症状によって様々な解決法がある漢方。肩こりの原因別処方【生薬と漢方薬の事典】
症状と漢方処方 肩こり
肩こりは幅広い年代の人に起こり、慢性的な症状に悩まされている人も少なくありません。肩のこりは、首のこりや背中の筋肉のこわばりなどもともない、頭痛やめまい、吐き気などを招くこともあります。原因は外からくる邪気によるものと、自分がつくり出す瘀血によるものなどさまざま。原因によって用いる処方が異なるので、まずは原因をよく知ることが大切です。
病邪からみる風寒による肩こり
冷えによって筋肉の緊張が起こる
処方:葛根湯
全体的に痛みが強いのが特徴
風寒の冷えによって血行が悪くなり、肩の筋肉が収縮して起こる肩こりで、肩の一カ所というよりは、肩全体がこわばったように痛みます。
このタイプは、葛根湯を用いて温めながら痛みを改善していきます。
体質からみる痰飲による肩こり
湿邪によるむくみも原因に
処方:二朮湯
重だるい肩こりには湿気をとる処方を
肩こりは風湿の病といわれるほど、湿邪にも影響を受けます。このタイプは湿度が高いときに悪化する痰飲による肩こりで、肩が全体的にはれて、重だるくなります。二朮湯を用いて、温めて痰飲をとりながら症状を緩和させます。二朮湯は五十肩にも用いる処方です。
病邪からみる風湿熱による肩こり
熱をもった重だるい痛み
処方:越婢加朮湯
炎症をおさえる処方を
湿熱によって炎症が起こり、肩が熱をもってだるい痛みを生じます。このタイプには、越婢加朮湯を用います。配合されている麻黄で湿をとり、石膏で消炎することで症状を緩和します。
【出典】『生薬と漢方薬の事典』著:田中耕一郎