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6/22(日)まで札幌芸術の森美術館で開催 【コスチュームジュエリー 美の変革者たち】鑑賞レポート!

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今回の展覧会を監修された、コスチュームジュエリーの研究家・コレクターである小瀧千佐子さん。

自由な表現がおもしろいコスチュームジュエリー

今回の展覧会を監修された、コスチュームジュエリーの研究家・コレクターである小瀧千佐子さん。

【コスチュームジュエリー 美の変革者たち シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより】が、札幌芸術の森美術館で開催中です!

期間:2025年4月19日(土)~6月22日(日)

   

■コスチュームジュエリーとは…

本物の宝石や貴金属などを使ったジュエリーではなく、

ガラスや貝、樹脂など様々な素材を使い、自由な発想で作られる装身具のこと。

 

20世紀のはじめ、ポール・ポワレが先駆けとなって生まれた「コスチュームジュエリー」は、

その後、ヨーロッパの名だたるグランメゾンが取り入れ、

やがてアメリカへ伝わり、女性の社会進出が進む時代の中で、自分らしさを表現するファッションアイテムとして人気を集めたそうです。

コスチュームジュエリーの研究家・コレクターである小瀧千佐子さんが所有する作品を中心に約450点を展示

日本で初めて「コスチュームジュエリー」の歴史や魅力をまとめて紹介する展覧会に!

全国で開催され、今回札幌が5会場目です。

「コスチュームジュエリー」の歴史と魅力が分かる! 三章に分けた構成

まず第一章は、「コスチュームジュエリー」のはじまりから。

 

「コルセットを使わないドレス」の提唱者として有名なポール・ポワレが、自分のドレスに合う装身具を作りたいと、1912年頃にオリジナルの作品を制作したことが始まり。

その後、シャネル、スキャパレッリディオールなど、様々なグランメゾンが取り入れていきます。

会場に入ると、まずはポール・ポワレによる100年以上前の夜会用マスクとブレスレットが展示されています。
「シャネルスーツ」や「リトル・ブラック・ドレス」などを生み出し、コルセットから女性を広く開放したガブリエル(ココ)・シャネルが、「コスチュームジュエリー」を普及させる立役者に。
イタリア出身のエルザ・スキャパレッリは、芸術家と共作したユニークな作品も発表。「ブローチ」サルバドール・ダリ(デザイン)/1951年頃/アメリカ
「ニュールック」というフェミニンで優美なスタイルを確立したクリスチャン・ディオール。「ネックレス」ロジェ・ジャン=ピエール(デザイン)、ミッチェル・メイヤー(制作)/1954年頃/イギリス

第二章は、「コスチュームジュエリー」の発展に大きく寄与した職人たちについて。

1920年代から1950年代にかけて、グランメゾンのコスチュームジュエリーは、「パルリエ」と呼ばれる職人たちが制作。


どの職人も自分のスタイルを持っていて、作品を見れば誰のものかすぐに分かるくらい個性的!

詩的なデザインのリーン・ヴォートラン。「オープンネックレス"エデンの園のアダムとイヴ”」 リーン・ヴォートラン(デザイン/制作)/1947年頃/フランス
独自の色づかいが魅力のビーズのネックレスを作るコッポラ・エ・トッポ。「ネックレス"葉"モチーフ」 リダ・コッポラ(デザイン)、コッポラ・エ・トッポ(制作)/1968年/イタリア

別章として、衣装とコスチュームジュエリーの組み合わせを楽しめるエリアも。

シャネル、ディオール、イヴ・サンローランのドレス・スーツ4点に、小瀧千佐子さんがコーディネートしたコスチュームジュエリーが展示されています。

 

この4点は、宇都宮会場と札幌会場のみの出品なのだとか!

