<こじらせ義姉の事情>結婚の挨拶も……無視!共通の話題ができれば関係も変わる!?【まんが】
最近のお話です。私(リサ)は、夫のジンと3才の娘ユキナとの3人家族です。義実家は車で1時間ほどの距離にあります。頻繁ではありませんが、ときおり娘を連れて遊びに行っています。義両親はとても良い人たちでユキナのことも溺愛してくれていました。また、夫にはスミレさんというお姉さんがいます。既に結婚していたスミレさんとはそこまで会う機会もなく、年末年始などの親戚が集まるタイミングで顔を合わせて軽く会話をする程度でした。
夫のジンと結婚したのは4年前でした。義両親ははじめて会ったときから、とても優しい人たちでした。しかし義姉のスミレさんは……。
義両親と私たちのやりとりをずっと不服そうな顔で見ていた義姉。目が合ったので会釈をしましたが、プイッとそっぽを向かれてしまいました。私は新婚当時、夫に聞いたことがあります。「ねぇ、お義姉さんってどんな人?」
義姉との微妙な距離を、私は特に気にしないようにしていました。やがて娘が産まれると義両親の初孫フィーバーがあり、以前よりも義両親との距離は縮まります。
義姉の妊娠を話す義母の顔は、とても幸せそうでした。今は距離のある義姉だけれど、もしかしたら出産を機に、少し距離が縮まるのかな? イトコ同士の交流もさせてあげられるといいな。そんなふうに思っていました。しかしそんな幸せな日は長く続きませんでした。義父が倒れてしまったのです。
私たちは悲しみに耐えながらも、義母を支えていこうと思っていました。その翌月に義姉は無事に元気な女の子を出産しました。
義両親はとても優しい人たちです。私のことも大切にしてくれているし、娘のことも溺愛してくれていました。義姉に子どもが産まれたら、ますます賑やかになるはず……。その矢先の義父の死は、私たち家族に大きな悲しみを与えました。けれどいつまでも下を向いているわけにはいきません。義姉の出産を機に、義母も少しずつ元気を取り戻してくれれば。そして同じ「ママ」として、義姉とももう少し仲良く話ができたらいいな……。私はそんな淡い期待を抱きながら、義姉へ贈る出産祝いを考えていたのでした。
私へのマウント!?「実の娘が産んだ孫が一番カワイイでしょ」
義父の四十九日がきました。ひととおりの法要が終わり、親戚一同で義実家に寄りました。里帰り出産をしていた義姉の赤ちゃんとも、初対面になります。
「お義姉さん、話しやすくなってる……」私はそう思いました。赤ちゃんが産まれて「ママ」という共通点ができたためか、義姉は以前よりも私に対して気さくに話してくれているような気がしたのです。
「さぁ、お茶にしましょ~」義母がお盆を運んできたので、私は「手伝います」と言って席を立とうとしました。そのときです。義姉の口から思いがけない言葉が発せられました。
義姉はどこか得意げな様子です。「またまた~! リサさんがいるから、本当のことを言えないだけよね? 本当は実の娘の産んだ孫の方がカワイイもんね?」「いい加減にしなさい! そんなことないって言っているでしょ?」「はいはい」私に向かってニヤリと笑った義姉。その様子を見て夫も怒り口調です。「オヤジの四十九日に、わざわざそんなこと言わなくても良くないか? いまそれを聞いて、何の得になるわけ?」
義父が亡くなってから本当に毎日がバタバタと過ぎていました。特に義母は失った命と、産まれた命の間でとても大変だったと思います。スミレさんの「自分の娘が産んだ孫の方がカワイイ」発言には、驚きを通り越して頭の中に「???」しか浮かびませんでした。義父の四十九日の日に、皆の前でわざわざそれを言う意味が私には分かりません。しかも娘にまで「おばあちゃんは独り占めしないでね」と牽制してくるなんて……。少しでも仲良くなれそうと思った自分を悔やんでしまうできごとだったのでした。
疎遠でいい!勝ち誇った義姉の顔「産後だとしても許せない!」
あまりに場の空気が悪くなったので、義姉の旦那さんであるマサヒロさんが「スミレ、奥で休んでいよう!」と義姉を部屋に連れていきました。義姉夫婦の姿が見えなくなった後、私は夫にたずねます。
