練馬区の味よし、風情よし、店主よし!の名店5軒。老舗のとんかつ店・町中華・純喫茶まで
かつて、練馬区界隈は今より工場や農地がたくさんあった。その頃から腹ペコたちの胃袋を満たし続けてきた店が、今でも元気に残っている。味よし、風情よし、店主よし。桜台・石神井公園・練馬・東武練馬・氷川台の、どこかノスタルジーを感じる名店へ、いざ!
『とんかつ カトレヤ』食べて、おしゃべりして、カツリョクいただきます[桜台]
「毎日、いろんな人と出会えるのが楽しくて、辞められないの~」。店主の佐久間たつ子さんは、目を輝かせながらケラケラ笑う。この地で50年以上も営み、2024年で84歳。快活で温かみある人柄が、老若男女幅広い客のハートを鷲づかみにしている。カラリと揚げられたトンカツにかぶりつけば、ザクっと軽やかな音に頬がゆるむ。「パン粉が決め手なのよ」。塩コショウの効いた肉に、くだものの風味香るソースが調和して、食欲をブースト。嗚呼、白飯がどんどん進むやつだ、これ!
『とんかつ カトレヤ』店舗詳細
とんかつ カトレヤ
住所:東京都練馬区豊玉北4-12-17/営業時間:11:30~14:00・17:30~21:00/定休日:日・月/アクセス:西武鉄道池袋線桜台駅から徒歩5分
『辰巳軒』満たされぬメニューは、ここにはない[石神井公園]
昭和10年(1935)に、深川からこの地に。「先代の頃から『とにかく、おなかいっぱい食べて』って、気持ちでやっててね」と、店主の中川政利さん。人気のAセットは、その言葉をカタチにしたようだ。ひと口カツに焼き豚、ロースハムなど、皿からあふれんばかり。この全部盛り感、気分アガるわ~。
『辰巳軒』店舗詳細
辰巳軒
住所:東京都練馬区石神井町3-17-20/営業時間:11:30~14:30・17:00~21:00/定休日:水・木/アクセス:西武鉄道池袋線石神井公園駅から徒歩5分
『満州楼』理想の町中華、ここにあり[練馬]
真っ赤なカウンターに腰かけ、カンカン響く中華鍋の音に耳を傾ける。「こんなコテコテの町中華、今時ないよねえ」と、店主の時吉強さんはニッコリ。お目見えしたレバニラ麺は、香りだけで飯がイケるやつ。プリップリのレバーとともに麺をすすれば、食欲が加速。もう止まらぬ。
『満州楼』店舗詳細
満州楼
住所:東京都練馬区練馬2-1-1-16/営業時間:11:30~14:00・17:30~22:00/定休日:不定/アクセス:私鉄・地下鉄練馬駅から徒歩10分
『喫茶 ボタン』純喫茶メシ、侮るなかれ[東武練馬]
小じゃれた間接照明にフワフワの椅子。絵に描いたような風情に心弾む。品書きを見れば、意外やフードが多い。「昔、ファミレスブームに対抗して増やしたの」と、店主の合田芳典さん。ナポリタンは、ソフト麺にベーコンの塩味が効いて後を引く。味噌汁が付いてるのも、なんかイイね。
『喫茶 ボタン』店舗詳細
喫茶 ボタン
住所:東京都練馬区北町2-39-2/営業時間:8:00~20:00/定休日:無/アクセス:東武鉄道東上線東武練馬駅から徒歩2分
『中華 栃尾』雰囲気ほっこり、味わいしっかり[氷川台]
「うまいもん、食べてほしいんだよ」と、店主の湯浅宗広さん。寡黙に、しかし小気味よく鉄鍋を振るう。人気のチャーハンを頬張れば口の中でほろりと崩れ、玉子の甘みや塩味、醤油の香りが一気に広がる。「おいしいでしょ?」と、妻・せつ子さん。明るいおしゃべりも隠し味ってやつですね。
『中華 栃尾』店舗詳細
中華 栃尾
住所:東京都練馬区氷川台4-29-5/営業時間:11:00~20:00/定休日:水/アクセス:地下鉄有楽町線・副都心線氷川台駅から徒歩10分
取材・文=どてらい堂 撮影=井原淳一
『散歩の達人』2024年6月号より