第三章は、アメリカでの展開について。


ヨーロッパでは古代より続く長い宝飾品の歴史の上に発展していった「コスチュームジュエリー」。

アメリカでもジュエリー作りが始まり、1935年頃からはヨーロッパのまねではなく、アメリカ独自のデザインが作られるように。
アメリカには、王侯貴族による宝飾品の文化がなかったため、伝統にとらわれない自由な表現が次々と生み出され、とても大きな市場になったそうです。

 

アメリカでは大企業が大量生産により「コスチュームジュエリー」を手ごろな価格で販売するようになり、幅広い層の女性に人気が広がりました。

ハリウッド映画の中でグレタ・ガルボなどのスターがつけていたジュエリーに女性たちが憧れたことも、人気の理由の一つだったそう。

トリファリ社は、独自開発の合金トリファニウムによって、戦時中の金属不足を乗り切ったり、新素材のルーサイト(透明なアクリル樹脂)を取り入れるなど、時流を掴みながら成長した。
ジャクリーン・ケネディの依頼を受け制作した「ネックレス "ジャッキー・オナシス スタイル”」ケネス・ジェイ・レーン(デザイン・制作)/1970年/アメリカ

今回の展覧会を監修した、小瀧千佐子さんにお話をお伺いしました!

●初めて観たコスチュームジュエリーは、いろんな素材と色と形で、自由な表現がすごく素敵でした。

  コスチュームジュエリーたちは個性的で、のびのびしていますよね。 私はここにいるのよって。 見て、着けて、とか・・・ それぞれが何か主張しているような、語りかけてくれるような。 私がその作品に気持ちを向けると、なにかメッセージを返してくれる気がします。   温かいジュエリーですよね。 つんと澄ましてる感じはあまりなくて、手づくり感があって。     デザイナーの思いをきちんと表現できる、熟練した職人の手の技が作品の裏には隠れています。 裏を見れば丁寧でプライドの高い職人の仕事を観ることができます。 デザインがなければ何もできない、でもデザインだけでは表現できないわけですから。     私の(コレクションの)場合は、9割がヨーロッパのコスチュームジュエリーですが、 ヨーロッパのコスチュームジュエリーは、ほとんどが手作業で作られています。 手仕事なので同じデザインでも、ディティールが違ってくるんです。 手仕事のぬくもりが伝わる、そこがやっぱり好きなところです。

 ●思い入れがある作品はありますか?

ポール・ポワレのマスクは特別。 100年前のものなので、私の手元に来たときにはボロボロで。 それをきちんと修復してお披露目できたことが、この展覧会での、一つの私の喜びでした。    ●どんな風に今回の展覧会を見て欲しいですか?
私はこれが好きっていうのを、一つ二つ見つけて帰ってほしいですね。 それで、どうしてそれを選んだのかって自分に聞いてみてください。 その問いかけが自分を知ることにつながっていくし、 自分ならこの洋服につけるわとか、すごく身近に感じてもらえる展覧会だと思います。   私は割と、スキャパレッリやリーン・ヴォートランとか、アートに触れているデザイナーや作家が好きなんですね。 でも人によってはエレガントなものが好きな方もいるでしょう。 大きいものが好きな人もいるでしょう。 好みはみんな違うわけで、自分ならどれが好きかっていうのを、ぜひ見つけてほしいです。

展示作品を掲載した公式図録も2,970円で販売中。
ミュージアムショップ「ポレール」では、小瀧千佐子さん主宰のセレクトショップ「chisa」のアクセサリーや、ここでしか買えない展覧会オリジナルグッズを販売。

会期:2025年4月19日(土)~6月22 日(日)
時間:9:45~17:00(6月は~17:30)※入場は閉館の30分前まで
会場:札幌芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2丁目75)

TEL:011-591-0090


料金:一般1,600(1,400)円、高校・大学生1,000(800)円、小・中学生500(300)円

※( )内は20名以上の団体料金
※小学生未満無料
※65歳以上の方は当日料金が1,400(団体1,200)円
※障がい者手帳を当日窓口で提示すると、ご本人と付き添いの方1名が無料

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