「本当にごめん……。なんか……産後ハイにでもなってんのかな……」夫が言うと、義母も深々と頭を下げます。「リサちゃん、本当にごめんなさい……」
「こういうことが続くようならあんまり会いたくないな……」思わず私がつぶやくと、義母がフォローするように言ってくれました。「これ以上リサちゃんにイヤな思いをさせられないし、別にスミレに会わなくても、いいから。ね?」
帰りの車のなかで、私は義姉の言葉を思い出していました。あのとき義姉は確かに、私に向かってニヤリと笑っていました。私にとって、義姉の笑顔は「勝ち誇った」表情に見えたのです。
私よりも「上」に立ったつもりの義姉に対して、私は「負けた」も「悔しい」も何も感じていませんでした。ただあんなことを言われ、「産後だから」という理由で何ごともなかったように接することができるほど、私も人間ができていないのです。面倒なことには巻き込まれたくない、そう心に誓ったのでした。
まるで「義母は私のもの」と言わんばかりの顔で、私にマウントをとってきた義姉。もしかしたら私に「勝った」と思ったのかもしれませんが、私は義姉がそんな人間だったことにショックを受けてしまいました。義姉との関係が出産を機に良い方に変わるかもしれない、と考えた自分がバカらしくなりました。しかも私だけならまだしも、娘まで牽制してくるなんて。それが疎遠を決定づけたできごとになりました。もともと期待していたほどの仲ではなかったけれど、なるべくしてなった関係だと思い、これからは義姉が来ないときに義実家に行こうと思ったのでした。
【義姉の気持ち】私はデキの良い弟の「踏み台」両親には見下され
私(スミレ)は夫のマサヒロと暮らしています。昔から両親は何かにつけて弟ばかりを可愛がり、弟は何かと私よりも上に立とうとしてきました。私はそんな生活が嫌でたまらなかったのです。周りの注目を一身に浴びる弟とは口もききたくないほどだったし、私のことを蔑んでいるくせに変なフォローを入れてくる両親の気遣いも重たかったのです。
弟をひとしきり褒めたあと、私に対して「スミレもピアノ頑張っているもんね? 発表会が楽しみね」と言ってくる母。とってつけたようなフォローなんて、空しいだけなのに……。その気遣いが重すぎて逆にイライラさせられるだけです。
弟はデキの良い子でした。勉強もスポーツも秀でていて、周りからも一目置かれる存在だったのです。皆から「すごーい」と称賛されることに、きっと生き甲斐を感じてきたのでしょう。そしてそのためには、常に私よりも上でなくてはならなかったのです。
「スミレはスミレらしく自分の道を」よくそんなふうに言われましたが、両親は無意識のうちに弟と比べて私を見下しているのです。過剰に気を遣われているのが分かって疎ましいだけでした。やがて私は結婚をしました。
マサヒロと一緒にいる時間がなによりも幸せで、以前よりも少しだけ自然に両親と会話ができるようになりました。しかし弟がリサさんと結婚したところから、また風向きが変わってしまったのです。両親は何かと「リサちゃん」と弟の奥さんのことばかり構っていました。
弟に対してコンプレックスを感じていると言われれば、そうなのかもしれません。けれど明らかに両親や周りの人たちは、私よりも弟のことを可愛がっていました。誰も私のことなんて気にかけてくれてはいなかったのです。きっと弟も、私を踏み台にして「姉よりも上に」と意識して頑張っていたのだと思います。この数年はせっかく幸せな結婚生活を送っていたのに、リサさんの登場でまた私の気持ちが大きく揺さぶられることになりました。しかも私よりも早く妊娠まで……。この感情の行き場をどうしていいか、私には分かりませんでした。
弟一家への牽制「実娘が産んだ孫は別格のはず」
リサさんが無事に女の子を出産しても、私はうまく喜ぶことはできませんでした。極力実家に行くことも、弟夫婦と会うことも減らすようにしていました。たまに実家に行けば、両親は口を揃えて「ユキナちゃん」「ユキナちゃん」とメロメロの様子でした。
