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本屋大賞2024受賞作『成瀬は天下を取りにいく』 宮島未奈さんセレモニアルピッチ

所沢なび

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」


読む人の興味を惹きつけ文章を読んでもらうには、一行目が肝になる。筆者が学んだコラム執筆のイロハの中でも、特に印象に残る教えの一つです。

小説とコラムの違いはあれ、冒頭に上げた小説『成瀬は天下を取りにいく』の一行目は、「いったい何を言っているのだろう」「これから何が始まるのだろう」と、読者の好奇心をくすぐり先を読まずにはいられなくなる、実に魅力的な書き出しです。

さらにはこのセリフの発言者であり物語の主人公でもある成瀬あかりの実直にして不可解なキャラクターをよく表しており、何度読み返してもその衝撃と面白さが薄れることはありません。

本屋大賞2024を始め15冠に輝いた『成瀬は天下を取りにいく』ですが、表紙がライオンズのユニフォームを身にまとった少女(成瀬あかり)だったこともあり、受賞前からライオンズファンの間で話題になっていました。「いつか成瀬とライオンズがコラボしてくれないかな」と期待していたファンも多かったと思います。

そんなライオンズファンの思いを汲んだかのように、8月14日(水) ベルーナドームの福岡ソフトバンクホークス戦で、作者・宮島未奈さんによるセレモニアルピッチが実現しました! 

宮島さんがプロ野球のイベントに出演するのはこれが初めてだそうですが「基本的にあまり緊張しない」とのこと。自らの著書を右手に掲げ、ナチュラルな笑顔でグラウンドに登場しました。



トークも自然体で、本当に緊張している様子が伺えません。成瀬も「生まれてこの方緊張したことがない」そうですが、さすが成瀬の生みの親。成瀬の性格はどこか宮島さん自身の性格と重なっているのかもしれませんね。

「同い年の中村剛也選手や、作品中にも登場する栗山巧選手に元気をもらっている」とのことですが、肝心の投球はストライクゾーンを大きく外れてしまいました。



しかし、終始笑顔で楽しそうにセレモニアルピッチを務めてくれた宮島さんから元気をもらえたのか、この試合ライオンズは首位ホークスを4-1で下して見事勝利を収めました。

今回のセレモニアルピッチは、「成瀬がライオンズのユニフォームを着ていることに縁を感じて」滋賀県からはるばる所沢まで来てくれた宮島さん。が、「担当編集者が野球好きだったから連れて行ってあげようかと思って(笑)」と、裏話もポロリ。

成瀬シリーズは、3作目は決定しているものの内容は未定。「続編に今日の経験を活かす予定はない」そうですが、予想のつかない思考と人並外れた行動力の成瀬あかりのこと。あるいは、ひょっとしたら、彼女がベルーナドームを訪れる日が来るかも、と勝手に期待したくなるところではあります(笑)。

ライオンズが成瀬のような人並外れた行動力で天下を取る日を心待ちにしながら、今回のレポートを終えたいと思います。

【宮島未奈さん コメント】

カバーイラストの成瀬がライオンズのユニフォームを着ていたことも何かのご縁だと思い、なかなかない機会なので投げたいなと思ってセレモニアルピッチに挑戦しました。滋賀県立膳所高校でグラウンドを貸していただいて練習してきました。

今日は私の名前入り(※)のライオンズのユニフォームを着られたのがすごくうれしかったですし、可愛らしいなと思っていたマスコットであるライナちゃんがつけていたリボンとおそろいのリボンをつけられたこともうれしかったです!
※未奈さんなので37番を着用

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