【野田市】「空飛ぶ車いすプロジェクト」に取り組む千葉県立清水高等学校機械科3年研究班の熱い思い
日本国内で、使われなくなって廃棄処分される車いすは年間約5万台。一方、アジア諸国では購入が自己負担のため、車いすが手に入らず困っている人々が大勢いるといいます。まだ使える車いすを整備・再生し、不足している国に届ける「空飛ぶ車いすプロジェクト」に、県立清水高校機械科3年の研究班が取り組みました。
世界の人々に喜んでもらえる研究を
清水高校(千葉県野田市清水482)機械科では3年になると「課題研究」に取り組みます。
班に分かれ、自分たちが考えた課題を担当する先生の指導の下で自由に研究する授業で、卒業目前の1月に校内で研究発表会が開かれます。
村井亨輔(りょうすけ)君ら5人の研究班は、「これまで学んだ機械加工技術を生かして、世界の人の役に立つ研究をしよう」と決定。
そんな中、全国の工業高校生が「空飛ぶ車いすプロジェクト」に取り組んでいることを知りました。
この活動は(公財)日本社会福祉弘済会が1990年代から進めているもの。
内容を調べ、自分たちにもできると確信し、挑戦することにしました。
まずは、不要になった車いすの提供を呼び掛けることから。
担当教員の北原佑樹さんを中心に、野田市の障がい者支援課や社会福祉協議会にも相談し、協力・寄付を募るポスターを作成。
市内公共施設や「まめバス」などに掲示してもらいました。
「15台くらい集めたい」という目標には届かなかったものの、5台の車いすが生徒たちの手元に。
さっそく点検・整備に取り組みました。
壊れていない箇所は今後もそこが壊れないようにメンテナンスを行い、壊れている箇所は「なぜそこが壊れたのか」「今後壊れないためにはどういう工夫が必要か」を考えて加工。
教室で学んだ機械加工の知識と技術を生かす場となりました。
SDGsにも貢献卒業後も活躍を
「自分たちの知識と技術を生かして、完全な形の車いすを世界の人々に届けられると思うとうれしいです」と村井君。
整備・再生した車いすは日本社会福祉弘済会に送られます。同会は、旅行や仕事でアジア各国に渡航する人に、ボランティアで手荷物として車いすを持って行ってもらい、彼らの手で現地に届けられます。
飛行機で届けるので「空飛ぶ車いす」。
これまでに30カ国以上の子どもや高齢者に活用されているそうです。
北原さんは「学校で学んだ知識と技術を世界の人たちのために生かす。SDGsにもつながる活動です。生徒たちには卒業後もこうした気持ちを大切にして活躍してほしい」と話しました。
(取材・執筆/ひのき)
※問い合わせ
電話番号/04‐7122‐4581 千葉県立清水高等学校機械科 北原
空飛ぶ車いすプロジェクトのホームページ/https://www.nisshasai.jp/soratobu/