【眠りのプロに聞いた！】子どもが寝るときに使う枕。高さや素材の選び方は？
毎日の睡眠に欠かせない寝具は、どう選ぶのがよいのか意外とわからないもの。そこで西川株式会社でスリープマスターをされている眠りのプロ田中大地さんにお話を伺っています。今回のテーマは「枕」。当たり前のように日常にあるものかもしれませんが、まずは枕の役割について教えていただきます。
枕は頭をのせるが、首を支えるために使うもの
――寝るときに枕を使うのは当たり前のことのように感じていますが、枕にはどのような役割があるのでしょうか？
スリープマスター田中大地さん（以下、田中さん）：枕は寝ているときに頭をのせるものですよね。でも本来の役割は首を支えることなんです。寝るときは立ったときの姿勢をそのまま横にするのが理想とお話ししましたが、立っているとき首は前に出ていますよね。首から背骨にかけてS字になっています。この形になっていることで仰向けに寝たときに布団と首の間に隙間ができてしまうので、これを埋めて首を支えるために枕を使います。
――子どもにも枕は必要ですか？
田中さん：子どもは寝返りを打ったり寝相が悪かったりで、朝起きたら枕を使っていないこともあります。でも眠りに入るときは、やはりしっかりと首が支えられている状態が理想です。それに枕を使わないことが習慣になると、大人になっても使わなくなるかもしれません。子どものうちから、枕を使っておくといいですね。
枕を選ぶときのポイントは「2つの高さ」
――枕を選ぶとき、どのようなことに気をつければいいのでしょうか？
田中さん：枕は2つの高さを基準にして選んでいきます。1つは仰向けで寝たときの高さ。敷き布団と首の後ろの間が埋まる高さが必要です。2つ目は、横向き寝での高さです。寝返りを打って横向きになると片方の肩が下になり、首と敷き布団の隙間はさらに大きくなります。そのため仰向けのときよりは、枕の高さも必要になります。これらの高さは人それぞれですが、仰向け寝と横向き寝どちらの高さにも対応できるように、枕は中央がくぼんでいて両サイドが少し高くなっているのが理想です。
――枕の大きさで気をつけることはありますか？
田中さん：寝返りをしたときに、頭が落ちてしまわないくらいの横幅は必要ですね。頭3つ分が入る大きさで、60cm以上あると安心だと思います。
――枕選びのポイントは、子どもも大人も同じですか？
田中さん：そうですね。人の首のS字は皆さんにありますし、寝返りもしますので基本的な考え方は同じです。赤ちゃんや幼児は寝返りが多く枕を使っていない時間もありますが、小学生くらいからは自分に合った枕選びをしていただけるといいでしょうね。
――枕のかたさはいかがでしょうか？ 素材によってずいぶん違ってきますよね。
田中さん：素材もポリエステルやウレタン、羽毛、パイプなど、たくさんあるので悩まれる方も多いです。でも素材は好みで選んで問題ありません。寝てみて心地よくて寝やすいと感じる素材がいいでしょう。また素材によって頭の沈み具合も違います。羽毛やポリエステル、ウレタンはやわらかめなので頭が沈みやすくなります。一方パイプ素材は種類がいくつかあり、かためから普通となっていて、他の素材よりは頭が沈みにくいです。最終的に枕は寝たときの感覚と自分の好みになってくるので、やはり試してみないとわからない部分もあります。
いびき軽減に！？抱き枕の効果
――枕といえば「抱き枕」もありますが、どのような効果が期待できるのでしょうか。
田中さん：抱き枕は、横向き寝をするときにおすすめです。形はさまざまですが、大きなものになると足をのせることもできるので、横向き寝した際の体圧分散をサポートしてくれます。例えば横向きになって膝同士が当たると違和感がある場合もあるでしょう。その際に抱き枕を足の間に挟むと、体圧が分散されて足が楽になります。また抱き抱えることで精神的な安心感もありますね。やわらかいですから、ほっとするといいますか。それともう1つ、抱き枕はいびき対策にもなるとされています。睡眠中は鼻や舌、喉の奥の筋肉が弛緩して咽頭が狭くなり、空気抵抗が大きくなるといびきが出てしまいます。仰向けで口を開いて寝るといびきが出やすくなるので、横向きで寝るといびきも軽減できるんです。横向き寝のサポートをするのが抱き枕ですから、いびきで悩んでいる方も抱き枕を使ってみると改善されるかもしれませんね。
編集後記 枕は頭をのせればいいのではなく、首をしっかりと支えるものとして選ぶことが大切になってくるようです。そしてそれは子どもも大人も同じ。でも人によって適切な高さは違いますから、自分に合う枕を見つけていきたいですね。
※取材は2024年11月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。