、エンジンの回転数を表示するのが「タコメーター(tachometer)」、バイクの総走行距離を表示する「オドメーター(odometer)」、ツーリング時やガソリン満タン補充時にリセットするなど、随時書き換え可能なものを「トリップメーター(trip meter)」と呼びます。英語ではメーターのことを別名ゲージ(guage)と呼ぶことがあります。メーターのタイプも、針時計型の「アナログメーター(analog guages)」、デジタル表示型の「デジタルメーター(digital guages)」の2種類があります。最近では、デジタルメーターの中でも白黒の液晶(LCD)だけでなく、カラーの「TFT液晶」を採用する車種も増えてきました。
足回り・ブレーキ系
ABS
「アンチロック・ブレーキシステム」(Anti-lock Brake System)の略称で、急ブレーキ時にタイヤがロックするのを防ぐ装置です。タイヤがロックすると転倒の危険性を高めてしまうので、タイヤのロックを防ぎつつ車両の安定性を保ち、ハンドル操作で障害物を回避しやすいように支援する機構です。
キャリパー(caliper)
元々キャリパーは「ノギス」(端度器)の英語ですが、クルマやバイクの世界では、ディスクブレーキ(disc brake)システムの部品を指します。ディスクローターにブレーキパッドを(ノギスと同様に)挟んで押し付けることで制動させるパーツがキャリパーです。
サスペンション(suspension)
サスペンションは元々「ぶら下がっているもの」という意味で、クルマやバイクでは走行時に生じる路面からの衝撃を緩和するための部品で、別名「懸架装置」といいます。バイクではフロントフォーク 、スイングアーム 、リアショックアブソーバー(rear shock absorber)、スプリング(spring)がその役目を担っています。「ショック」「ダンパー(damper)」などの通称が用いられることがあります。
スタンド(stand)
車体を自立させるために支えるパーツ。車体を傾けて支えるスタンドを「サイドスタンド」、スクーターやビジネスバイク、一部の大型バイクには車体を直立させて支える「センタースタンド」が装備されています。
スイングアーム(swing arm)
サスペンションの役割を担う、フレームとリアホイールを接続するパーツ。フレームとの接続部は高剛性になっており、リアショックとの組み合わさって上下する車体を安定させる役目を担います。その際にこの部品が上下動(スイング)することからこう呼ばれています。
ステップ(step)
ライディング時に足を置くためのパーツ。単なる足のせだけでなく、体重移動によって安定走行をするためにカギとなる部位です。スポーツライドを楽しむために通常よりも後部上方に位置するよう設計されたステップを「バックステップ」と呼びます。また、2人乗り時のパッセンジャー用ステップを「タンデムステップ」と呼びます。
スプロケット(sprocket)
日本語で「歯車」の意味。エンジンと後輪に備わる歯車状のパーツで、双方がドライブチェーンで繋がっています。ベルトドライブも同様の構造で、同じくスプロケット、もしくはプーリーと呼ばれます。
タイヤ(tire / tyre)
前後のホイールに備わるゴム状のパーツで、自動車や自転車と同様に乗り物に欠かせない重要な部位です。タイヤとホイールのあいだに空気の入ったチューブが備わるタイヤを「チューブタイヤ」、空気入りチューブを必要としない気密性の高い構造のタイヤを「チューブレスタイヤ」と呼びます。
また、構造によってタイヤのタイプも変わり、舗装路での走行性能を安定させるタイプが「ラジアルタイヤ」、荷重への耐性や悪路での走行に強いタイプが「バイアスタイヤ」になります。
ブレーキ(brake)
走行するバイクの動きを制御する装置。一般的にはフロントホイール、リアホイールにそれぞれ備わり、ハンドルに備わるブレーキレバーや、ステップに備わるブレーキペダルで操作する構造です。
現在販売中のバイクは、義務化されたABS機能と組み合わさって、ブレーキディスクとキャリパーの組み合わせから成る「ディスクブレーキ」が採用されていますが、古いバイクになると、ホイールの軸とともに回転する円筒形状の部材にブレーキシューを押し付けて制動する「ドラムブレーキ」という機能のものがあります。
フレーム(frame)
エンジンを支え、フロントフォークやスイングアーム、コクピット部分と繋がるバいイクの骨格となるパーツ。「車体」「車台」と呼ばれることもあります。
フロントフォーク(front fork)
ハンドルとタイヤをつなぐ2本のパイプのセットで、操舵だけでなくサスペンションの役目も果たします。その形が食器のフォークに似ていることから、この名が付きました。
2本のパイプはそれぞれ外側の筒(アウターチューブ)と内側の筒(インナーチューブ)で構成され、中にはバネ(スプリング)とオイルが封入されていて、衝撃を吸収すると同時に急な反発を和らげます。
ちなみに、通常アウターチューブが下にある「正立フォーク」が主流で、高性能車やオフロード車にはアウターチューブが上にある「倒立フォーク」が採用されているモデルもあります。倒立フォークは剛性やハンドリング性能の向上に寄与しますが、価格が高く傷がつきやすい場合もあります。
ホイール(wheel)
タイヤを装着するための円形のパーツ。フロントフォークと接続する前輪部分が「フロントホイール」、スイングアームと接続する後輪部分が「リアホイール」です。針金状の棒で構成されるホイールを「スポークホイール」、アルミなどの合金で一体成形されたホイールは自動車では「アルミホイール(aluminium alloy wheel)」と呼びますが、バイクでは主に「鋳造」を意味する英語を用いて「キャストホイール(cast wheel)」と呼びます。