お嫁さんの産んだユキナちゃんでさえこんなにも可愛いがるのだから、きっと両親は、実の娘の私が産む赤ちゃんを待ち望んでいるはずです。妊娠がわかると母はとても喜んでくれました。やっと両親に実の娘の子どもを抱かせてあげられる。私も幸せをかみしめていました。しかしそんなとき、父が突然……。
父は命が尽きる前、病床でリサさんにお礼を言いました。「ユキナちゃんに会わせてくれて、本当にありがとう……」私は大きなお腹を抱えながら、遠回しに出産が間に合わなかったことへの嫌味を言われているのだと思いました。
「人生、多かれ少なかれ、みんな生きにくさを感じて生きているんだよ……。元気な赤ちゃんを産んで、しっかり母親になるんだぞ?」これが父からかけられた最後の言葉になりました。
ユキナちゃんにデレデレの母。そしてそんな母のことを誇らしげに見ている弟夫婦。きっと自分たちの娘の方が母に可愛がられていると思っているのでしょう。ここはしっかり分からせておかないと……。私はそう思ったのです。
父の死はとてもショックでした。私だって孫を会わせてあげたかった……。それが叶わなくてとても悲しかったのです。けれど母はとても喜んでくれました。父の死を忘れるくらい、きっと私の赤ちゃんのことが可愛いのでしょう。とても嬉しそうに産後の私の世話をしてくれていたのでした。それなのに弟夫婦は相変わらず「母の愛情は自分たちだけのもの」と言わんばかりの表情。実の娘が子どもを産んだのだから、他人が産んだ子どもは遠慮してもらいたい。というか遠慮するべきではないですか? そう思った私は、はっきりとリサさんに忠告をしてあげたのでした。
「私たち親の力不足だった」謝罪する母に戸惑い
私はリサさんの目の前で、母に向かってこう言ったのです。「やっぱり、自分の娘が産んだ子の方がカワイイでしょ? リサさんがいるから、本当のことを言えないだけよね? 本当は実の娘の産んだ孫の方がカワイイもんね?」そしてユキナちゃんに対してもこうクギを刺しました。「ユキナちゃんはもうお姉ちゃんなんだから、おばあちゃん独り占めしないでね~。おばあちゃんは赤ちゃん優先ね! 分かった?」すると母は……。
「今後はジン一家と会うことは控えなさい。帰省もジン一家とずらして来ること。いいわね?」その母からの言葉に、私の心には「またか……」と、絶望に似た思いが沸き上がります。「また、ジンが優先なの?」
「あなた、昔からジンを意識しすぎじゃない?」「意識なんてしてない! お母さんたちがずっとジンばっかりひいきしてきただけでしょ?」「いい加減にしなさい!!」
「あなたが抱えている生きづらさはあなたのものであり、そのことで気持ちをぶつけるとしたら、その相手は私のはずよ?」「…………」「ぶつけるなら、私にしなさい。ちゃんと受け止めるから」そんなつもりじゃなかったのに……。母に頭を下げられ、思いもしなかった状況になってしまって私は戸惑います。
「あなたは……昔から人よりも周りの評価に敏感で……。だからこそ『気にしなくていい』『あなたはあなたらしくいればいい』って言い続けてきたつもりだったけれど……。その言葉が逆にあなたを追いつめてしまっていたのかしらね」
私はただ、母に「やっぱり娘の産んだ子どもの方がカワイイわ」と言ってほしかっただけ。弟夫婦に「やっぱり実の娘の産んだ孫にはかなわないね」って思ってほしかっただけなのに……。こんなふうに母に頭を下げさせてしまうことになるとは、思いもよりませんでした。ずっと弟ばかりをひいきしてきたと思っていた両親。けれど両親は両親なりに、私のことを思って悩んで過ごしてきたのです。なんてことを言ってしまったんだろう……と、私は少しずつ後悔をしはじめたのでした。
【義母の気持ち】子育ての難しさ……娘に伝わっていなかった愛情
私は亡き夫とともに、娘スミレと息子ジンを育てあげました。姉のスミレは昔から過剰に「人の目」を意識するところがあったので、「あなたらしくいればいい」と声をかけながら気を付けて接してきたつもりです。しかし弟のジンが要領よくいろいろなことをこなすタイプの子だったので、いつのまにかスミレは物事をなんでもネガティブに捉える性格になってしまったのです。子どもたちはそれぞれ結婚して家庭を持ちましたが、まだまだ悩みは尽きません。
