万博で十二単の着装披露 技術と伝統を世界へ 名張・伊賀の指導者ら
大阪・関西万博で7月3日にあった「ジャパンデー」で、全日本和装コンサルタント協会(大阪府守口市)による「和文化祭典きものショウ 和装夢旅人」が行われた。三重県伊賀地域で和装教室を開く指導者が十二単の着付けを、教室で習う高校生がモデルを務め、各国からの来場者の前で着付けを実践し、日本の伝統美を披露した。
ステージでの着装披露は十二単の他、束帯、長直垂、安土桃山時代の打掛の4種類で、卑弥呼や奈良朝女官朝服、江戸打掛、長裃など10種類の着姿も披露。会場には、アサガオやバラ、ハナショウブなど季節の花を模した帯結びも展示された。
十二単の着付けは、全日本和装作法名張学院(名張市富貴ケ丘)の福地美子学院長が「前衣紋方」、妹で同伊賀学院(伊賀市木興町)の森西明美学院長が「後衣紋方」、同学院講師の竹田景子さんが「髪持ち方」を担当し、名張学院の生徒の大野杏奈さん(N高3年)がモデルの大役に。緊張の中、後衣紋方が1枚ずつ着せ掛け、前衣紋方が丁寧にえり合わせをし、双方が息を合わせながら20分ほどで着装が出来上がった。
歩く姿に驚きの声も
多くの人がカメラやスマートフォンを向ける会場が最も湧いたのは、着付けが完了し、モデルがステージ中央へとゆっくり歩いていった場面。「衣装の重さは20キロほどにもなるので、『まさか動けるとは』と思われていたのかも」と福地学院長は振り返る。
十二単を着てステージに立った大野さんは「一生に一度の経験ができ、今までより着物が好きになった。これからも着物の良さを伝えていきたい」と話していたそう。福地学院長と森西学院長は「着物の良さ、受け継がれてきた技術や伝統を、こうした機会に発信できて良かった。着物を『すてきだな』と思うだけでなく、身近なところから着物に触れ、若い世代も着てみてほしい」と思いを話した。