清水東が日大三島を下して2年ぶり8強入り。名門同士が激突する準々決勝、静岡学園戦のポイントは?<静岡県高校総体サッカー>
<静岡県高校総体サッカー3回戦・5/24 清水東 1−0 日大三島>
静岡県高校総体サッカー3回戦で、清水東(中部地区2位)が1−0で日大三島(東部1位)を下してベスト8入りを決めた。5月31日の準々決勝の相手は、優勝候補筆頭の静岡学園(プレミアリーグ・シード校)。伝統校同士の見応えある攻防に期待だ。
谷本「この瞬間のために準備してきた」
日大三島戦で決勝ゴールを決めたのは、けが人続出の中で出番が回ってきたセンターバックの谷本登至(東海大翔洋中)だった。前半22分、コーナーキックのこぼれ球に嗅覚鋭く反応。最初のシュートはブロックされたが、2度目にきっちり押し込んだ。
「この瞬間のために2年間、準備をしてきました。チャンスをもらったので、絶対に自分が決めようと思っていました」。今大会限りでの引退を決めている背番号3が気持ち良さそうに雄叫びを響かせた。
清水東はその後、日大三島のパワープレーに苦しめられる時間が続いた。しかし最終ラインがしっかり体を張って防波堤となり、至近距離からシュートを打たれた後半11分の最大のピンチではGK望月佑心(2年、サルファス)がファインセーブ。最後まで集中力を切らさずに1点を守り切った。
母校の再建を託され、昨春の就任当初から「まずは常に県ベスト8に残っているチームにすること」と公言してきた武田直隆監督(元アルビレックス新潟)は「内容はともかく、苦しい試合でも勝てるようになってきた」と納得の表情だった。
静岡学園戦に照準
今大会の組み合わせ決定時から武田監督や選手たちが思いを巡らせてきたのは、準々決勝で待ち構えている静岡学園との戦い方だった。
テクニックとインテリジェンスを駆使する静岡学園のスタイルは今年も健在。しかも中盤のタレントは例年以上に豊富だ。
清水東の選手たちは、自分たちがボール支配率で劣ることは織り込み済み。守備の時間が長くなることが予想される中、少ないチャンスをものにするためにどんな対策を施すか、イメージを膨らませている。
指揮官は「秘策?考えてはいますが、練習でどこまで落とし込めるか。相手は大会初戦になるので、点を取るまでは硬くなると思う。自分たちは0−0の時間をできるだけ長くしたい」と大一番に照準を合わせる。
清水東のキーマンは?
攻撃のキーマンとしてシズサカ編集部が挙げるのは、10番の濱村知太郎(清水エスパルスジュニアユース)と、主将の白川翔(アスルクラロ沼津U-15)だ。
濱村は3回戦では中盤左サイドで先発し、途中からトップ下に入って攻撃陣をリードした。エースは大一番に向けて「どんな内容でもいいから勝ちたい。自分が決めるべきところで決めて勝利に貢献したいです」と気合十分。
テクニシャンの白川は2回戦で負傷したため3回戦の出場を見送ったが、静岡学園戦には間に合いそう。濱村とのコンビでワンチャンスを生かせるか。
攻守のつなぎ役となるのは、1年時からボランチで定位置をつかんでいる村松怜哉(FC.LESTE)。ボールを刈り取り、自ら前に出ていく力強さが持ち味だ。
村松は「静岡学園とはサードチームとしか戦ったことがない(笑)トップチームの選手がどれだけうまいのか、映像でしか見たことがないから分からない」と冗談を交えつつ、「勝つためには前への推進力が必要になる。それができれば勝つチャンスはあると思います」と言い切る。
国民スポーツ大会を目指すU-16県選抜候補の左サイドバック春田祥真(2年、エスパルスSS静岡)の故障離脱は痛いが、戦列を離れていたDF山本雅也(ヴァーデュア三島)が3回戦に途中出場。守備の要が完全復帰となれば、最終ラインは183センチのCB野村大聖(FC桜が丘)とのコンビでさらに安定感を増しそうだ。
全国総体と全国選手権で計5度の優勝を誇る名門も、全国総体は1992年度、全国選手権は1990年度以来遠ざかっている。
清水東が県総体の決勝まで進んだ2017年度と2021年度、ともに最後に立ちはだかったのは静岡学園だった。
今回ここで静岡学園にリベンジを果たすことができれば、33年ぶりの全国出場に向けて視界は一気に開ける。古豪復活の足掛かりを築くことができるか。(シズサカ編集部・南部明宏)