スミレは幼い頃から、気難しい子でした。周りの評価を過剰に気にして、ひとりで勝手にすねてしまう性格の子でした。けれど弟の奥さんであるリサちゃんや、その娘であるユキナちゃんにまであんなことを言ってしまうなんて……。
スミレもジンも、どちらにも長所もあれば短所もあります。しかし私や夫がどうフォローしてもスミレにはマイナスに捉えられてしまうのでした。「私って自分らしくないの?」「お父さんとお母さんが無意識のうちに私とジンを比べて、私を見下しているからそう思うだけじゃないの?」
スミレはもう大人です。マサヒロさんと結婚して、自立して家庭を築いています。私はもう子育てが終わった立場。親としてどこまで口を出していいものか正直分かりませんでした。
「スミレは……大丈夫だろうか。心配だな……」「私も最後まで見守りますので、あなたは安心してください」最後までスミレのことを心配しながら、夫は亡くなりました。そしてまもなくスミレの子どもが誕生しました。
スミレも母親になったことで、新しい感情がめばえたり、今まで見えなかった世界が見えてまた何か変わるかもしれない。そんな淡い期待を抱いていたのですが……。
どこまでを「子育て」と言うのでしょうか。子どもが自立した時点で、子育ては終了したと思うことが多いのかもしれません。しかし息子家族が悲しい想いをしないように、私はこれからもスミレを見守っていきたいと思っています。スミレ自身が育児を通して、少しでも「親」の気持ちが分かって、何かを感じ取ってくれたらいいな……。そんな淡い期待を抱きながら、これからも私はスミレと向き合い続けていこうと決意しています。
【義姉の気持ち】私の過ち「足りないモノ」だけに目を向けていた
突然母に謝られ、私は戸惑ってしまいました……。ずっと弟ばかりをひいきしてきたと思っていたけれど、両親は両親なりに、私のことを思ってくれていたというのです。なんてことを言ってしまったんだろうと、後悔した私。その日の夜、夫と話すうちに涙があふれて止まらなくなりました。
「僕も、リサさんやユキナちゃんにああいう言い方は良くないって思ったよ。ただ産後で気が立っているのかなって思って、後で謝っておいたけれど……」あのときマサヒロは弟一家に対し「スミレが変なことを言って、本当にすみませんでした」と言い、深々と頭を下げていたのです。そうさせてしまったのは私です。
「今日お母さんにごめんなさい、って頭を下げられて……。別にお母さんに謝ってほしいわけじゃないって。そういうことじゃなかったのにって後悔して……」そのとき私には、父が亡くなる間際にかけてきた言葉の意味が分かったような気がしたのです。
「私はいつも『自分ばっかり』って思っていたけれど、お母さんたちも私にどうやって寄り添っていこうか、ずっと悩んで苦しんでいたのかなって思ったら……頭を下げるお母さんに申し訳なくなって。私の生きにくさは、私だけのものだったのに……。リサさんやユキナちゃんは関係なかったのに、なんてこと言っちゃったんだろうって……」
「スミレが抱えているものの大きさは、僕には分からないけれど……。もし自分が間違ったことをしてしまったと思ったのであれば、反省してしっかり相手に謝ろう。許してもらえないとは思うけれど、謝って、次に生かしていくしかないんじゃないかな?」
「僕がそばにいるから。一緒に向き合っていこう」マサヒロにそう言われ、私は連絡をとって弟一家に謝ろうとしました。しかし弟からは「会いたくない」と言われてしまいました。私はそれだけのことをしたのだと実感しました。母にも謝罪しましたが、穏やかな笑顔で「いいのよ」と言われただけでした。
私はずっと、ひとりで勝手にこじらせていたのかもしれません。勝手に嫉妬して、勝手にすねて、相当面倒くさかったと思います。こんな私から人が離れていくのも仕方ありません。すべて自業自得なのですから……。けれどこれからはじまる人間関係においては、しっかりと反省を生かしていきたいと思っています。足りないものに文句を言うのではなく、受け取ったものに感謝ができるような人になりたいと思います。そんな私の姿勢を子どもにも見せていき、父が最期に言ったようにしっかりと親になっていきたいと思いました。