マスターシリンダー(master cylinder)
ブレーキレバーを握った力、またはブレーキペダルを踏んだ力を油圧に変換して制動力を生む装置で、ブレーキレバーの根本部分に備わっています。
電装系
ウインカー(turn signal / blinker)
方向指示器と呼ばれる、バイクで公道を走るために必要な保安部品のひとつ。右左折や進路変更の際に、その方向を周囲に示すための装置。
スパークプラグ(spark plug)
エンジンのシリンダー内で圧縮された混合気に火花(スパーク)を飛ばして点火する装置。
セル・スターター
昔のバイクはは脚などでエンジンのクランクシャフトを回すことで初爆を得る「キック・スターター」という装置を使って始動していましたが、今では電気モーターを使ってクランクシャフトを回して始動するセル・スターターが主流です。英語では「セルフ・スターター(self starter)」と言い、日本ではセルフが縮まって「セル」になりました。エンジンに点火する発火装置を「イグニッション (ignition)」とも呼び、バイクのキーを「イグニッションキー」とも呼びます。
テールランプ / ブレーキランプ (tail lamp / light)(brake lamp / light)
日本語で「尾灯(びとう)」のことで、乗り物の後部にある赤色のランプ。公道を走るクルマやバイクに不可欠な保安部品で、車両の存在を後続車や歩行者に示す役割があります。制動灯(ブレーキランプ)と兼用になっているものが一般的で、ブレーキをかけたときにより明るく点灯する仕組みになっています。
バッテリー(battery)
電装系パーツやセルスターターといった電気を使用するバイクパーツのために電気を蓄積している部品。電解液が封入されている「鉛電池」(lead battery)が主流ですが、最近では軽量化のため「リチウムイオン電池」(Lithium-Ion Battery = LIB)を搭載した車種も増えてきました。
ヘッドライト(headlamp / headlight)
自動車・バイク・自転車などの車両に搭載されている、前照灯(ぜんしょうとう)と呼ばれる照明装置。操縦者及び外部の視認性を高める役目を担います。従来の電球(キセノンなど)に加え、最近では軽量、省電力、長寿命のLED式ヘッドライトも増えてきました。
エンジン・吸排気
エアフィルター(air filter)
エンジン燃焼室に吸引する空気を、ガソリンと混ぜる前に埃などを取り除いて綺麗にするパーツ。汚れが酷くなると出力低下やエンジン不調のおそれがあります。エアクリーナー(air cleaner)とも呼びます。
オイルクーラー(oil cooler)
エンジンやトランスミッションなどに用いられる潤滑油(オイル)を冷却する装置。
オイルフィルター(oil filter)
エンジンの中を潤滑しているオイルの汚れを取るパーツ。
オルタネータ(alternator)
オルターネートとは「交換する」という意味の英語で、クルマやバイクの世界では「(電気が)交流する」という意味から「交流発電機・充電器」を指します。エンジンの動力で走行中にバッテリーを充電するほか、電装系パーツへ送電する役割も担います。発電機という意味の英語で「ジェネレータ」(generator)とも呼びます。ちなみに昔の自転車のヘッドライトに使われていた「ダイナモ」(dynamo)は「直流発電機」の意味です。
ガスケット(gasket)
古来、欧州で液体や気体が漏れないよう管の継ぎ目を封する金属のことを「ガスケット」と呼びました。クルマやバイクでは、オイル漏れや排気漏れを防止するための、エンジンの繋ぎ目などに挟み込む薄い金属のパーツのことを指します。
キャブレター(carburetor)
霧状にしたガソリンと空気を調合して混合気を作り出す装置。少し前までのバイクでは主流でしたが、近年では燃費や安定性などに優れた電子制御燃料噴射装置(Electronic Fuel Injection = EFI、通称「インジェクション」)が主流です。ちなみに日本では、英語の「カービュレーター」が訛ってキャブレターと呼ばれるようになりました。
クーラント(coolant)
水冷エンジンに用いられるエンジン冷却液。気温が0℃を下回っても凍らない成分でできており、エンジン内を循環してラジエーター(後述)を通過することでエンジンの熱を放出しています。
チョーク(choke)
キャブレターに吸い込まれる空気の量を減らしてガソリン濃度を濃くし、エンジンを始動しやすくするための装置。英語で「息苦しくさせる」「首を絞める」という意味が語源。EFI(前述)搭載車には自動チョーク機能が備わっています。
マフラー(muffler)
エンジンの排気音を抑える消音機。「サイレンサー」とも呼ばれます。排出ガスを浄化する「触媒」も中に入っています。 「包む」「覆うことで音を小さくする」を意味する英語「muffle」が由来です。
ラジエター(radiator)
水冷エンジンに搭載される冷却器。走行風によって、ラジエター内を流れるクーラント液を冷却し、エンジンの温度が上がりすぎないようにします。「放射する」という意味の英語「radiate」から来ています。
知れば理解が深まるバイクの専門用語
バイクに乗り始めた頃だと、聞き慣れない用語に戸惑うことも少なくないでしょう。バイクに関する専門用語はまだまだありますが、こちらの記事でまとめた基本的な言葉の意味が理解できるようになれば、自身の愛車との距離もグッと近くなるだけでなく、マシンが不調や故障の際にショップのスタッフや整備士に正確に症状が伝えられ、整備内容の説明も理解しやすくなることでしょう。「バイクの専門用語紹介」記事はまだまだ続きますので、次回もお楽しみに!