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「もしあの時こうしていたら…。」自分を苦しめる“もしも”との付き合い方

saita

「もしあの時こうしていたら…。」自分を苦しめる“もしも”との付き合い方

臨床心理士・公認心理師のyukoです。子育ての中で「もしも~だったら」と過去を振り返る経験は誰しもあると思います。しかしその「もしも」が後悔に感じられ、頭の中をループしてしまうと辛くなりますよね。自分を苦しめる「もしも」との付き合い方を考えます。

「もしも」に囚われてしまうのはなぜ?

人は意識的・無意識的に、1時間に2000回、1日に3万5000回も選択をしているといいます。
「のどが渇いたけど、水を飲もうか、お茶を飲もうか。」などの些細なものから、人生における大きな選択まで、我々は数えきれないほどの選択をしているんですね。逆にいうと、無限の「選択しなかった選択肢」も存在します。

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しかしほとんどの選択は、気にも留めず忘れ去られていったり、「まあいっか」と思えているはず。選択に迷いすぎたり、ひとつひとつに後悔しすぎたりしていると、日々の生活がままならなくなってしまうからです。

では、人がある特定の「もし~だったら」に囚われてしまうのはなぜでしょうか。それは心にひっかかっている何かがあるからといえます。心に引っかかり続ける「もしも」との付き合い方を考えていきます。

どうして「もしも」が心にひっかかり続けるのか。

「消化」を止めてくる人がいる

「もしも~だったら」という後悔は誰しも感じたことはあるでしょう。
ですが人には、考えたり悩んだりしながら、自分が取った選択を少しずつ受け入れ、消化していく力もあります。

ただ、当の本人がいくら一生懸命消化しようとしても、周囲に「消化を止めてくる人」がいた場合、「もしも」が心に残り続けてしまいます。

・兄と一緒の中学進学は叶わなかった次男。悪気はない祖父母が「もしお兄ちゃんと一緒の中学だったらね」と度々言ってくる。

・パートナーの仕事の都合で転勤。家族ともに長く住んだ地域を離れることになった。地元のママ友たちに「もし転校しなければ~」と言われるのが気にかかる。

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新しい環境や現実を受け入れようとしていても、周囲が「もし~だったらね」と言ってくると受け入れにくくなってしまいます。

相手との関係性によって、付き合い方を考えていく必要があります。言えそうであれば「私(私たち)は今こう考えてるから」としっかりと伝えるのも大切です。また、関わっていることで前を向けないのであれば、適切な距離を取っていくのもひとつ。

まずは自分が「この選択は間違いではなかった」と思える環境に身をおくことが重要なんですね。

背景に「コンプレックス」が隠れている

背景にコンプレックスが隠れている場合も「もしも~」に囚われやすくなります。

・小さい頃から自分と母親との関係がうまくいっていない。娘と衝突するたびに「息子だったらもっとかわいいと思えていたのかな」と感じてしまう。

・親自身に学歴コンプレックスがあるからこそ、息子には進学校に入ってほしかった。息子が「もしあのとき中学受験をもっと頑張っていれば、いい大学にも進学できたのでは」とモヤモヤしてしまう。

親自身に消化しきれていないコンプレックスがあると、子育ての後悔にも繋がりやすいもの。まずは、なぜ「もしも」が反復してしまうのか。背景に自分自身のコンプレックスがないまぜになっていないか。

一度整理し、「これとこれは別の問題」と仕分けして認識していくのが大切です。

「現実」を受け止め切れていない

今目の前にある現実を受け止めきれないとき、「あのときの選択が間違っていたのかな」という思考になりやすくなります。

・子どもが学校に行きたくないと言い始めた。「もしあのときこの学校を選ばなければ、もっと楽しく通えていたのかな」とぐるぐる考えてしまう。

・何かスポーツを続けてほしいと思い小学校から続けていたサッカー。しかし中学に入り、サッカー部には入らないしクラブチームもやめると言い出した。「もし違うスポーツを選ばせていれば、もしサッカーにかけてきた費用と時間を他に使っていれば」ともやもやする。

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物事が滞りなく進んでいるとき、悩んでいないときは後悔しにくいもの。
一方、現実を受け止めきれず悩んでいるときは過去に答えを求めやすくなるんです。

気持ちをすぐに切り替えるのは難しいですが、少しずつ「これからどうしていくのがよいか」と、前を向けていけるとよいですよね。
過去があるから今があり、これからとる行動が未来を作っていきます。
まずは「今」を受け止めるための心の整理をしていくのが大切なんですね。

yuko/臨床心理士・公認心理師

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