【藤沢市】遠藤出身のボクシング森且貴選手、4度目の挑戦で日本王座に 夢の世界へまっしぐら
藤沢から世界へ――。遠藤出身のプロボクサー、森且貴(かつき)選手(25・大橋ジム)が今秋、日本ミニマム級(47・6kg以下)の王座を獲得した。2022年1月、23年11月、24年9月、そして25年10月の4度目のタイトル挑戦で、悲願のベルトを腰に巻いた。森選手は「世界は夢じゃない。もう現実味を帯びてきている。あきらめなければ絶対に”チャンピオンになれる”と自分自身信じている」と強い闘志を瞳に宿らせる。
王座決定戦では、同級2位の森選手と同級1位の小林豪己選手(26・真正)が拳を交えた。序盤から速いジャブを放ち、相手の攻撃をかわしながらボディー、アッパー、ストレートとコンパクトなコンビネーションでペースを掌握。最終10回には小林選手をぐらつかせる場面もあり、98―92で判定勝利を収めた。「しっかりとゲームプランを持ち、冷静に考え、やるべきことをやりきった」と笑みを浮かべる。
「やっと獲れた」
森選手は、2つ年上の兄の影響で4歳から空手を始め、小学校高学年と中学生時代には全国大会で優勝した経験もある。茅ケ崎北陵高校に入学後は、ボクシングに転向。「これで飯を食っていきたい」とプロになることを決意した。世界王者の井上尚弥選手が所属する名門・大橋ジム(横浜市神奈川区)で腕を磨き、2018年にデビュー。翌年には全日本新人王にも輝いた。
攻撃的なボクシングスタイルで、豊富なスタミナと運動量が持ち味。現在の戦績は14勝4敗。「決して順風満帆だったわけではない」と振り返り、「自分が今も試合に出られているのは、デビュー前から支援してくれた地元藤沢の人々のおかげ。ありがたい」と感謝の念が尽きない。
「あきらめない」
夢は「世界王者」の他にもう一つある。
「ボクシングに限らずあらゆる場所で負けて、心が折れ、道に迷ってしまう人もたくさんいると思う。厳しい環境に耐えてやっていたら良いことがあることを伝えたい。負けがあったからこそ言える。特に子どもや自分よりも若い世代に発信していきたい」と森選手。
「心身共にレベルアップしていると感じている。一戦一戦、しっかりと試合に挑み、リングの上で戦う自分の姿で、多くの人を勇気づけられる存在になりたい。勝利で地域に恩返ししたい」