「腹筋どうなってるの??」枝かと思ったら… 嫌われがちな動物にこそ、知らなかったおもしろさがたくさん!【森に行こう#1】
最後に森に行ったのは、いつですか?
「森」って漫画や絵本の中にもたくさん登場したり、「森」という言葉がついたゲームもありますね。本のタイトルになったり建物の名前についていたりして、言葉としてはとても身近なものだと思います。
ただ、「自然に触れたいなぁ」とか「森で癒やされたいなぁ」とか「子どもたちに自然体験をさせたいなぁ」と思ってる人は結構多いと思いますが、いざ「森に行こう!」となると「何していいかわからない」という方も多いのでは?
15年以上森を歩き続けてきた経験から、札幌という大都市の中で見られる”身近な自然”のおもしろさをお伝えします!
新連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」
(Sitakke編集部追記:きょうは「嫌われがち」な動物に注目するのですが、好きな人にはもちろん、嫌いな人にとっても身を守るために知っておきたい情報や、おもしろい情報が盛りだくさんですので、ぜひ最後まで読んでみてください!)
ことしの干支は…
はじめまして!森の住人KENTAです。
現在は札幌市南区にある、北海道では唯一の国営公園「滝野すずらん丘陵公園」で、「滝野の森ゾーン」を歩きながら、森の魅力や楽しみ方を発信しています。
記念すべき第1回目のテーマは「ヘビ」です!
・・・・ヘビ?
・・身近な自然って言ったよね?
絶対初心者にオススメするネタじゃないよね?(笑)
確かにヘビが身近な人は少ないかも知れません。
でもあまり身近ではない生きものだからこそ、意外な発見や魅力が詰まってるんです!
ヘビと聞いて思い浮かぶものってなんですか?
「怖い?」「噛む?」「毒がある!」「気持ち悪い!」「ぬるぬるしてそう」など?実際滝野の森に遊びに来る方の中にもヘビを見てこわがる人や「気持ち悪い!」と言う方がたくさんいます。
でも、まずはこれを見てみてください!
これはどうでしょう?
どうですか??
ヘビって実は目がクリクリで実はとてもかわいい顔をしてるんです!
嫌いだと思っていると、イメージが先行してちゃんと見ないで「もういやだ!」となりがちです。
でも、森の中には自分の目でちゃんと見ると、嫌いだとか怖いとか思っていた生きものたちの中にも、実はかわいいやつらがいるかも知れません。
そんなわけで、今年はヘビ年なので嫌われがちなヘビの魅力をお伝えしたいと思います!
滝野の森にも3種のヘビ
滝野の森で見られるヘビは3種類。すべて毒はありません!
でも、噛まれると痛いので、3種のヘビたちの魅力と、噛まれないための注意点をお伝えします。
①腹筋どうなってるの?アオダイショウ
1種類目は「アオダイショウ」。
おそらく一番有名で一番よく見かけるヘビです。サイズは大きいもので150センチ!子どもの身長より大きくなります。
滝野の森には巨大なアオダイショウの抜け殻と背比べができるコーナーも常設しています。
天気が良い日は、建物のテラスや岩場など暖かい場所で日向ぼっこをしていますが、実は木登りがとても得意。枝かな?と思ったら実はヘビだったという経験が何度かあります。
実際登ってる様子を見ると、頭から落ちそうになっても持ち直して上の枝につかまったりして「腹筋どうなってるの??」という感じです。
②見つけたらラッキーな色も…「シマヘビ」
続いて紹介するのが「シマヘビ」。
目が赤いのが特徴です。名前の通り体に縞模様が入るのですが、中には全身が真黒な個体もいて「カラスヘビ」と呼ばれています。
目も黒くなるのでとてもかっこいい!見つけられたらラッキーです!
③顔が四角い理由は?ジムグリ
最後に紹介するのが「ジムグリ」。
このかわいさ、たまりません!
今回紹介するヘビの中では一番馴染みが無いかもしれませんが、個人的には森で見かける生きものの中で1番好きです!
他の2種類と比べて体が小さく、口先が少し四角くなっていて、ちょびヒゲ具合がなんともかわいい。
ちなみに名前の通り暑い日は地面に潜っています。顔が四角いのは潜った時に口に土が入らないためだそうです。
ただ、ジムグリの魅力は顔のかわいさだけじゃなく、お腹の模様。
普通に生きていたらヘビのお腹を見る機会ってなかなかないと思いますが、ジムグリって個体によって柄が違うんです!
ヘビってなぜか「ぬるぬるしてる」と思ってる方が多いんですが、実際触ってみるとヘビのお腹ってツルツルしていてとても気持ちいいですよ!
ヘビに嚙まれないために、注意点
今回紹介した3種類のヘビはすべて毒はありませんが、噛まれるとちゃんと痛いし血も出ます(笑)
とは言え、ヘビも人が怖いのでむやみに噛むことはありません。噛まれるときは、人間が驚かせてしまった時や無理に捕まえようとした時などで、森の中で出会っても何もせずに逃げていくことがほとんど。
ただ注意しないといけないのは、とぐろを巻いてしっぽをバタバタさせてる時。
これは「これ以上近づいたら噛むぞ!」という合図です。今までこの状態で手を出したときは100%の確率で噛まれてます。もしヘビを見かけたときに、しっぽをバタバタされたら、噛まれる前にそ~~っと離れましょう。
北海道には毒を持つヘビも
また、滝野の森にはいませんが、北海道には毒を持つ「マムシ」がいます。少し太めで「頭が三角形」なのが特徴で、噛まれると命に関わることもあります。
ただ、こちらもむやみやたらに噛むわけではないので見かけたときは、あわてずにそっと離れましょう。
ちなみに滝野の森にもたまに「頭が三角形」のヘビがいます。
知らなかったときはヒヤッとしましたが、これはアオダイショウの子ども。生まれたばかりで体も小さいので、身を守るためにマムシに似せて、頭を三角にして威嚇している状態です。
ただし子どものヘビは30センチくらいしかないので、威嚇していてもかわいい!
いかがでしたか?
「やっぱり無理!」という方もいるかも知れませんが、「意外にかわいいかも」と思ってくれたら嬉しいです。
森の中には大人も知らない不思議やおもしろさがいっぱい詰まってます。最近森に行ってないなぁと思った方は、ぜひ今年は身近な森に行ってみてください!
連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」
文:森の住人 KENTA
国営滝野すずらん丘陵公園 自然環境マネージャー。1978年札幌生まれ京都育ち。約6年間のサラリーマン生活を経て、森についての知識・経験ゼロの状態で滝野の森ゾーンの担当になり、様々なイベントの企画や広報、森づくりなどを担当。公園内にヒグマが侵入した際は専門家と一緒に現場の最前線で調査を担当。滝野の森staffXにて監視カメラを使った野生動物たちのリアルな様子などを発信中。
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は記事執筆時(2025年4月)の情報に基づきます。