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【野球食①】基本の食事のかたち≪令和版≫

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【野球食①】基本の食事のかたち≪令和版≫

基本の食事のかたちは、学校給食を思いだそう

小中高校生の野球選手、保護者、指導者から「何をどれくらい食べればよいのか分からない」と質問を受けます。私は、学校給食で教えられた「赤・黄・緑の食べもの(図1)」を使って説明することが多いです。学校給食で習いませんでしたか? 自治体によりますが、学校給食の献立表に使用している材料を「赤・黄・緑の食べもの」に分けて記載していることがあります。献立表を確認してください。

「赤の食べもの」は、皆さんの血・筋肉・骨など体の材料になるものです。主な栄養素は、タンパク質、カルシウム、マグネシウムなどです。具体的には肉、魚、卵、納豆・豆腐などの大豆製品、牛乳・ヨーグルトなどの乳製品です。
「黄の食べもの」は、体を動かすエネルギー源です。主な栄養素は、炭水化物、たんぱく質、脂質です。これらの中で一番多く使うのは炭水化物です。ごはん、パン、うどん・パスタなどのめん類、もち、シリアル、バナナなどです。
「緑の食べもの」は、体の調子をととのえます。主な栄養素は、ビタミン、ミネラル、食物繊維です。野菜、きのこ、海そう、果物などです。
 

野球選手に必要なエネルギー量はどのくらい?

(表1)は、厚生労働省が発表している年齢、性別、身体活動レベルによる、1日の推定エネルギー必要量です。野球の練習がある日は、身体活動レベル「高い」のエネルギー量、練習がない日は、「ふつう」のエネルギー量を目安にします。中学1年生の場合、練習のある日の1日の推定エネルギー必要量は男子2900kcal、女子2700kcalです。練習のない日は男子2600kcal、女子2400kcalです。こちらは1日あたりのエネルギー量になりますので、1食あたりとして計算する時は、3で割ってください(1日3食と考えて)。
数字でどのくらいのエネルギー量になるかをお伝えしましたが、具体的な量をイメージしにくいと思います。そこで、先ほどの学校給食のかたち、量が目安になります。

(表2)は、文部科学省が発表している「児童又は生徒一人一回当たりの学校給食摂取基準(エネルギー量)」です。こちらのエネルギー量は、運動をしていない児童・生徒にとっては多すぎず、運動をしている児童・生徒にとっては少なすぎず、丁度よいところを設定していると私は思います。まず、1回の食事量は学校給食と同じくらいの量を目安にしてください。そのうえで、体が大きな選手、運動量が多い選手、まだ食べられそうな選手は、体調に合わせておかわりして量を増やしていいですよ。

 
エネルギー別の1食あたりの目安量

学校給食がなく目安量が分からない時は、(表3)「エネルギー別の1食あたりの目安量」を参考にしてください。ごはんをパン、めん類に替えられます。野菜のとり方もポイントがあります。

朝食にパンを食べる選手は、ごはん100g(コンビニのおにぎり1個分)あたり、食パン6枚切り1枚を目安にしてください。ごはん200gは、パン2枚分、300gはパン3枚分になります。その他、ごはん100gあたり、うどんは3/4玉(約150g)、ゆでパスタは100g(約1/2人前)になります。
野菜料理には、緑黄色野菜(人参、ほうれん草、トマト、カボチャなど)を1~2種類組み合わせてください。ビタミン、ミネラルの補給量を増やすためです。また、野菜、きのこなどは、野菜炒め、豚汁、けんちん汁など具たくさん汁物を活用してください。野菜などは加熱すると、カサを減らせられますので、量を多く食べることができます。
牛乳・ヨーグルトのアレルギーを持つ選手は、これらの替わりに骨ごと食べられる魚(しらす干し、ちりめんじゃこ、桜えび、ししゃも、魚の缶詰など)、納豆、枝豆、ごま、青菜類(ほうれん草、小松菜、ニラなど)からカルシウムを補給してください。しらす干し、桜えびは、冷凍保存できますので、温かいごはんにふりかけて食べることができます。納豆も冷凍保存できますね。納豆を食べたい前日の夜に納豆を冷凍庫から冷蔵庫に移せば、翌朝に解凍できています。解凍した納豆に、ごま、じゃこなどを加えると、カルシウムの補給量を増やすことができます。
果物は、ビタミンCを補給しやすい食材です。ビタミンCは、ビタミン・ミネラルの吸収を助ける、コラーゲン(体の皮膚、腱、軟骨など)を合成する時に必要な栄養素です。ビタミンCの多い果物は、「切っても色の変わらない果物」に多いです。例えば、オレンジ、みかん、レモンなどのかんきつ類、キウイ、柿、いちごなどです。色が変わる果物のバナナ、リンゴはビタミンCの含有量は少ないです。しかし、バナナは、ごはんと同じ炭水化物を含んでいます。ごはんに比べて消化が早いので、練習・試合時のエネルギー補給の補食として利用できます。リンゴは、不足すると体のつりが起こりやすくなるカリウムを含んでいます。また、研究段階ですが、中性脂肪を下げる成分を含んでいると言われています。

「基本の食事のかたち」を覚えられれば、レストラン、ファストフード、コンビニエンストア、スーパーや海外遠征など、どこに行っても必要な量をバランスよくそろえられるようになりますよ。

上村香久子


(うえむら・かくこ)

管理栄養士、調理師。1974年、京都府生まれ。中学生の頃にプロ野球ファンになり、スポーツ現場で働く栄養士を目指す。現在、中学、高校、大学野球をはじめ、サッカー、バスケットボール、バレーボール、駅伝チームなど全国各地のスポーツ選手たちへ栄養指導、レシピ提供などを行っている。また、公益財団法人全日本柔道連盟科学研究部員として合宿、オリンピックに帯同し、柔道選手をサポートしている。神奈川工科大学客員教授。

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